フルカウルバイク、前傾ヤバさランキング【国内全30車種】
2024.02.25
2022.12.09
カワサキのモタード、KLX230SMのオーナーインプレッション動画です。セローにも乗っているので、セローとの比較も含めた街乗り全般の感想をまとめました。
この動画では、車体の様子、走行体感、メカ体感、総合評価、ヤマハセローとの比較の順に紹介します。
KLX230SMは、車体がオフロードバイクなので、とても軽く動きます。これはベースのKLX230Sからだと思いますが、セローなどと比べてもかなり軽快に動く感じがします。スタンディングに近い状態で走ったり、コーナーをリーンアウトで回ったりと、体が勝手に動いて車体を自在に動かしてしまう、そんなポテンシャルを持ったバイクです。
KLX230SMは、装備重量136kgと、ナンバー付きオフロードバイクの標準的な車重です。ヤマハセローは133kg、ホンダCRF250Lは140kgです。この軽さは、取り回しがとても楽です。さらに、小径タイヤのおかげで全体が少しコンパクトなので、それも含めて軽々動かせます。この扱いの楽さは、日常使いにはもってこいですね。
比較タイヤサイズが前後17インチと小さいこともあり、同系のオフロード車より小ぶりです。セローなどはフロントタイヤが21インチと大きく、それもあって車体全体がやや大きめですが、KLX230SMはそれらよりも心理的負担が少ないです。狭めの駐車スペースなどにも入れやすいです。また、ハンドルや給油口の高さが普通のバイクの位置に近く、その面でも楽ですね。女性など、身長によってはオフロードバイクにありがちな給油口の高さだと給油もしづらい、ということもありますが、KLX230シリーズは扱いやすいです。
KLX230SMに乗って最初に感じたことは、「直進安定性の低さ」です。クイックに車体を動かせる反面、路面のギャップなどに影響を受けやすいようで、一般道を走りながら、よくハンドル修正します。イメージ的には、常に小さく蛇行を続けるような感じです。タイヤが小さいミニバイクなどに似ていますね。21インチ設計のフレームに17インチの小さいタイヤを付けたからなのかもしれませんが、21インチのオフロード仕様に乗っていないので、そのせいなのかは分かりません。とにかくよくハンドル取られるので、正直、これで高速走るとヤバいのでは、と思いました。しかし、実際に高速を走ったら意外な展開が待っていたので、次回の高速道路編にまとめます。
走り出しからケツが痛めです。1kmくらい走るだけでシートの硬さを意識し始めます。半日くらいでケツが痛いというつぶやきが増えるのではないでしょうか。筆者は、ケツ強度高めで、直立系バイクでもケツ痛になりづらいのですが、このKLX230SMは、ケツ痛をちょっと感じるので、ゲルザブ敷こうかと思っています。
また、シート高は高めです。セローはノーマルで830mm、ツーリングシートで860mmですが、860mmよりも高く感じます。シートが硬いことと、オフロードバイクよりもサスペンションの沈みが小さいこともあり、シート高840mmのスペックにしては高いですね。ヤマハのテネレ700が875mm、ローバージョンが837mmですが、より沈まないテネレのローバージョンと同じくらいの感覚かなと思いました。
まあでも車重が軽いので、高さの割には扱いはかなり楽です。
エンジン音が静か目で、優しい感じがします。オフロードバイクにありがちなワイルド感は少なく、ゆっくり気持ち良く走れます。アイドリング回転数もオフロード仕様より低めに抑えられているとのことで、住宅街でも周囲に気を遣うような音は出ません。
シフトチェンジする際のペダル操作が軽いです。軽すぎて、ニュートラルに入れる力加減がむしろ難しく、かなり優しく操作しないと1→2、2→1と無限ループします。まあでも全体的な操作が軽い方が楽なので良いでしょう。
ギアは6速ありますが、街乗りは5速程度までが主体ですね。説明書の慣らし運転部分には、200km走行まで6速では最大60km/hまで、と書かれていますが、正直6速で60km/h以下ではノッキングに近くとても乗りづらいので、60km/h〜65km/hくらいで6速にシフトアップするくらいが普通の乗り方になりそうです。
タイヤサイズとギア比の関係は、街乗りにかなり良いです。1速の加速力がない、とか、特定のギアのつながりが微妙、などオフロードバイクにありがちですが、KLX230SMのバランスはオンロードで快適です。6速は少し遠い感じがしますが、KLX230SM特有のECUセッティングとのことなので、ハイギアードっぽく高速道路などで使いやすくしているのかもしれません。
惜しいところとして、シフトポジションインジケーターがないので、何速かわからなくなってきます。セローやSRなど、シフトポジションインジケーターがないバイクも乗っていますが、5速くらいなら雰囲気でわかりますが、6速あると何速に入れたか忘れます。エンジン音も静か目で、タコメーターもないので、ポジションが目でわかるとうれしいかな、と思います。ただ、個人差はあるでしょうし、このバイクだけ常に乗っていると気にならないかもしれません。
6速はきっと高速で役立ってくれるでしょう。5速のセローより楽そうですが、下道の直進安定性の低さからすると、どういう感じになるでしょうか。
タンク容量は少なめで、7.4lです。スペック表では燃費が33.4km/lとなっているので、250kmくらいは走れるっぽいですね。140kmくらい走って燃料計は6コマ中残り2コマでした。まあだいたいスペック通りの感じがします。
モタードとしてオンロード前提なので、前後ABSがついていて、キャンセル不可です。ガチオフじゃないので、ABSありはありがたいですね。ブレーキのタッチはオフロードバイク寄りなので、普通に扱っているとABSが作動するような挙動にはなりにくです。
総合的な感想をまとめてみます。乗り始めの50kmくらいでは、オンロードフィーリングは正直ヤマハ セローに完敗か、と思いました。直進安定性が低く感じられ、シートも硬い、6速ミッションも下道では5速くらいの方が使いやすい、などいろいろなデメリットが強く感じられて、すぐに売ろうかと思いながら走っていたものです。それから200kmくらいまで走るうちに、メリットがいろいろわかるようになって、評価が大きく変わり、街乗り特化としてかなり優秀、と思うようになりました。
車体のコンパクトさは同クラスのオフロードバイクよりも秀でていて、市街地で使いやすいです。車体の動きがいいことから来る直進安定性の低さも慣れるとそれほど気にならなくなります。街乗りにおいては、車体のコンパクトさや静かさ、軽さがこのバイクの優位点ですね。
総じて、セローなどのオフロードバイクよりちょっとコンパクトで扱いやすい、自転車感覚で楽に扱えるバイクです。モタードKLX230SMは、期待以上の出来でした。
次回は、高速道路、長距離ツーリングがどこまでいけるか、セローとの街乗り徹底比較などをやってみたいと思います。ダートくらいなら難なく走れそうなのでやってみたいですが、それはさすがにしばらく先になりそうです。