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2022.12.27

改悪?車検証電子化!

2023年から車検証が電子化されると、電子化コストのためになぜか車検代が上がります。そして、ユーザーの利便性は、むしろ下がります。

これについて詳しく解説していきます。

1.車検代が上がる

まず車検代ですが、四輪は200円〜300円、二輪は100円値上げです。これは継続検査の検査手数料名目の費用として追加されるようです。

実際には申請手続きごとに細かく分かれており、車検以外にもいわゆる名義変更と呼ばれる移転登録、変更登録なども値上げされるのではないかと思いますが、正確な情報が届いていないので、またわかったらお知らせします。

2.ユーザー利便性

ユーザーの利便性ですが、A4からA6になって、小さくなり、ちょっと厚くなります。他には、アプリで読み取るとリコール対応情報が確認できます。リコール情報は普通にWebで見られるので、ほぼ使わないでしょうね。はい、要するにメリットはちょっと小さくなるだけです。残念ながら、一応メリットらしいことは正直これだけです。

逆に悪くなることもあります。従来の車検証にある情報の全てを読み取るには、アプリケーションが必要です。iOS、Androidに専用アプリをインストール、またはWindowsに専用アプリをインストールしてICカードリーダをつなぐと読み取ることができます。

今までは目で見るだけだったのが、わざわざアプリ起動して車検証にかざして、というプロセスをふまないと見ることができなくなりました。車両の売買の時など、今まで車検証のコピーをメールで送ったりしていろいろ片付いたのが、所有者がアプリで読んでメモらないといけなそうなので、手間が増えそうですね。

読み取るには、ICカード現物が必要なので、自分で読み取るか、業者にICカードを送るか、といういずれかになるため、利便性が下がるとみてよいでしょう。

ちなみに、アプリやリーダーですが、運輸支局の窓口あたりにも設置することを検討しているようですが、確定情報はまだありません。わざわざ運輸支局で読み取らなくても、手元のスマホにアプリをインストールして読んだ方が手間が少ないので、窓口で読めることはそんなに重要ではないでしょう。

また、ICタグが何らかの理由で壊れると、結構面倒なことになりそうですが、この動画公開時点では対応方針が明確に決まっていないようです。

まとめると、小さくなった分ちょっと厚くなり、情報を読み取るためにアプリのインストールが必要になり、いろいろ面倒になった挙げ句値上げされた、ということです。

3.誰が得するの?

ユーザーにとって実質デメリットの方が大きく、費用が上乗せされることがわかりました。では、車検証電子化によって誰が得をするんでしょうか。

今回電子化したことにより、継続検査、いわゆる車検の時にだけ、必ずしも運輸支局に出向く必要がなくなります。その他登録手続きは簡素化されません。とはいえ、車検のラインを持っている「指定工場」と呼ばれるごく一部の業者、四輪新車ディーラーなど以外は、車検の検査を受けるのに運輸支局に車両を持ち込むので、指定工場以外は今までと手続きが変わりません。

つまり指定工場を持つ会社だけが、手続きを簡略化できるので少しメリットがあることになります。

また、運輸支局窓口の公務員さんは、対応件数が少し減ってのんびり仕事できるかもしれません。

でも値上げした車検の検査手数料は、ユーザーに請求するんですよね。どうして、何のメリットもないユーザーが支払うんでしょう。数百円とはいえ、納得できる人は少ないんじゃないですかね。

4.将来的にいいことは有るんですよね!?

では、果たして素晴らしい将来設計があるのか、考えてみます。

本来、電子化されることによって、アナログの手間が省かれることが目的なはずです。今までは紙の実体を運輸支局窓口に取りに行ったり、各種手続きがとても煩雑で、無駄なことが多いです。

OSSという、オンラインで申請手続きを行えるシステムがありますが、これを使うと、紙の申請では1回運輸支局に行って申請からナンバーの付け替えまで行えたのが、オンライン申請する書類を運輸支局に持って行くナンバーを取りに行くという流れになり、なぜか2回足を運ぶことになります。オンラインにすると、手間が増えるのです。しかも、運輸支局によっては、申請しても放置していて、電話で申請したよ、と言わないと進めなかったりもします。少なくとも、ちょっと前に千葉運輸支局はそうでした。東京運輸支局は、電話しなくても進みましたね。

1回目の書類を持って行く、については、法律的には郵送でOKのはずですが、なぜか運輸支局が受け取らず、誰か来いと言われます。本人でなくてもよく、委任状もいらないから誰か人をよこせ、という謎の要求です。日本はIT後進国なので、本当にどうしようもないですね。

将来的に、こういう無駄がなくなるなら良いですが、どうでしょう。

今回の電子化では、使用者が変わる場合は車検証ICカードが再発行され、結局運輸支局に出向いて受け取る必要が有ります。今までのアナログな受け渡しの手間が減らず、紙の車検証時代とやっていることの本質は変わりません。ただ紙がカードになった、というだけです。

日本のお役所の得意な、「ファックスなくしました」「紙をカードに替えました」ということが電子化、デジタル化、と思ってしまっていて、目的が紙を捨てること、という残念な結果になったようです。

今まで紙の車検証の備考欄にも記載されなかった、抵当権などの情報は、当然アプリで読めるようになるんですよね?という疑問には、「紙に記載がなかったものはアプリでも読めません!」だそうです。ジョークかと思いました。

唯一の希望は、今回車両IDが付与されることですが、この一元管理により物理的なICカードをなくし、全ての手続きがオンライン完結できるように制度設計すれば利便性が上がります。でもそのつもりがあれば今回やっているので、あまり期待できそうにないですね。

結論としては、おそらく将来的にもいいことはなく、なぜかお金だけ余分に取られるようです。控えめに言って、最悪ですね。

車検証の今後の仕様変更を含め、車バイク関係で使える情報を今後も配信していきます。