バイク比較

2023.12.30

YAMAHA 125ccシリーズ(XSR125・MT-125・YZF-R125)

ヤマハ125ccシリーズ3台に共通した特性と、意外に違いのあるそれぞれの特徴、ホンダ、スズキ、カワサキ各種125ccモデルとの違いも紹介します。

1.共通

XSR125

XSR125

まず3台に共通した特性ですが、加速感は心地良いレスポンスです。ストップアンドゴーも概ねスムーズで、特別速くはないもののもたつく感じでもありません。低回転特化ではないので軽く街乗りすいすいという感じではありませんが、エンジンもスムーズに回るので加速したい時は回転数を上げていけば気持ち良く走れます。

フルサイズ125ccとしてはバランスが取れているので、これで走りづらいと感じる場合は軽くて低回転特化のミニバイクか250ccなどを探した方が良いと思います。

旋回性能

旋回性能はモデルによって差はありますが、小型バイクらしく軽々回れます。乗車姿勢や荷重のかかり方がそれぞれ違うので、MT-125が曲がりやすいと感じる人が多そうです。セパレートハンドルと前傾姿勢に慣れていればYZF-R125も扱いやすいでしょう。XSR125は少し体感が違うものの、曲がりにくいバイクではなく3モデルとも扱いやすいバイクになっています。

エンジン特性

エンジンのスペックは、11kW(15PS)/10,000rpm、12N・m/8,000rpmとなっていて、125ccフルサイズバイクでは標準的な数値です。ホンダCB125Rもピークの数値は同じになっています。エンジンは高回転も回せますが、低回転も走りづらくありません。VVAというカムを切り替える仕組みもあり、全体的に使いやすくなっています。切り替えポイントは言われなければわからないというか、言われてもわからないくらいではないでしょうか。万能感の高い仕立てなので、使いづらいと感じることは少ないと思います。

2.サイズ感と取り回しのしやすさ

取り回し車重と最小回転半径でおよそ取り回しのしやすさがわかりますが、およそ似たような感じなものの、セパレートハンドルはハンドル切れ角が少なめなので取り回しは多少不利です。

それぞれの数値は以下の通りです。

メーカー車名車重最小回転半径
YAMAHAXSR125137kg2.3m
YAMAHAMT-125138kg2.4m
YAMAHAYZF-R125141kg2.8m
SUZUKIGSX-R125137kg2.6m
SUZUKIGSX-S125135kg2.3m
HONDAGROM103kg1.9m

これらを取り回ししやすい順に並べるとGROM、GSX-S、僅差でXSR、MT、GSX-R、YZFとりますが、GROMのようにミニバイクとは差があるもののフルサイズ間ではそんなに差がありません。セパレートハンドルはハンドル切れ角が少なめなので、バーハンドルとセパレートハンドルでいくらか差は感じると思います。


車体サイズはやや違いがあります。

メーカー車名全長全幅高さ
YAMAHAXSR1252,030mm805mm1,075mm
YAMAHAMT-1252,000mm800mm1,070mm
YAMAHAYZF-R1252,070mm725mm1,135mm
YAMAHAYZF-R72,070mm705mm1,160mm
SUZUKIGSX-R1252,000mm700mm1,070mm
SUZUKIGSX-S1252,000mm745mm1,035mm

3.3種の違い

次に3車種それぞれの細かい特徴を見ていきます。

XSR125

XSR125

XSR125

まずクラシック系のXSR125ですが、全体的に上質な仕上げになっています。タンクの仕上げ、シートの造形、ライト周辺の作りなど、全体的に安っぽさのない凝った作りです。

125ccにしてはハンドル遠目で、着座位置から50cm以上前になっています。そのためやや前傾姿勢になり、標準的な位置に座るとカワサキNinja400よりは前傾です。ホンダCBR400Rより気持ち直立か、くらいで、セパレートハンドルの軽い物くらいの水準なので、ネイキッドバイクの中ではかなり前傾になります。身長が高い人は気にならないはずですが、身長によっては好みに合わないかもしれないので実際にまたがってみると良いです。

XSR125シート

XSR125シート

シート幅がやや広めで、シート下の造形物が張り出しているのでシート高の割に足つき悪目です。特に両足着こうとするとかなり地面が遠くなり、体感ではシート高835mmのXSR700よりも両足は着きづらいです。3兄弟の中で一番足つきが悪いというウワサは本当だと思って良いでしょう。ただし、片足で着く場合は差が縮まるので足つきが気になる人は実体験をオススメします。MT、YZFはローダウンオプションがありますが、XSRには今のところないことも注意しておきましょう。

XSR125フロントタイヤ

XSR125フロントタイヤ

タイヤサイズはフロントが他2車種より太くなっています。その他諸々のバランスから、アグレッシブに走るよりもゆったりツーリングの方が向いていて、自然にそういう走りになりやすいでしょう。

足つきを含めた車体のサイズ感と、ゆったり走行感覚がこのバイクを選ぶときのポイントになりますが、体が大きい人のんびり流して乗りたい人質感の高いバイクが好きな人という方々にはマッチしやすいと思います。

XSR125は販売計画台数が3,000台と、メーカーは3兄弟の中で一番売れると見込んでいるようです。

MT-125

MT-125

MT-125

ストリートファイタースタイルのMT-125はXSRと比べるとハンドルがかなり近めです。標準的な着座位置が前なので、それによってハンドルとの距離が狭まっています。意識して後ろに座るとXSR程度の前傾姿勢になるので体が大きい人は試してみてください。上は180cmくらいまでは何とか普通に乗れ、ローダウンリンクで車高を下げることもできるので下は160cmくらいから普通に扱えると思います。脚の長さなどのバランスで変わるので参考程度にしてください。

MT-125

MT-125

乗車姿勢などから、モタードっぽい乗り味に感じるところがあり、リーンアウトでコーナーを曲がったり、スタンディングしたりしたくなるような乗り味です。エンジンをガンガン回して俊敏に走るのがMTの醍醐味で、市街地のストップアンドゴーなど日常のあらゆるシーンで爽快に走れます。

MT-125は体が大きくない人街中を颯爽と走りたい人前傾姿勢を求めていない人ストファイの見た目が好きな人という方々にベストマッチでしょう。

YZF-R125

YZF-R125

YZF-R125

フルカウルのYZF-R125は見た目通りの前傾姿勢です。前傾度合いは、カワサキNinja400とは別次元の前傾、カワサキZX-4Rよりはるかに前傾、スズキGSX-R125より前傾、隼・HAWK11・CBR650R・SV650Xほどではないけれど近いくらいの前傾、最強クラスの前傾マシンYZF-R7よりは軽いという水準です。数値上は身長190cmくらいの人にはそうでもなく、160cmくらいの人は慣れていないと地獄絵図です。

YZF-R125前傾率

YZF-R125前傾率

走行感覚は、フルカウルスポーツらしくアグレッシブにガンガン走るのに向いています。低回転も十分使いやすいですが、自然に上まで回したくなるでしょう。

YZF-R125は、前傾姿勢をものともしない人全開ヒャッハーしたい人フルカウルスタイルが好きな人という方々には満足度が高いと思います。

3.他のフルサイズバイクとの違い

GSX-S125・GSX-R125

GSX-S125

GSX-S125

スズキのGSXシリーズは、2017年から国内で販売されていて、安定した人気のモデルです。

エンジンスペックはこの通り、ヤマハより高回転寄りで、トルクが薄めです。

11kW (15PS) / 10,500rpm、11N・m / 8,500 rpm

走行フィーリングは、より高回転型エンジンというスペック通り、10,000回転オーバーで走ってこそ真価を発揮します。6,000回転以上で走り続ければ楽しいことこの上ありません。その分低回転トルクは薄くなっていて、ヤマハより市街地走行はもっさり気味です。

ヤマハの3モデルとの比較では、日常ユースメインならヤマハの方が使いやすく、高回転回すことに快感を覚える系のヘンタイさんは迷わずGSXを選んでください。ヤマハの方は日常の移動から回してガンガン走るという使い方までオールマイティーにこなせるので、相手がヘンタイかどうかわからない場合はヤマハを勧めるようにしています。

GSXは値段が結構安く、定価で6〜8万円ほど違い、さらになぜかスズキ車は実売価格が安めなので、実態は10万円から15万円近く差があることもあります。コスパで選べばスズキなので、迷う人は価格差に見合う価値を感じるか乗り比べることをオススメします。


CB125R

CB125R

CB125R

ホンダのCB125RはCB250Rと共通車体のモデルです。

エンジンスペックは、ピークの数値はヤマハと同じです。

11kW(15PS)/10,000rpm、12N・m/8,000rpm

CB125RとGSXのどちらがヤマハに近いかというと、CB125Rの方が走行感覚は近いと思います。フルサイズ125ccで万能感を求めると今まではCB125Rに行き着きましたが、今後はMTやXSRも選択肢に入ります。MTやYZFほどのアグレッシブさを感じませんが、エンジンは下から上までまんべんなく使えます。感覚的には、MTとXSRの間くらいの走行感覚でしょうか。

値段はMTよりも2万円ほど安いので見た目が気に入ったらCB125Rを選ぶと良いです。ただ少し予算を上げるとCB250Rという強力なライバルが視野に入るので、125cc縛りがないならCB250Rを全力でオススメします。

Z e-1・Ninja e-1

カワサキからは、125cc扱いの電動バイクとしてZ e-1とNinja e-1があります。まだ入手出来ていないので、実機検証はこれからですが、スペックから紐解いてみようと思います。

ボディはZ400・Ninja400から転用されているので、ほぼそのサイズ感です。長さ1,980mm、幅730mm、高さ1,035mmで、MT-125の2,000mm・800mm・1,070mmよりむしろ小さくなっています。

出力は9.0kW (12 PS) / 2,600 - 4,000rpmで、ヤマハの11kW(15PS)/10,000rpmより最大出力は小さいですが、発生回転数は低くなっています。回転数はエンジンとモーターで特性が違うので、ここは走らせてみないと差がわかりません。

顕著なのはトルクで、40N・m / 0 - 1,600rpmとなっており、0回転から最大トルクを発揮します。ヤマハは12N・m/8,000rpmなので、トルクの差は圧倒的です。

車重は135kgで、MT-125の138kgよりやや軽いようです。

数字だけ見るとモンスターマシンですね。

航続距離が50kmそこそこなので使い方はかなり変わりますが、相当面白いマシンなのではないかと期待しています。

値段はZ e-1が1,012,000円、Ninja e-1が1,067,000円です。かなり高額ですが、補助金がある地域では40万円ちょっとで買えるので、補助金が使えそうならそれも含めてコスト比較してみましょう。

カワサキ電動バイクは、入手出来たらフィーリングについて詳しくレビューする予定です。