バイク比較

2023.02.17

ZX-4Rの前傾率〜姿勢が近い車種をピックアップ

話題の、カワサキZX-4Rの前傾率を計りました。結構いける人が多いレベルの前傾率かなと思いましたが、具体的な数値と理由を他のバイクとの比較をあわせて紹介します。

まずはZX-4Rの前傾率を、メーカーの写真から導きます。シート高、ハンドル幅、ハンドル位置の数値を使い、いつもの計算式に当てはめます。

スペックは、国内モデルで多少変わる可能性はありますが、シート高は800mm、ハンドル幅765mmです。

これから導いた値を計算式に入れると、身長175cmの人は39.8%、身長160cmの人は47.6%です。

10%以下は完全直立の確定ケツ痛10〜20%はほぼ直立のケツ痛予備軍20〜25%はほどよい軽前傾25〜30%はプチ前傾30〜40%は普通の前傾40〜50%はハードモード50%以上は地獄絵図、という目安からすると、身長により普通の前傾からハードモードのあたりですね。

さて、40%前後の前傾率と言われてもどれくらいかイメージがつかないと思うので、他のバイクの前傾率と比較してみましょう。

まずは多くの人が一度は乗ったことがある、ホンダCB400SF。

こちらはバーハンドルのネイキッドなので、175cmで20.3%、160cmで28%と、ほどよい前傾率です。前傾がきつくなく、直立過ぎてケツ痛になることも少ない、という理想的なポジションですね。CB400SFからZX-4Rへの乗り換えは、結構前傾がキツいと感じるでしょう。

次に、400ccで近年安定の売り上げを継続しているカワサキNinja400。こちらは26.8%、33.4%と、CB400SFより前傾ですが、プチ前傾レベルなので楽です。無印Ninjaシリーズはどれもあえてなんちゃって前傾を貫いていて、ZXシリーズとは差別化をはかっています。フルカウルで風をよけつつツアラー的に使う、というのに最適ですね。

次に、カワサキのZXシリーズを見てみましょう。ベースがZX-4Rと共通と思われるZX-25Rは、ハンドル幅、シート高が少し違いますが前傾率はZX-4Rとほぼ同じです。ZX-4Rを買うか考えている人は、ZX-25Rを試乗すれば前傾具合はだいたい想像できそうですね。

大型ミドルクラスのZX-6Rは、56.6%、65.4%と、かなりの本気モードです。6R好きなんだけど姿勢が辛いんだよな、という人は、もしかしたら4Rがベストマッチかもしれません。

ホンダのフルカウルバイクですが、CBR650Rは48.7%、58.1%と、ツアラーにはちょっとしんどい前傾です。前傾きつくない、ツアラーに使える、という紹介のされかたもよくありますが、50%前後は結構厳しめに感じる人が多いので、これについてはあまりネットのコメントを信用しない方が良さそうです。

CBR400Rは、3631.4%、39.1%です。こちらはNinja400よりはさすがに前傾ですが、30%台に収まっているので長距離いけるでしょう。満タン給油で500kmくらい走るようです。ツアラーポテンシャル高いですね。ZX-4Rはこれよりちょっとキツめでしょう。

ホンダの250ccスポーツモデル、CBR250RRは4143.8%、52.4%と、スポーツモデルらしい前傾です。ZX-4RはCBR250RRよりちょっと直立ですね。

ヤマハYZF-R7。2022年は売り上げ総合25位と健闘しました。前傾率はなんと60%、69.7%です。これはなかなかキツいですね。DUCATIパニガーレV4が近い水準です。ホンダのCBR1000トリプルRは65%ですが、その辺のサーキット本格派レベルです。ZX-4Rは、R7とは比べものにならないくらい楽だと思います。

YZF-R3は、だいぶ優しそうなイメージです。実際にはかってみると、34%、41.6%と、R7などとくらべるとかなり軽いですが、

Ninja400より結構前傾です。ZX-4Rの方がR3より前傾ですが、わりと近い前傾具合なので、R3よりちょっと前傾、くらいにイメージできそうです。

ちなみに、ヤマハの最高峰モデル、YZF-R1はまだ測定していないので、次のヤマハ編でまとめる予定です。

スズキのGSX250Rは、32.6%、40.1%です。CBR400Rと同レベルですね。一応前傾を感じるけどキツくない、というポジションです。

ジクサーSF250も、62と、同じようにキツくないポジションですね。スズキの250はフルカウルモデルも姿勢は優しめです。日常使いにも余裕でしょう。スズキの250からZX-4Rに乗り換えると結構キツく感じるはずです。

650ccのカフェレーサースタイル、SV650Xは49.4%、58.9%と、ハードモード全開です。半日で家に帰りたくなるくらいなので、この辺のゾーンは前傾スポーツ系を当たり前に乗り慣れている人でないとしんどいと思います。ZX-4Rはこれよりだいぶ楽そうなので、だったら1日乗っても平気かも、と想像するところです。

GSX-R125は、125ccながら結構前傾深めで、42.3%、49.9%です。ZX-4Rよりも少し前傾深いですね。(表・表-6)体型や座る位置などにもよりますが、平均的な体型の人がシートの一番低いところに座るとZX-4Rの方が楽に感じるはずです。

これらのバイクの前傾率を並べるとこうなりました。ヤマハR7を筆頭に、ZX-6Rあたりまでは結構気合いを入れて乗る必要がありそうです。CBR650Rもそこそこです。

ZX-4Rに近いのは、CBR250RR、GSX-R125、YZF-R3/R25の3種類です。ZX-4Rは、CBRとGSX-R125より数値上は少し楽なはずですが、体型によって感じ方が違うので、同じくらいと思えばいいんじゃないでしょうか。ヤマハのR3、R25はZX-4Rより直立ですが、比較的近い感触になりそうです。

前傾率による乗車フィーリングから考えると、乗り換えて大満足しそうな人は、例えばZX-6Rに乗っていて、ポジションを楽にしたいけど、ZX-25Rだとパワーが物足りない人などはかなり良さそうですね。ポジションが劇的に改善されて、パワーも当然6Rには劣りますが回せば許容範囲、というふうに感じるかもしれません。

GSX-R125に乗っている人で、増車か乗り換えする人も、ポジションに大きな違いがなくパワーアップするので、良さそうです。

YZF-R3、R25からの乗り換えや、スズキの250ccフルカウルからの乗り換えは、キツくなる想定を事前にしておけば、慣れでどうにかなりそうな気がします。

Ninja400から試乗しないで乗り換えると、ポジションで「あっ!」てなると思います。25%と40%の違いは結構大きいので、その辺を頭に入れておいて挑んだ方がいいですね。25Rでわかるので、できれば25Rを試乗して雰囲気をつかむといいでしょう。

ZX-4Rは、総合的に慣れれば街乗りや長距離ツーリングにもいけそうですが、腰痛持ちの人やバイクに乗る頻度が低い人などにはちょっとこたえる姿勢かもしれません。個人的には、SV650Xよりだいぶ楽そうなので、慣れでどうにかなる範囲かなと思いました。