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2022.11.20

ヘルメットの快適ハイブリッド遮光シールド

今回は、ヘルメットの快適な遮光シールドについて解説します。

クリアシールドやライトスモークシールドは、夕日などの直撃は眩しすぎてもうほぼ無理ですが、逆にダークスモークシールドやミラーシールドは、夜やトンネルで何も見えなくて危険です。夕方シールドを付け替えれば対応できなくもないですが、便利なアイテムがあるので、優秀なものを紹介します。

1.クリアシールド+インナーバイザー

1つめ、クリアシールド+インナーバイザー。これらは、シールド内にサングラスのようなものを開閉するシステムで、主にヘルメットの外側左横あたりに開閉スイッチがあります。クローズすれば昼間や夕方対応、オープンにすれば夜間やトンネルに対応できます。一見万能に思えるのですが、弱点もあります。

最大のデメリットは、冬にチンカーテンをつけると、確実に停車時曇ります。停車したら息を止めるか、シールドを開けないと、30秒もすると曇って前が見えなくなります。止まったらバイザーをOFFにして、走り出して10数秒したらONにする、などの方法もありますが、結構面倒です。

ジェットはピンロックシートをつけていれば曇らないので全く問題ありません。システムやフルフェイスは、冬場チンカーテンをつけること多く、確定で曇るため、いちいちめんどくさいです。

インナーバイザーを装備しているヘルメットには、SHOEI NEOTEC2・GT-Air2・J-Cruise2OGK各種WINS各種などがあります。

ちなみに、Araiはこのタイプはありません。なぜなら、「安全性のために、ヘルメット内にバイザーは入れられないのだ」というポリシーのためです。インナーバイザーがあるとSnell規格も通らないっぽいですね。

2.Arai プロシェードシステム

2つめは、そんなアライさんが用意してくれた神シールドシステムの、プロシェードシステムです。これは、本体のクリアシールドの上に、ダークスモークのバイザーをかぶせる、というシステムです。体感ですが、控えめに言って神の領域です。昼間はシェードをかぶせておき、夕方以降にはシェードを上げれば視界は常に良好です。また、トンネルなどで急遽暗くなるシーンでも、左手でパッとシェードを上げられるので、危険な状況になりません。最強遮光シールドの一つです。手で上げ下げする必要がある事がデメリットですが、一瞬でできるので、全く問題ないでしょう。また、冬場の午後など太陽が低めで、ちょっと斜め上に日傘のようにあてたい場合など、シェードの角度を調整できます。これも結構使えますね。シェードの強度は、ダークスモークレベルなので、夕日の直撃もいけます。

AraiプロシェードシステムはRX-7X、ASTRO-GX、RAPIDE-NEO、XDなど、現在販売されているフルフェイスには対応しています。

3.SHOEI フォトクロミックシールド

お次はSHOEIのフォトクロミックシールドです。こちらは、紫外線を検知して、自動的に遮光性を調整してくれる、優れものです。もはや夢の国。フォトクロミックシールドの素晴らしさは、なんと言っても、光量調整が「完全自動」なことです。明るいところでは遮光してくれ、暗いところではクリアシールドレベルにしてくれる、という何も考えなくてもこのシールドをつけていれば良い、ズボラな人にも安心、SHOEIさんに任せておけば安心な夢の世界を提供してくれます。MAX紫外線の時は、一般的なダークスモークシールドほどの遮光性がないので、夕日の直撃は多少まぶしいかな、と思いますが、まあいけます。

これに慣れると、車のフロントガラスもフォトクロミックシールドだったらいいのに、と思うでしょう。

そんな最強クラスのフォトクロミックシールドですが、小さなデメリットもあります。

そもそもの光量カット率が、ダークスモークシールドに及びません。ただ、冬の夕日直撃クラスで若干目を細めるか、というくらいなので、直撃も含めて終日対応できるレベルです。基本的に問題ないと考えて良いでしょう。

次に、トンネルに入った瞬間、目の暗順応と同じように、シールドが明るくなるまで時間がかかります。1分くらいは暗いので、地方の照明がないトンネルなどは、シールドごと開けて視界確保した方が良いです。

また、経年劣化もあります。紫外線を検知する性能が、一定時間で落ちていくようです。保管時にヘルメットカバーをかけたり、壁の方にシールドを向けたりと、できるだけ紫外線に当てない方が長持ちするとSHOEIのスタッフさんからアドバイスいただきました。

そしてちょっと高いです。20,000円くらいするので、ヘルメット本体と併せると結構な出費になります。

しかし、使ってみれば、これらのデメリットは、フォトクロミックシールドの大いなる価値においては些細なものと思えるでしょう。

SHOEI フォトクロミックシールドに対応しているヘルメットはX-Fifteen、X-Fourteen、Z-8、Z-7です。Glamsterは動画公開時点では対応していないので注意しましょう。GT-Air2はインナーバイザーです。オフロードのHORNET ADVも今はありません。

フォトクロミックシールド対応のヘルメットは、インナーバイザーなどはないので、これらのヘルメットを買う検討をしている人は、フォトクロミックシールドも含めて予算を組むことをおすすめします。高いですが、つけて損はしません。というより、これがないとヘルメットの価値が半減するくらいの強烈なアイテムです。

4.最強システム

最強は何か、というと、Arai プロシェードシステムとSHOEI フォトクロミックシールドの2択で、どちらを選ぶかは好みによります。これらはそれぞれの得意分野があり、甲乙つけがたいです。

トンネルでもシールドを開けずに瞬時に視界確保したい人、夕日の直撃なども少しでもカットしたい、という完璧主義な人はArai プロシェードシステム、自動の視界調整で楽に快適を求める人はSHOEI フォトクロミックシールドとなります。プロシェードシステムは実売6,000円前後、フォトクロミックシールドはヘルメットの種類によりますが20,000円前後なので、コスパはAraiが圧倒的です。

フルフェイスやシステムのインナーバイザーは、チンカーテンをつけると曇って面倒で、事故時の安全性に多少の影響もありそうなことから、次点になりますね。でも正直ここまでのいずれかがあれば十分快適です。どれも対応していないと、大きく手間や危険度が増えます。

Araiのプロシェードシステムは、見た目以外インナーバイザーのほぼ完全上位互換となるので、インナーバイザーヘルメットとAraiプロシェードシステムで迷った場合、Araiプロシェードシステムを選んだ方がたぶん幸せです。もちろん、軽さや頭へのフィット感、デザインなどもあるので、総合的に自分に合ったものを選んでください。

遮光シールドの観点のみからヘルメットを選ぶと、Araiのフルフェイス全般+プロシェードシステムSHOEIのX-Fifteen、X-Fourteen、Z-8、Z-7のいずれかが理想です。

筆者は主にSHOEIフォトクロミックシールドとAraiプロシェードシステムを使い分けて、夏場などはシステムとジェットでインナーバイザーのものを使っています。

遮光システムがないものは、光の状況によってシールドを付け替えたり、サングラスをかけたりという手間が必要になるので、その手間が無理な人は遮光対応シールドがあるヘルメットをを選ぶようにしましょう。熟練者以外は、最低でもインナーバイザーレベルは装備しているヘルメットを選ぶと快適なバイクライフをエンジョイできると思います。特に冬場は太陽が低く、まぶしい時間が多いので、気をつけましょう。