W230(MEGURO S1)とエストレヤの違い

カワサキからW230とMEGURO S1が国内導入予定と発表されました。ぱっと見似ているバイクのエストレヤとの違いを紹介します。後半では見た目とエンジンの比較をしています。

1.エストレヤ

エストレヤ ファイナルエディション

エストレヤ ファイナルエディション

W230を見て真っ先にエストレヤを思い出した人も多いかもしれません。エストレヤは2017年に販売終了した250cc空冷単気筒モデルで、今も根強い人気があり、当時の新車価格より高値で取引されています。エストレヤの特徴には、・クラシカルな見た目・重くない車体・低いシート高・味わいのあるエンジンなどがあり、幅広い層に人気があります。エストレヤは海外ではW250という名前で販売されてきましたが、W800と同じようにエンジンが垂直に近い、クラシカルなバーチカルエンジンです。

フェンダーやミラーがメッキ仕上げ、ウィンカーなど細かいところもメッキで、全体的にキラキラ感があります。また、大きめの丸目ヘッドライトも特徴的で、(SR車体動画)ヤマハSR400にも通じるものがあります。

明るめな色からダーク系まで、カラフルなカラー展開となっていました。

エストレヤ カラー展開一例

エストレヤ カラー展開一例

エストレヤというと、メッキ仕上げが多いイメージですが、スペシャルエディションや、年式によっては塗装仕上げを多くしているものもあります。例えばこちらは2017年のレギュラーモデルですが、フェンダーが塗装です。スペシャルエディションでは、フェンダー塗装のほか、エンジンやマフラーも黒塗りです。かなりイメージが違いますね。

エストレヤファイナルエディションのスペックは、

  • 車重:161kg
  • シート高:735mm
  • エンジンピークトルク:18Nm/5500回転
  • ピークパワー:18馬力/7500回転

となっています。

エンジンは250ccながらある程度鼓動感があるタイプで、心地良く走れます。以前空冷単気筒モデルの比較をしましたが、鼓動感をより求めるとロイヤルエンフィールドの350シリーズやSR400の方がより大きいものの、250ccにしては十分頑張っている方ではないかと思います。ただパワーはあまりなく、高速道路も100km/h連続走行はちょっと辛いところがあります。

クラシック系バイクでゆったりのんびり走りたい人に最適で、キックスタートのSR400よりとっつきやすく、250ccの手軽さもあり、価値あるバイクとなっています。

2.エストレヤとW230

エストレヤとW230を比べてみると、全体のフォルムは何となく似ています。ただ、W230のフレームは新設計、エンジンはKLXからの流用なので、全く違うバイクです。

ディテール

エストレヤとW230のシート形状

エストレヤとW230のシート形状

シートの形はエストレヤに近く、ぱっと見流用に見えるくらいです。タンク形状も似ています。マフラーのイメージもおよそ同じで、マフラーカバーも含めて出口付近はそっくりです。W800も同じ感じで、Wシリーズで統一感があります。エンジンの下の方、クランクケースも形は違うものの似た雰囲気になっています。エンジンの配置は垂直ではなく、現代の一般的なバイクのように、前に傾いています。

こちらはエストレヤのエンジンですが、空冷らしくフィンの存在感があります。こちらはヤマハのSR400ですが、同じ感じですね。W230のエンジンは下の方が黒くなっていて、やや変わっています。

ヘッドライトは、エストレヤの大きめハロゲンライトに対してやや小さめの丸目LEDです。このライトはZ650RSから流用されているようで、ややネオクラシックテイストになっています。

ミラーもZ650RSからの流用のようです。W800やエストレヤはメッキ仕上げのミラーなので、比較するとW230のクラシック感は薄いですね。

フェンダーはエストレヤのメッキ仕上げに対して普通の塗装です。

こちらは2016年のレギュラーモデルですが、似た感じの配色になっていますね。

全体的な雰囲気

W230は全体的に光沢が少なくなっています。フェンダーの仕上げ、ミラー、ヘッドライトまわりなど光沢感はありません。

エストレヤのスペシャルエディションくらいのバランスが近いです。

W230の全体的な雰囲気は、エストレヤよりもホンダのGB350にも近そうでしょうか。ただGBは車体がやや大きめですエストレヤはエレガントはイメージ、W230は力強いイメージを目指したように感じます。

こちらは以前販売されていたスズキのグラストラッカーですが、W230はグラストラッカーともイメージが近い感じがあります。グラストラッカーは250cc空冷単気筒モデルで、車重130kg台とかなり軽量で、軽快に走れるバイクです。グラストラッカーのエンジンはエストレヤのような鼓動感があるタイプではなく、軽い感じです。カワサキの230ccエンジンと近いフィーリングなので、W230と走行感覚も近いかもしれません。

グラストラッカーの兄弟車で、ST250もありました。

W230を、あえて国内でエストレヤの名前にしなかったのは、いろいろな意味でかなり違うからでしょうか。エストレヤは2017年にファイナルエディションが販売されて終了したので、それもあるかもしれませんが、カワサキはファイナルエディションを出した後しれっと復活したこともあるので、カワサキ的にはファイナルの話は関係ないでしょう。

3.W230とMEGURO S1

W230

W230

W230

W230とMEGURO S1の違いですが、およと見た目の違いだけです。

Wシリーズは、現行はW800があります。ただW230を並べて見ると結構違っていて、W800のキラキラ感はありません。W800と共用しているらしい部品はメーターくらいで、ぱっと見方向性が近いものの、仕上がりの違いがかなりあります。

MEGURO S1

MEGURO S1

MEGURO S1

800ccのMEGURO K3はW800よりメッキが少なく、W230とW800の関係よりもMEGUROシリーズの方が仲間らしい感じがあります。

W800とMEGURO K3はハンドル形状などが違っていて多少乗り味にも影響しますが、W230とMEGURO S1は色違いくらいのようです。単に柄が好きな方を選んでください、という感じですね。

W230、MEGURO S1ともシート高は低いようなので、きっとカワサキさんはハイシートオプションを設定してくれるでしょう。

エストレヤはシート高735mmですが、近いシート高になりそうです。

全体的に、既存パーツを流用しつつ、仕上げに凝らないようにしてコストを下げた、ということでしょう。高額になるとコスパが悪くなってしまうので、こういうコストダウンもアリだと思います。

4.エンジン

エストレヤのエンジン

エストレヤのエンジンは、ある程度鼓動感があるタイプで、味わいを楽しみながらのんびり乗るのに向いています。

W230のエンジン

W230のエンジンは、オフロードモデルのKLX230と同じエンジンです。今回W230が発売できたのは、エンジンを共用していることが一つの理由になっています。

KLX230は、オフロードモデルが販売終了した後、2022年に国内でモタードのKLX230SMが発売されていましたが、そのエンジンとベースは同じです。2022年当時は現在の排ガス規制をクリアしていませんでしたが、今回クリアして国内販売可能になったようです。

A10排ガス規制対応前のスペックは、ピークトルク19Nm/6100回転ピークパワー19馬力/7600回転と、悪くない性能です。A11エストレヤのエンジンよりも実用性が高く、KLXの車体ではかなり軽快に走れます。

KLX230SMのエンジンは全体が黒ですが、W230では下の方が黒になっていて、ヘッドやクランクケースカバーなどが換えられていて、排気の取り回しも変わっています。結構手がかかっていますね。

排ガス規制クリア前のKLX230SMのエンジンは、エストレヤやSR400、ロイヤルエンフィールドのような鼓動感は全くありません。軽くカラカラカラッと回っていく感じです。W230では味付けは変えられて、ある程度鼓動感を演出してくるかもしれませんが、230ccなので鼓動感好きな人は過度な期待はしない方が良いでしょう。エストレヤのエンジンは250ccながらいくらか鼓動感がありますが、そのフィーリングまで近づくのは難しそうな気がします。

クルーザーのエリミネーターが、Ninja400と同じエンジンを積んで発売されましたが、セッティングはやや違うものの、エリミネーターのエンジンフィーリングはNinja400そのものです。おそらくW230も、KLXの軽いフィーリングそのままでしょう。

その代わり、KLX230SMは高速道路走行がしやすく、時速120kmも出せるくらいで、100km走行は余裕があります。とても230ccとは思えない走行感覚なので、長距離移動も思いのほか楽です。W230にはこのエンジンが積まれるので、万能感の高いバイクになるでしょう。

個人的には、手元のKLX230SMをW230と入れ替えることもちょっと考えたりします。

W230は、市販車が出回って乗れるようになったら、走行レビューなどもしてみたいと思います。

5.その他の発売予定モデル

KLX230

230ccには他にオフロードモデルのKLX230が復活しますが、以前のモデルとヘッドライト周りなどが変わっていて、KLX230SMと同形状のシャープな顔つきでいい感じになりました。エンジンは今回排ガス規制に対応したので、スペックは以前と少し変わるかもしれません。

モタードのKLX230SMは、2022年秋に発売されて一瞬で売り切れました。最近までWebサイトに掲載されていましたが、いつの間にか消えています。そのうちモタードの方もラインナップされるかもしれません。

W230はKLXからエンジンが流用されているので、エンジンの排ガス規制対応のコストをより売れそうなW230で回収する計算でしょうか。

ZX40周年

230cc以外では、ZX-10RとZX-4RRの40周年記念モデルが発売されます。緑と青のカラーですが、これらはおそらく見た目だけの変更です。

HV

あとはNinja 7 Hybridです。排気量450ccくらいのエンジンと電動モーターによる駆動となっていて、2800回転で60Nmくらいを発揮するハイブリッドマシンです。

ちなみにNinja650は近いピークトルクですが、6700回転なので、Ninja 7 Hybridはかなり低回転でトルクが出ています。おそらくこのクラスでは爆発的な加速力になりますね。(Ninja650車体動画)ピークパワーは70馬力くらいと、Ninja650と同程度ですが、Ninja650の8000回転に対して10000回転オーバーなので、より回す必要があります。

車重が230kgくらいになりそうなので、トルクは高いもののこのクラスでは重い方になっています。

乗れるようになったらぜひ体験してみたいモデルです。