フルカウルバイク、前傾ヤバさランキング【国内全30車種】
2024.02.25
2023.12.02
先行して販売中のスズキGSX-8Sの兄弟車として8Rが発売されます。乗車姿勢の前傾度合いやスペックなど4文字8Sと8Rの違いをまとめます。
GSX-8R
今回はGSX-8SとGSX-8Rの2台を紹介します。 気になるGSX-8Rの方は発売前で走行はこれからなので、GSX-8Sの走行フィーリングとスペックや乗車姿勢の違いをまじえてお話しします。
まず8Rと8Rの違いですが、乗車姿勢を整理してみます。
GSX-8S前傾率
GSX-8Sの前傾率は、身長175cmで23.9%、160cmで31.9%。この数値は一般的なネイキッドバイクの標準的なもので、前傾で疲れやすいことはなく直立過ぎてケツ痛になりやすいこともないちょうどいいゾーンにあります。普通二輪教習車のCB400SFより気持ち前傾気味というくらいですが、だいたい同じようなものと思って良いでしょう。
GSX-8R前傾率
GSX-8Rの前傾率は、身長175cmで33.9%、160cmで42.0%で、この数値は、いわゆるフルカウルツアラー系に多い水準です。他の前傾が浅いフルカウルモデルでは、
カワサキNinja650が33.7%、42.1%と、ほぼ同じ水準です。
スズキGSX250Rは32.6%、40 .1%と、これも近い姿勢になっています。
ヤマハYZF-R3は34.0%、41.6%です。これも同レベルですね。これらに乗ったことがある人は、ほぼ同じくらいと思って良さそうです。
ホンダCBR400Rは31.4%、39.1%と、8Rより多少直立です。
直立で有名なNinja400は26.8%、33.4%で、さすがにこの水準とは遠いですが、乗り換えてもそれほど違和感のないレベルでしょう。
比較されそうなミドルクラスセパレートハンドルモデルを見ていくと、スズキSV650Xは49.4%、58.9%となっていて、8Rよりはるかに前傾姿勢です。SV650Xから8Rに乗り換えると、あまりの楽さにビビるかもしれません。
ホンダCBR650Rも、SV650Xと近い前傾度合いなので、同じく8Rに乗り換えると楽さに感動するでしょう。
ヤマハYZF-R7は、前傾度合いはサーキット用クラスで、全く別の用途に使われると思います。R7と8Rを比較検討する人はほぼいないでしょう。ただエンジンの排気量はそこそこ近いので、8SとMT-07は比較する人も多いでしょうか。
姿勢についてまとめると、8Sはおよそちょうどいいと感じる人が多い、直立に近い軽い前傾、8Rはフルカウルツアラーで楽な姿勢で知られるNinja650と同レベルの、24-2長距離走行もいける軽めの前傾姿勢です。
ちなみに、スズキのS1000GTは、26.5%、34.6%と8Rより直立で、8Sと近いです。
8Rと8Sのスペックはおよそ同じと考えて良さそうで、車体の寸法や重量は少し変わるものの、エンジンやフレームなどは8Sの国内スペックと8Rも同じになるはずです。
サスペンションだけは違うようで、GSX-8SはKYB製に対して、GSX-8RはSHOWA製のSFF-BPのようです。SFF-BPは高性能かつ低コストのスグレモノで、ホンダの現行CB250Rや125Rなど小排気量モデルにも使われています。
GSX-8S
8Sの街乗り走行感ですが、これ以上ないくらい使いやすいバランスになっています。アシストスリッパークラッチやトラクションコントロールが装備されていることもあり、やや雑に操作してしまっても乱れません。もともとエンジンのドンツキも少なく、アクセルONOFFのガク付きも少ないです。これらもあって低いギアもコントロールしやすく、低速でUターンなどの際にもかなり気楽に扱えます。エンジンが低回転に落ちたときのアシスト機能もあるため、気を抜いてエンストすることもかなり少なくなっています。
一般的な走行では十分なパワー、トルクがあり、パワーが足りないと感じる人は少ないと思います。概ねどんな道でも機敏に走れるでしょう。
車体の重量バランスが良いためか、軽く扱えるため、サイドスタンドから起こす時や取り回しなども200kgの車体にしては楽な方だと感じます。人によるとは思いますが、個人的には普通二輪教習車のCB400SFより気が楽です。
低回転はアシスト機能が介入するので、3速や4速でぼーっと止まろうとするとアシスト介入で加速する感じになりますが、その辺は慣れでしょう。排気量にしては常用回転が高めで、2,000回転台の低回転で走るより常に3,000回転以上くらいで走る方が走りやすく感じます。
高速道路走行性能ですが、600cc以上の排気量があるバイクは概ね問題なく走れるので、そのイメージでずれはないと思います。普通に速く走れて、6速固定でも制限速度域で追い越しも軽々出来ます。直進安定性も悪くありません。
GSX-8Rのスクリーン性能ですが、写真から寸法を測って予測してみました。フルカウルツアラーのカワサキNinja650と比べると、GSX-8RのスクリーンはNinja650より1cmくらい低そうです。シート高が2cm高いので、3cmくらいの高さの差でしょうか。
GSX-8Rの方が相対的にやや低いものの、横がえぐれておらず台形に広がっています。この形の方が一般的に整流効果が高く、肩の辺りに当たる風などが少なくなります。
似たような形にホンダのボルドールがありますが、CB400スーパーボルドールと比べるとGSX-8RはCB400スーパーボルドールより1cmくらい低いようで、シート高が5.5cm高いため6.5cmくらいの差になるでしょうか。前傾度合いが違うのでもうちょっと差が小さいと思います。
実際の整流効果はスクリーンの形によってかなり変わるため写真だけでは判断できないところがありますが、メーカー純正としてこの形状で設計していることから整流効果は期待できるのではないでしょうか。
おそらく、スクリーンの快適性はボルドール>GSX-8R>Ninja650の順になると思います。
GSX-8Sの方はネイキッドのためスクリーンがなく、長距離走行するならスクリーンを増設したいところですが、社外品を調べると結構大きいものも売られていました。
GSX-8Sメーター
メーターはカラー液晶で、きれいで見やすいです。
アシストスリッパークラッチがついているので、SVやXSR、MTよりクラッチレバーが軽く、少し雑にクラッチを繋いでも平気です。
クイックシフターも便利で、アップダウン両方に対応しています。他のバイクに比べてダウンのショックがやや大きい感じもあるのと、2速アップのショックが大きいように感じます。あくまで他のバイクと比べた個人的な感覚なので、参考程度にしてください。
スズキ車おなじみのローRPMアシストも装備しています。回転が落ちてエンストすることがほぼないので、低速旋回などのとき気分が楽です。慣れないと違和感があるかもしれませんが、慣れると楽に感じる人が多いでしょうか。
イージースタートシステムは、セルスタートボタンをポンと軽く押すとエンジン始動までセルを回してくれる機能です。最近の四輪車はほぼ同じように動きますが、バイクはスズキ以外は相変わらずボタン長押ししていますね。
純正オプションは充実している方で、機能的なものにはグリップヒーターソフトサイドケースタンクバッグ(大)(小)フレームスライダーアンダーカウルミラーエクステンションUSBソケットなどがあります。グリップヒーターは電力やボタンのすっきりさから純正品がおすすめです。
フレームスライダーも、下手なものをつけると逆にフレームが破壊されたりするので、つけるなら純正品の方が良いと思います。そのほかは社外品で安くあげても問題ないでしょう。
見た目の部品もいろいろあり、LEDターンシグナルツートーンシートリムデカールメーターバイザーシングルシートカウルなどが用意されています。
価格は、2023年はGSX-8Sが税込み1,067,000円、税抜970,000円です。8Rは動画公開時点で未確定ですが、海外の価格から考えるとGSX-8S+50,000円くらいでしょうか。GSX-8Sも値上がりするかもしれないので、+10万円くらい考えておいたほうが良いかもしれません。
GSX-8Sの価格は、他のミドルクラスに比べるとかなり割安です。600ccから800ccのバイクは100万円を超えてきていて、100万円以下のものはホンダNC750Xが92万4000円、ヤマハMT-07が83万6,000円スズキSV650が80万3,000円などと少なくなってきました。
100万円台の他社バイクに比べると性能が良く、設計も新しく完成度が高いので、コスパは良くなっています。
Ninja650
まずはカワサキの650シリーズ、Ninja650・Z650・Z650RSの3台です。
フルカウルのNinja650はツアラー系で、8Rと乗車姿勢が近いこともあり、使い方は似た感じになりそうです。3台とも乗りやすく十分なパワーがあり、ネイキッドは防風を対策するか風を気にしないワイルドな人ならツアラーとしても優秀です。
値段はそれぞれ、Ninja650が1,045,000円、Z650が1,012,000円、Z650RSが1,056,000円となっていて、8Sと同レベルです。
同じくらいの金額という前提で比べると、スズキの方が120cc以上排気量があってパワーがあり、クイックシフターもあります。設計の新しさもあってスズキの優位性が高いでしょう。
2022年くらいはNinja650が90万円くらいで、Z650はさらに安かったのですが、1〜2年で15万ほど上がってしまったので辛い勝負になっている感じがします。
ただこれはGSX-8シリーズが安すぎるだけなので仕方がないですね。カワサキの650ccは乗りやすく扱いやすいので、どれも良いバイクです。
XSR700
ヤマハはXSR700、MT-07の兄弟があります。
こちらは688ccで、スズキの775ccに対して87cc差です。MTとXSRは旋回性能重視の設計となっていて、ホイールベース、キャスター、トレールとも同クラスのものに対してかなり旋回性能に寄せています。
先進装備はなく、アシストスリッパークラッチもないので、女性などはクラッチが重いと感じるかもしれません。ペンたろうはXSR700に乗っていますが、普段重いと感じることはなく一日普通に乗ります。
MT-07はGSX-8Sに比べて20万円くらい安いのでまだまだ選ばれそうですが、XSR700が値上がって100万円以上になってしまったので性能ではかなり分が悪い勝負になってきました。ただ気持ちの良い旋回性能があるので、丸目スタイルとともに気に入ればXSR700も良いと思います。これも、スズキのコスパが良すぎるだけなので、XSRが欲しい人はスズキを見ないようにしましょう。
フルカウルスポーツモデルのYZF-R7も同じエンジンを積んだ仲間です。こちらは非常に深い前傾姿勢となっていて、GSX-8Rとも方向性が違いすぎて競合にならないくらいの立ち位置です。本格スポーツ気分を味わいたい人はYZF-R7、ツーリングを快適に楽しみたい人はスズキ、という選び方で失敗はしないと思います。
ビッグオフローダーのTénéré700も同じエンジンですが¥こちらも全く別物で、V-Strom800と比べる人は多そうです。V-Strom800はGSX-8S・8Rと共通エンジンで、ややセッティングが違うようです。
ちなみに、超個人的な感想としては、ヤマハの688ccエンジンシリーズはテネレがベストマッチだと思います。
NC750X
ホンダにはNC750Xがあります。こちらは同系が大型二輪教習車としても使われていて、教習所で乗ったことがある人も多いかもしれません。
ユーティリティー全振りのような設計で、普通燃料タンクになっている場所が荷物入れになっています。また、レッドゾーンが7,000回転と、4輪のエンジンくらいの回転リミットになっていて、全力で低回転トルクに振ったエンジンです。そのため非常に扱いやすいですが、車重は220kg前後と8Sより10kg〜20kgくらい重くなっています。
CBR650R
4気筒のモデルにはCB650RとCBR650Rがあります。
これらはGSX-8シリーズとは比較しないかもしれませんが、車重はほぼ同じくらいです。振動がやや大きめで、ハンドルに結構な振動が伝わってくるため、高速道路の連続走行が辛いという感想が多いので、何らか工夫が必要かもしれません。4気筒のため、GSX-8シリーズのような2気筒モデルと比べると日常域の瞬発力に欠けるので、好みは大きく分かれると思います。
GSX-8Rはツアラーの乗車姿勢ですが、CBR650Rはスポーツモデルの前傾姿勢なので、前傾慣れしている人でないとロングツーリングの疲れが大きいので注意した方が良いです。
2気筒754ccのXL750 TRANSALPもあり、こちらはアドベンチャーモデルなのでテネレと同じくV-Stromの競合です。
同じエンジンを積んだホーネットが海外で販売されていて、国内導入もずっとウワサされていますが、どうなるでしょうか。導入されるとGSX-8Sの競合第1候補になりそうです。海外の価格はGSX-8Sより安いですが、2023年のGSX-8Sの国内価格は為替相場から考えると安すぎるので、導入するとしてもホーネットの方が高くなるかもしれません。ただ、いずれにせよ乗ってみたいのでぜひ販売して欲しいですね。