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2022.11.16

冬装備(上半身)の基本

今回は、冬装備の考え方を解説します。

初めに体感温度について、次に装備の重ね方と温度の関係をお話しします。

1.日光と体感温度

まず日光と体感温度の関係です。晴れか曇りかで体感温度はかなり違います。季節や日照レベルにもよりますが、直射日光下に対して、曇りの日にはおよそ3〜5℃程度は体感温度が下がります。

2.標高と体感温度

うっかりしがちなのが、標高との関係です。到着ポイントの気温は確認していても、途中の道のりの標高を忘れていると痛い目に遭うので、距離が遠い場合は中継点で標高が上がるか確認すると安全です。標高は、100m上がると0.6度下がります。例えば中央自動車道では、八ヶ岳パーキングエリアの近くあたりが標高1000mあり、約6℃下がります。インターやサービスエリアに入る時にコケないよう、膝や足首を動かして感覚を確認しておきましょう。

3.連続走行

走行パターンによっても体の冷え方は変わります。連続走行する場合、体をあまり動かさないので、体温が下がりやすく、体も固まりがちです。高速道路走行などは、5℃くらい低い心づもりで装備品を準備するのが安全でしょう。

4.装備の基本

冬の装備品には、役割がいくつかあり、重ねる順番などを間違えると悲惨です。

まず最も重要なのが、一番外側に着るべき、防風レイヤー。これは以前車速と体感温度の動画でも説明しましたが、冬は、走行風で風を受けた時の体感温度が、15度くらい下がります。下手をするとそろそろバナナで釘が打てるか、というやつですね。そのため、まずは徹底的に風をシャットアウトします。袖口や襟元をしっかりブロックできることも大事で、ファスナー部の風の侵入なども長時間走行ではかなり効いてきます。とにかく風を完璧に防ぎましょう。

次に重要なのが、保温レイヤーです。外側の防風レイヤーは外気温で冷えるので、体との間に遮熱壁を作り、体を、冷えたウェアに接触して体温が逃げないようにすることが重要です。ダウンのように空気を含むものが理想ですね。

保温レイヤーは、防風レイヤーの内側でないと全く意味がありません。ちまたに「防風インナー」なる製品がありますが、インナーで防風しても、もう遅いです。もちろんしないよりはマシですが、確実に最も外側で防風しましょう。隙間風対策で、防風を2レイヤーにする方法もありますが、その場合はインナーではなく、外2枚が防風になります。

防風、保温の2つの性能が高ければ、普通はこれでOKですが、氷点下の連続走行など、その上をいく寒さの場合は、もう一つ発熱レイヤーが有効です。遮熱壁の中、体にほぼ密着した状態で電熱ベストなどを着ると、発熱した熱が外に逃げにくいので、低温モードでもかなり暖かくなります。

このように、着るものの性能優先順にあわせてコストをかけ、順番を間違えないようにすれば普通の冬は楽勝です。装備性能が高いと、冬でも電熱なしで汗をかくくらいだったりします。

5.気温レベルと重ね方

では、気温のレベルに応じた重ね方を説明します。

レベル1:経由地最低気温20℃くらい連続走行なら防風レイヤーを準備

初秋くらいの、ちゃんとした防風レイヤーがなくても凌げるくらいの気温では、防風性能のあるジャケットを外側に着ておけば十分です。曇りの連続走行では体感温度10℃くらいなので防風は必要ですが、直射日光下の停止状態では暑くなることもあるので、ベンチレーション性能が高い方が良いですね。防風性能がない服にウィンドブレーカーを携帯する、という手もあります。

レベル2:経由地最低気温15℃くらい防風レイヤー+ちょっとした保温

いわゆるコートを着はじめるくらいの季節、関東では11月くらいの気温は、ある程度防風性能があるジャケットがないと曇りの連続走行などは凍えます。とはいえあまり厚着すると暑いので、インナーにダウンベストや長袖の薄い保温着を携帯するなど、着たり脱いだりできるようにしておくと安心ですね。

レベル3:経由地最低気温10℃くらい本気の防風レイヤー+そこそこの保温

気温10度を切ると、風を受けた体感温度は氷点下になるので、徹底的な防風が重要になってきます。首や手首の隙間風を徹底カットしましょう。保温レイヤーも、ある程度の性能があるダウンジャケットなどが理想です。

レベル4:経由地最低気温5℃くらい本気の防風レイヤー+気合いを入れた保温

気温5度を切ると、本気モードの冬用ジャケットでないと厳しくなります。防風性能、保温性能がしっかりしていないと、電熱を着ても焼石に水です。ただこれくらいは、電熱は不要です。Amazonの電熱製品のコメントなどで、電熱を着ても寒い、という書き込みがよくありますが、その前に防風、保温を見直すべきです。これらをちゃんとすれば、気温5℃は楽勝です。

レベル5:経由地最低気温0℃本気の防風レイヤー+気合いを入れた保温+電熱ベスト

5℃を割って氷点下付近まで来ると、本気モードの保温レイヤーの下に、電熱も組み込みたくなります。高速走行などでちょっと隙間風が入ってすぐに調整出来ない時など、電熱ベストなどなら手元でスイッチを入れてカバーできます。電熱装備のいいところは、性能の割に薄手でかさばらないところですね。ただし繰り返しになりますが、外気に触れるレイヤーに接していたりするとほぼ電熱の発熱は意味がなくなるので、保温レイヤーの方が重要です。

このくらいの気温は、路面が凍って危なくなるレベルの気温なので、バイクではあまり走らない方が良さそうな気温ですね。

電熱装備はまた特集しますが、今回のお話はジャケット類に限った目安です。グローブなどは、早い時期から電熱グローブかグリップヒーターがないと耐えられないでしょう。

冬装備の基本的な考え方を説明しましたが、次回は具体的な製品を個別に紹介します。メーカーはほぼ一択になってしまうでしょうか。