バイク比較

2023.05.20

400ccとミドル

普通二輪免許の最大排気量400ccと、乗りやすいと評判の650cc前後の大型ミドルクラスの特に違うポイントと、それぞれの長所を実際のバイクを材料にお話しします。

1(CB走行動画)普通二輪免許の最大排気量400ccと、2(XSR走行動画)乗りやすいと評判の650cc前後の大型ミドルクラスの3(走行動画画面2分)特に違うポイントと、それぞれの長所を実際のバイクを材料にお話しします。

今回の比較素材は、ペンたろう所有バイクからピックアップしました。

400ccは、教習車でおなじみ、ホンダCB400スーパーフォア、スーパーボルドール。売れ筋上位常連、カワサキNinja400の兄弟車、Z400。生きた化石、ヤマハSR400。

大型ミドルは、Vツインの生き残り、645ccのスズキSV650X。125ccで注目を集めるXSRシリーズの688cc、XSR700。

これらから、ネイキッドのCB400SF、Z400、SV650X、XSR700の4台を細かく比較しつつ、CB400SB、SR400も随所に紹介し、Ninja650やエリミネーターなど他のバイクも引き合いに出しながらバイク選びの参考資料をまとめてみます。

3.SV650X

まずは大型ミドルから。スズキのVツインネイキッドカフェレーサー、SV650Xからいきます。SV650とSV650Xは見た目とハンドル周りなど以外ベースは同じです。車重が199kgと、400ccのCB400SFとほぼ同じです。エンジン出力は、72PS / 8,500回転で、CB400SFの56PS / 11,000回転と比べると低回転で高い出力が発生します。トルクも同様で、63N・m / 6,800回転ですが、CB400SFの場合はより高回転の39Nm / 9,500です。

SV650の良いところは、とくかく扱いやすいバイクであることで、まさにCB400SFとの数値比較通り、SV650は低回転でアクセルを軽く回すと十分に速いです。高速道路では6速固定で追い越しできますし、街乗り低回転も扱いづらいことはなく、1速でもギクシャクすることなく普通に走れます。万能感はハンパなく、これ1台あればどんな用途にも使えます。また、Vツインエンジンは傑作で、個人的にはこのエンジンを味わいたくて、ついつい乗りたくなってしまいます。

SV650の残念なことろは、ケツ痛シートという個別の問題ですね。44-2ゲルザブなどで緩和しましょう。SV650Xの方が姿勢の関係でケツ痛にはなりにくいですが、前傾による疲労度は高いです。

SV650・SX650Xについてまとめると、・とても扱いやすい・Vツインエンジンが最高・街乗り低回転、高速走行、高回転まで弱点がない・ケツが痛いか姿勢が辛いが、46-6ケツ筋を鍛え上げればノープロブレムかもしれないといったところです。

4.XSR700

ヤマハXSR700は、ストリートファイターのMT-07、ビッグオフローダーのTénéré700と同じエンジンを積んだ兄弟です。

シート高が835mmなので、体のサイズが合わない人も多いと思いますが、48-2大小ともに個人差がある話なので、そこはメリットともデメリットとも捉えないでお話しします。

車重が188kgと、184kgのMT-07と並んで大型クラス最軽量チームとなっています。

この気軽感はかなり大きく、とりあえずXSR700ならどこでも行ける安心感があります。乗車姿勢も楽で、ケツ痛にもなりにくく、ハンドリングも軽快です。正直このバイクには、弱点が全く思いつきません。このバイクこそ、まさに優等生そのものです。

強いて言うなら、エンジンのドンつきがちょっと強めで、SV650のようなスムーズなエンジン回転変動ではなく、低回転からの加速のトルク感を感じるように演出されています。このトルク感が速さを感じるものの、ちょっとガクガクしがちなので、そこはデメリットと言えばデメリットです。ただしCB400SFのような扱いにくさは感じません。

また、車体に対してホイールベース短め、トレール短めで、ハンドリングマシンになっているため、直進安定性は高くはありません。とはいえそれは大型クラスとしては、というものですが、比較すると、XSR700はホイールベース1400、トレール90SV650はホイールベース1450、トレール106CB650Rはホイールベース1450、トレール101Ninaj650はホイールベース1410、トレール100という風に、これらの数値が小さい方がハンドリングクイック感が高く直進安定性が低めになる傾向があります。XSR700は同クラスのバイクより数値が小さめで、ハンドリングマシンのキャラクターにしているようです。ただ、パフォーマンスダンパーをつけて微振動を軽減すると、直進安定性はほぼ気になりません。

XSR700についてまとめると、・軽くて取り回ししやすい・ハンドリングが軽快・弱点が見当たらない・強いて言うなら同クラスと比べて直進安定性は少し低いとなります。

1.CB400SF

次に400ccの特徴を見ていきます。まずは多くの人が教習所で触ったことがある、ホンダCB400SF。絶版になる前は、これに100万円出すならミドルクラスを買った方が良い、という人も多かったですが、本当にそうか、詳しく見ていきましょう。(走行動画・エンジン音)CB400SFというバイクは、4気筒高回転仕様のエンジンを積んだスポーツバイクです。車重が201kgと、かなりの重量級です。16(CB250R走行動画)街乗りで扱いやすいバイクは、一般的に低回転トルク型で車重が軽いバイクですが、CB400SFは真逆です。CB400SFは乗りやすい、優等生、などと言うコメントをたびたび聞きますが、17-2どちらかというと高回転カチ回して楽しむ尖ったキャラクターのバイクです。さて、この尖った重量級400ccバイクですが、13,500回転まで回る高回転エンジンを、18-2VTECという回転数に応じてバルブコントロールシステムによって低回転時のトルクを半ば無理矢理確保しています。19(走行動画SF)そのため、ギアを1速に入れて走行するとギクシャク感がハンパなく、教習所で発進したらすぐ2速に入れていたという思い出がある人も多いのではないでしょうか。高回転重視のエンジンは、どうしても低回転が弱くなりますが、400ccではどうしても低回転時の乗りやすさを確保できなかった、という例です。(走行動画SF)CB400SFの強いところは、高回転を気持ちよく回せるところです。下道では難しいですが、高速道路の合流などでは、10,000回転オーバーまでパーンという爽快な音を奏でながら悦に浸れるでしょう。

大型クラスになると公道では全開回すのが難しくなってくるので、400ccのパワーだからこその長所といえます。甲高い音も、400ccクラスならではで、大型になると音がもっと野太くなります。(走行動画SB)また、車重の重さも影響にあると思いますが、高速巡航が楽です。特にハーフカウルのボルドールは優秀ですが、丸めネイキッドのスーパーフォアも十分安定感があります。弱いところは、高回転エンジンをトリッキーな仕組みで捻り出した低回転の扱いづらさで、その扱いづらさは125ccから900ccまで16台ほどあるペンたろうバイクの中ではトップです。CB400SFについてまとめると、・高回転4気筒エンジンが何より楽しい・高速巡航の安定性が高い・その分重い・400ccで高回転と低回転の両立は難易度が高いらしく、低回転が少々扱いづらいという特徴です。

2.Z400

次はカワサキZ400ですが、ここでまず400cccの分類を整理します。400ccは、CB400SFのように昔ながらの重量級と、250cc共通車体の軽量級があります。以前のカワサキNinja400は、Ninja650と共通車体で、車重は209kgくらいでした。25-2CB400スーパーボルドールの最終モデルより重いです。現在のNinaj400、Z400は、250ccと共通車体で、車重が166kg、167kgと、抜群に軽くなっています。26-2クルーザーのエリミネーターもベースが共通エンジンですが、少し部品が変わっているとのことです。26-3またフレームは専用設計で、車重が176kgと少し重くなっています。これらにより、Ninja400系の振動問題への対策にいくらか貢献しているそうです。ヤマハのYZF-R3とR25の関係も同じで、最近のこのクラスは軽量級が一般的になりました。Z400の大きな長所は、軽量故のパンチのある加速力です。信号待ちからのスタートなどは、軽い車体と十分なトルクで軽快に気持ちよく加速していけます。160kg台の車体は、取り回しもかなり楽で、250ccクラスの扱いと同じです。低回転も扱いやすいので、まさに乗りやすいとはこのこと、と思わせるバイクでしょう。弱点は、250ccクラスの軽量車体にパワーを載せたためか、一定回転以上回すと振動がかなり大きく、高速道路の巡航は少々辛いところがあります。80km/hくらいは良いですが、90km/hを超えて100km/hくらいになると短時間で手がしびれるくらいの振動がハンドルに伝わってきます。この振動はなかなか厳しいので、高速道路ツーリングメインのバイクとして買うと悲惨なことになります。逆に、下道中心の走りなら楽しいことこの上ありません。Z400についてまとめると、・軽い車体に十分なトルクがあり、街乗りが楽しい・軽いので取り回しがとても楽・高速域、高回転域がとても辛いといったところです。

5.400cc現存モデルの特徴

400cc2台の実例をざっとまとめましたが、400ccという排気量のバイクは何らかの偏りがあるモデルが多いようです。CB400SFの場合、高回転全振りでパワーを稼ぎ、低回転域はトリッキーに最低限を確保した、という特徴になっています。Z400の場合、軽量車体に400ccを載せて瞬発力を手に入れた分、高速、高回転時に歪みが出ている、という形です。他にも、ホンダのツーリングマシンとして人気のCBR400R、400Xは、海外向けは500ccで、国内向けとして400ccにダウンサイズされています。そのため、以前の650をベースにしたNinja400と同じように、エンジンスペックにしては車重が重め、というちょっと惜しいポイントを抱えています。とはいえ穏やかにツーリングするのが主体になるマシンなので、他の400ccに比べてネガティブに感じにくいかもしれません。

どれを買ってもだいたい失敗はないであろう大型ミドルクラスと違い、400ccクラスのバイクを選ぶ際には、乗り方やシーンを明確にしないと合わない可能性があるため注意が必要で、ぴったり合えばかなり楽しく扱えるかもしれません。

38(走行動画)ちなみに趣旨とはちょっと違いますが、レジェンドSRさんは・とにかくゆっくり走る・ひたすら低回転でドコドコいわせて走るという使い方をすると、抜群に楽しいのでおすすめです。あとは走り終わったらしばらく美しい車体をただ眺め続けるのも、乙な物です。

6.400ccと大型ミドルの明確な違い

(走行動画SV)前半の大型ミドル2台の紹介では、どちらの長所も、「扱いやすい」と紹介しています。エンジン出力に余裕があり、かつ過大すぎることもないため、低速から高速まで苦手なところ、気を遣う必要があるところがほぼありません。(走行動画XSR)ここが大型ミドルクラスのほぼ共通した特徴です。そのため、現在、大型ミドルクラスからどのバイクを選んでも、万能に扱いやすいものになります。より排気量が大きくなると、段々とハイパワーに気を遣うシーンが増えてきます。

(走行動画CB)400ccをまとめた際、「何らかの偏りがある」と表現しましたが、400ccはバランス重視より個性が強いものが多く、その分どこかに苦手なポイントができやすくなっています。CB400SFでは低速低回転の扱いにくさ、(走行動画Z)Z400では高速の振動、という具合です。大型ミドルクラスでは、そのような苦手ポイントは見つけにくいでしょう。

逆に、400ccは何らか尖った特徴があるので、そこにはまる使い方をすると抜群に楽しくなります。ミドルクラスは本格スポーツモデルを除いてはどのバイクもほぼ優等生なので、苦手なポイントがない分、尖った特徴を感じにくいかもしれません。

幅広くいろいろなシーンで使いたい人には大型ミドルクラス、自分の行動パターンがおよそ決まっていて、そこにはまるバイクがある場合は400cc、という風に絞っていくと幸せに近づくように思います。

大型二輪免許があっても、自分にマッチするモデルがあれば、400ccを選ぶ価値があるでしょう。

400ccは頑張っている感があるモデルが多いですが、少し排気量が小さい300cc、250ccくらいは、ミドルクラスの縮小版のような感じで、バランス重視で設計されているものが多いです。が、たまにZX-25Rのような突き抜けたイカレポンチもいらっしゃるので注意しましょう。普通の250ccがマッチしている人は、大型ミドルクラスも結構マッチするかもしれませんね。1台でいろいろまかないたい人は、大型ミドルクラスか、400ccは避けて250ccクラスがむしろオススメです。

400cc、大型ミドルクラスとも、バイクそれぞれの個別紹介など、ニーズがあればまた別の機会に掘り下げて紹介したいと思うので、気になる人は高評価を押していってください。