SV650X

今回のテーマはスズキSV650X。Vツインエンジンの名作SV650のカフェレーサースタイル版です。筆者は2021年モデルのブラックボディ、シャンパンゴールドフレームに乗っていますが、SV650、SV650Xとも、規制の関係で、2023年モデルで販売終了という線が濃厚なようです。販売終了すると中古も値上がりしがちなので、検討している人は早めに動いた方がいいでしょう。

スタイル

SV650Xの特徴といえば、まずはこのカフェレーサースタイルです。ビキニカウルにセパレートハンドル、渋くてかっこいいですね。2020から2022のモデルはブラックボディにダークブラウンのシートです。実質ファイナルになる可能性がある2023モデルは、ライトシルバーのボディになりました。ダークサイドからホワイトナイトに転生した感じで、だいぶ印象が変わりましたね。

歴代のカラーを並べるとこうなっています。シルバー、黒、ライトシル バーと変わりましたが、同じボディ色でも年式によってフレームの色が変わっていたりします。

細かく見ると、2020と2021では、フレームの色が黒からシャンパンゴールドに変わっています。

Vツインエンジン

SV650といえば、Vツインエンジンも大きな特徴です。

同じく鼓動感がある270度クランクパラツインのxsr700も乗っていますが、xsr700のエンジンと比べて、SV650のVツインエンジンは腹に響く鼓動感と言ったらいいでしょうか、独特な心地よさがあります。

アイドリングでも鼓動を感じますが、アイドリングの鼓動感はシングルのSR400よりも感じます。3000回転前後までは鼓動感があり、上まで回すと高回転エンジンのフィーリングに変わっていく、という面白いエンジンです。

下からトルクがモリモリ湧いてくるエンジンですが、高回転までスムーズに回っていきます。どこまでも伸びるようなフィーリングで、高速の合流などはつい鬼加速したくなってしまいます。1台で2度美味しいという感じのお買い得エンジンだと思います。

運動性能

SV650XはネイキッドのSV650と比べて曲がりにくいという感想を聞くことがあります。これに関しては、たぶんすぐ慣れますね。確かに、人によっては1日では慣れないので、レンタルバイク試乗の感想などはあまり参考にならないかもしれません。曲がる時に倒すきっかけが作りにくい人は、少し後ろ目に座った方がやりやすいと思います。ネイキッドより前荷重が自然に多くなるので、ちょっと後ろめに体を持っていくとネイキッドの感覚に近くなるのかもしれません。数日乗って慣れると前後どの辺に乗っても自然にコントロールできるようになるでしょう。基本にのっとって、コーナー手前でブレーキングしつつ重心を後ろに置き、腕を伸ばしつつ内側の腕の力を抜いてコーナーリングすれば、コントロールしやすいバイクです。雑に乗ると曲がりにくいことがあるため、ライダーのスキルを上達させてくれるバイクだと感じています。

取り回し

回転半径か3.3mと大きいので、ミドルクラスの割に取り回しはしづらいです。ネイキッドのSV650も3mと大きめですが、Xの方はより大きいので注意しましょう。駐車場が狭い場合などは出し入れに苦労するかもしれません。ある程度の展開スペースを必要とするので、狭い道のUターンもしづらいです。そういった環境の人は、特に注意してください。参考までに、カワサキのZ650は2.6mと、ミドルクラスの割にだいぶ小回りがききます。MT-07やXSR700は2.7mなので、SV650シリーズの回転半径の大きさがわかるでしょう。4m道路で切り返しながら逆方向に向ける時、セローなら切り返しなしの1発転回、CB400SFなら1回切り返し、SV650Xは2回切り返さないときびしいです。

200kg前後のため、特別重くはありませんが、軽いバイクではありません。ライダーの体格やバイクの重量バランスにもよりますが、一般的に200kgクラス以上は重めと感じる人が多いようです。CB400SFと同じくらいの重さなので、それくらいをイメージすれば良いと思います。セパレートハンドルのSV650Xの方は、ハンドル位置が低いので取り回しは重く感じるかもしれません。いつも、結構重いな、と思いながら動かしています。

乗車姿勢

ネイキッドのSV650は直立から軽前傾の範囲ですが、SV650Xの方は前傾姿勢です。前傾度合いは、おそらく一般的な人にはそこそこきつめです。ドゥカティパニガーレなどを毎日乗っているような人には優しいと感じるかもしれませんが、Ninja400やYZF-R3などをイメージすると、それらよりはるかにきつい前傾です。地獄絵図ではないけれど、なんちゃって前傾ではない、という、一定の覚悟が必要な乗車姿勢です。個人的には、朝から走っていると、疲れてお昼頃にはもう帰りたくなります。各種バイクの前傾度合い比較については、また別の動画で分析してみたいと思っています。

装備

装備は、特に電子制御などはなく、余計なことを考えずに扱えます。トラクションコントロールなども、ミドルクラスのため、なくても大丈夫な範囲でしょう。それほど神経質に扱わなくても、cb400SFと同じレベルで扱えると思います。エンストを抑える仕組みがついているなど、スズキのバイクはコストの割に性能が良く、トランスミッションのフィーリングなどもスムーズです。ホンダもそうですが、四輪メーカーは機械の工作精度が高いのかもしれません。

視界

前傾姿勢のバイクはフルカウルが多く、カウルにミラーがついていますが、SV650Xはネイキッドと同じくハンドルについています。ネイキッドより顔が前に出るため、ミラーと顔の距離が近く、横に首を振らないとミラーが見えません。後ろ自体は見やすいですが、大きく視線移動しなくてはいけないので、総合的に見やすいミラーではないと思います。エクステンションで少し前に出す方が見やすくなるかもしれないので、また実験したら比較動画を作ります。

まとめ

SV650Xは、前傾姿勢については覚悟が必要です。静止状態でまたがったときは結構いけるかな、と思っても、実際に1日乗るとギブアップ、という可能性もあります。できればレンタルで朝から晩まで丸1日、長時間乗るなどしたが方が安全ですね。あとは、回転半径による取り回しのしづらさがクリアできれば、きっと幸せをくれるバイクです。前傾が辛ければネイキッドのSV650を選ぶ手もありますね。

筆者は、前傾のスペシャリストではないので、半日程度走る予定の時はSV650Xに乗りますが、それ以上の時はXSR700やZ900RS、CB400SFなど、別のバイクに乗ります。ネイキッドのSV650は楽かもしれませんが、所有していないので確かなことは言えません。もし最終のネイキッドSV650を購入することがあったら、それぞれ細かく比較してみようと思います。SV650Xについては、次回革のサイドバッグやスマホホルダーの付け方などを紹介する予定です。