バイク比較

2022.10.06

バイクの前傾率調査

今回は、バイクの写真から各種バイクの前傾度合いを計算してみました。

この方法を使うと、発売前のバイクなどでも「あのバイクより楽だな」のように、乗れそうかの判断にも使えるので、一応計算式も公開します。

測定方法

前傾度合いは、ハンドルの高さも影響しますが、実際は前後位置の方が影響が大きいです。見た目ハンドルの高さが高いから大丈夫、低いからキツい、という単純なものでもありません。

メーカースペック表 ©YAMAHA

メーカースペック表 ©YAMAHA

宣材写真から目安寸法を測定 ©YAMAHA

宣材写真から目安寸法を測定 ©YAMAHA

計算のための測定方法ですが、あらかじめシート高とハンドル幅をスペック表から確認します。次に、シートの着座位置、ハンドル先端、ステップの3箇所を三角形で結び、それぞれの水平垂直距離を測定します。シート高から画像の縮尺を計算して、実寸に補正します。

前傾率計算式

前傾率計算式

ハンドル幅と身長から、腕の長さ、座面から肩までの垂直距離、腕の開きを簡易算出して、このような計算式で腕の長さに対する前方移動率を計算すると、これがそのまま前傾率になります。あくまで平均的体型などからのおよその数値なので、人によって誤差の度合いが違うことはご了承ください。

各種バイクの測定結果

各バイクの数値を並べて見ました。

個人的な経験から、前傾率ごとの体感を分類するとこうなります。

前傾率分類表

前傾率分類表

10%以下は完全直立の確定ケツ痛10〜20%はほぼ直立のケツ痛予備軍20〜25%はほどよい軽前傾25〜30%はプチ前傾30〜40%は普通の前傾40〜50%はハードモード50%以上は地獄絵図です。

人によって感じ方は違うので、経験にあわせて補正してください。

では、身長175cmの表です。

身長175cmの前傾率

身長175cmの前傾率

セローは前傾率マイナスの確定ケツ痛です。Z900RSは、ほぼ直立なのでケツ痛になりやすいですね。CB400やXSR700は最も優秀な20%前半で、これくらいの前傾具合は体の負担が少ないです。Z400やNinja400は少し前傾気味ですが、ほぼ負担がない範囲です。YZF-R3はこれらよりも前傾率が高いです。このへんは長時間乗っていると首が痛くなってくるゾーンです。GSX-R125やSV650Xはイメージ通りハードですね。パニガーレはご想像の通りです。

身長160cmの前傾率

身長160cmの前傾率

身長160cmに置き換えてみます。そんなに変わりませんが、Z400とNinja400が30%オーバーの前傾になり、YZF-R3がハードにさしかかります。SV650Xも地獄絵図化しますね。

このように、足つきにおける足の長さと同じく、座高と腕の長さによって前傾の感じ方は全く違います。各所で、Z400は前傾がキツい、とか、Ninja400は楽、など一貫性のないコメントが散見されますが、175cmの人にとって、Z400は余裕があってちょうどいい姿勢ですが、160cmの場合は前傾がキツく感じる人も出てきます。そのため、噂は一定程度しか参考にならないと思っていいでしょう。

ロングツーリングの適性

ロングツーリングに使う車両は、ほどよい軽前傾からプチ前傾が理想です。直立のケツ痛予備軍は、ゲルザブやハイシートなどで対策しないと辛いかもしれません。完全直立はゲルザブ程度では厳しいと思います。この辺はみなさんのケツ強度によります。30%台の前傾は、休憩を多めにしてストレッチを心がけた方がいいですね。40%ハードモード以上でロングツーリングするのは、それなりに慣れている人でないと危険です。買っていきなり遠出などは自殺行為なので気をつけましょう。50%の地獄絵図でロングツーリングする強者は少ないと思いますが、こういう人は相当熟練していると思うので、まあいいでしょう。

ケツ痛テーマの次回は、対策としてハイシートやゲルザブなどを使ったときの効果度合いなど、個別のバイクごとに体験談を紹介したいと思います。

要望が多ければ、各社のラインナップを一通り計算して前傾率ランキングを作ってみても良いかなと思っています。


2024年の主にフルカウルモデルを測定してランキングにした結果はこちらです。
フルカウルバイク、前傾ヤバさランキング【国内全30車種】