Rebel250

驚異の売れ筋バイク、ホンダRebel250を掘り下げてみます。さて、なぜ爆発的に売れ続けているのでしょうか。

1.カテゴリー

まずバイクとしての分類ですが、ホンダはツーリングというカテゴリー内で、クルーザーと表現しています。いわゆるハーレーなどのアメリカンテイストの方向性です。

コーナーリングよりも直進安定性に振ったバイクで、レブルシリーズもホンダのバイクの中では直進安定系です。

そういう意味ではクルーザーなのですが、乗車姿勢は必ずしも長距離クルージング向きというわけでもありません。

総合的にクルーザーという言葉のイメージとはちょっと違うのですが、全体の完成度はとても高くなっています。

2.特徴的な乗車姿勢

乗車姿勢ですが、クルージングスタイルのイメージとは少し離れます。

シート高は低く、ペダルと脚が干渉しないため、7-2足つき性能は非常に高く、体型バランスにもよりますが140cm台の人も適正身長に入ります。

前傾率を計算すると、21.1%、30.2%と、軽い前傾姿勢です。20%台の前傾率は、一般的なバイクのポジションではケツ痛にもなりにくく、長距離移動に理想的ですが、レブルの場合はステップ位置がかなり前になるため、ちょっと様子が違います。

ストレッチをしているのか、手こぎボートを漕いでいるのか、という感じのいわゆる「くの字姿勢」になるので、長時間乗っていると背中が疲れやすい傾向にあります。

たまに乗るくらいでは、2〜3時間走っただけで背中がやや筋肉痛になるかもしれません。

この乗車姿勢こそがこのバイクの大きな特徴と思いますので、それが問題なければおそらくレブル250にネガティブな印象はなく、買って後悔することはないでしょう。

3.エンジン

エンジンはDOHC水冷単気筒エンジンで、CB250R・CRF250と同じです。それぞれセッティングが違うのですが、スポーツネイキッドからオフロード、コンパクトアドベンチャーツアラー、クルーザースタイルまでセッティングの変更によって幅広く対応できる、優れたエンジンです。旧モデルですが、CBR250Rというフルカウルバイクにも搭載されていました。

とても実用的なエンジンで、街乗りの速度域では非常にキビキビ走れます。都市部の裏道から幹線道路まで、ストップアンドゴーも楽々です。高速道路もエンジン自体の振動が大きい方ではないので、時速100km連続走行も問題なくこなしてくれます。

特徴的なエンジンではないので、CB400SFのアドレナリンマックスな高回転フィールや、SR400の低回転の絶妙な鼓動感のようにエンジン自体のフィーリングに病みつき、というような性質ではありませんが、その分ネガティブ要素が少ない、とても扱いやすいエンジンです。

4.街乗り走行感

レブル250の街乗り走行は、実用的な250ccバイク感で、普通に快適です。直線を走る上では、CB250R同様、乗りやすくてとても優秀です。

見た目のスタイルからはのんびり走りそうなイメージを持ちますが、ストップアンドゴーはキビキビ走る感じで、クルーザーというよりスポーツバイク系です。

直線を走っているとスポーツバイク風なのですが、いわゆるスポーツバイクとちょっと違うのが、コーナーリングの挙動です。スペックを見直してみると、ホイールベースが1,490mmと長めで、CB250Rは1355です。またトレールも110と長めで、CB250Rは93です。

この2つの数値が大きいと直進安定性に優れ、コーナーのクイック感が薄れますが、これらの数値からもかなりの直進安定性バイクであることがわかります。これらの設計と、乗車姿勢により、コーナーリングは慣れないと難しめです。普通にセルフステアで何となく曲がろうとすると、スポーツバイクになれていると「全然曲がらない」と感じるかもしれません。セルフステアに期待するにはより車体を倒しこむ心づもりが必要ですが、ステップ位置や体の重心の低さから、倒しこむにはコツがいります。また、乗車姿勢の関係で、ハンドルに自然に力が加わりにくいので、意識的に操作系に介入していく必要が有ります。

曲がるのにいくらかスキルが必要という特徴は、クルーザー系バイクで曲がりきれずにクラッシュする動画などがたびたび公開されていたりするように、バイク自体の特性という面もあるので、スキルでカバーしていきましょう。

曲がる時は、積極的にハンドル操作していく方がやりやすいと思います。イメージとしては、外側のハンドルを押す感じです。タイトな八の字走行などの走り方に近いので、ジムカーナなどで熟練している人は簡単だと思いますが、バイク初心者の人などはちょっと難しいかもしれません。

全体的に、ワインディングや交差点の右左折など、曲がり方には慣れが必要で、誰もが乗りやすいバイクではありません。体型にもよるので、事前にその特性を理解した上で臨むことをおすすめします。

5.高速道路走行感

高速道路走行は、250ccクラスにしてはかなり優秀です。単気筒エンジンにしては不快な振動が少なく、時速100km走行も普通にこなしてくれます。街乗り走行感でもまとめた通り、スペック上直進安定性が高めなので、その特性は高速走行でも役立ってくれます。

クルーザースタイルなので、見た目的に合うデザインなら大きめのスクリーンも付けられるので、そういうカスタマイズをしていくとより快適になるでしょう。スクリーンをつければ長距離ツーリングの疲労度も下がるので、長距離用途の人はカスタマイズしていくと良いと思います。

7.視界

レブル250の視界は良好です。ミラーが見やすく、ノーマルミラーの標準位置で特に困ることはありません。もちろん体型にはよりますが、多くの人は位置変更なしで普通に乗れるでしょう。

スズキGSX-S125の左ミラーやカワサキZ125PROの左ミラーは、ほぼないのと同じというくらい見えません。モタードのカワサキKLX230SMは、両方ともほとんど使えません。カワサキZ400のミラーは、使えるけどかなり見づらいという感じです。41-2この辺はオフセット必須です。CB400SFやSR400のミラーは普通に使え、カワサキZ900RSのミラーは恐ろしく見やすい神ミラーです。

レブル250のミラーは普通に使えるCB400SFと同程度だと思います。

8.航続距離

燃費はリッター33.7kmと、まずまずです。タンク容量は11Lなので、計算上は370.7km走ります。最近のスペックにあるWMTCモード値はほぼ実態に近いので、だいたいこれくらいか、長距離移動などが多いともっといい数値になりますね。

370km走ると、標準的なバイクの水準だと思います。CB400SFが380kmです。

ちなみにCBR400Rは470km走る航続距離お化けで有名ですが、GB350は615km走るという異世界ファンタジー級です。そこまではいきませんが、レブル250の370kmも十分な航続距離でしょう。

9.取り回し性能

車重は171kgです。軽い方ですが、CB250Rが144kg、ジクサー250が154kgと、250ccクラスにしては重い方です。GSX250Rが181kgなので、250ccとしてはGSX250Rに次ぐくらいの水準です。

400ccのNinja400が167kgなので、現代の400ccクラスと同等と思えば良いでしょう。

最小回転半径は2.8mと大きく、CB400SFなどよりも小回りはききません。

オフロードモデルのセローや56-2小型のGROMの1.9mは自転車感覚ですが、2.8mは切り返し回数多めのバイクと感じます。

全体的な取り回し性能としては、セパレートハンドルの一般的なもののようにハンドル位置が低いことはなく、重心が低めなので、取り回しがしづらいことはないでしょう。

10.その他

ちょっと変わったところとして、メインキーが車体の左横にあります。説明されないとここがメインキーとはなかなか気づかないかもしれません。

また、収納スペースもないので、年式によっては普通にETCをシート下に入れることもできず、加工するか外につけるかと、いろいろ難儀します。この辺は、ETC標準装備のカワサキエリミネーターなどがありがたいところです。あちらはドラレコまで標準装備しちゃいましたからね。

11.購入層

購入層を販売店調査してみました。

購入層の特徴として真っ先に挙がるのが、足つき優先の人だそうです。ある程度身長に反比例する傾向もあるようで、女性ユーザーも多くなっています。正確な統計データではありませんが、半分とはいかないまでも少なくとも2〜3割は女性で、250ccクラスの女性割合平均値7%に対して群を抜いているようです。身長140cm台から乗れるフルサイズバイクは希少なので、ここはわかりやすい特徴ですね。身長175cmではシート高の低さがちょっと辛いので、身長に反比例する傾向があるのはよくわかります。65-2また、年齢層は20代がトップ、次いで30代、40代となり、若年層の割合がかなり高いです。10代、20代の女性はほぼほぼレブルを買っている、と言ってもあながち誇大ではなさそうです。

見た目を購入動機にする人ももちろん多く、クルーザースタイルを求めて、最終的に250ccにたどり着くとここ、という終着点になっているようです。軽くてコンパクトなものを求めると、ハーレーやレブル1100が対象外になるので、必然的にレブル250に行き着くでしょう。

スタイルは好きではないけれど身長から消去法でたどり着く人も一定数いるようですが、150cm台後半あれば、厚底ブーツで795mmのCB250Rに乗れます。830mmのセローにも乗れるので、足つき優先の人の中でも、150cm後半くらいあればこだわらなくても平気かもしれません。シート高の低さなら、780mmのヤマハMT-25もチャレンジの価値はあります。

片足の土踏まずより前がしっかりつく状態が理想的で、踵まで設置させるよりもバランスが取りやすいです。

脚の長さや筋肉量、その他条件で差はあるものの、もし消去法でレブル250にたどり着いた人は、一度他の選択肢も見直して見ると良いでしょう。

特に初心者の場合、レブルはかなり直進安定性に振っていて曲がりにくい方なので練習のためや安全のためを考えると最適というわけではありません。

レブル250がぴったり合う人は、見た目が好きな人ですね。コレが好き、という人は迷わずコレに行きましょう。中型クラスではカワサキの400ccエリミネーターもあるので、そこは悩むところかもしれません。

足つきから消去法で考える人は、一回視野を広げてから戻ってきてもいいかもしれませんが、総合的に、ホンダの250cc水冷単気筒エンジンシリーズはどれも完成度が高いので、あらかじめ癖をわかった上で乗れば満足度は高いと思います。

ニーズがあれば、またCB250Rとの細かい比較などもまとめてみたいと思います。