フルカウルバイク、前傾ヤバさランキング【国内全30車種】
2024.02.25
2023.05.27
ホンダトランザルプ、CL500、スズキGSX-8S、V-Strom800DE、カワサキエリミネーターなど、2気筒エンジンを積んだニューモデルが続々登場してきました。270度クランクなどの言葉も飛び交っていますが、各種2気筒エンジンの特性と乗り味を紹介します。
ホンダトランザルプ、CL500スズキGSX-8S、V-Strom800DEカワサキエリミネーターなど、2気筒エンジンを積んだニューモデルが続々登場してきました。
270度クランクなどの言葉も飛び交っていますが、各種2気筒エンジンの特性と乗り味を紹介します。
まずは、最近はやりの270度クランク直列2気筒から紹介します。
ホンダレブル1100、XL750トランザルプ、ヤマハMT-07シリーズスズキGSX-8S、V-Strom800DEなどに搭載されています。トライアンフもよく使っています。
[概要]270°クランク直列2気筒エンジンは、(XSR走行動画)燃焼パターンを一定程度偏らせて、鼓動感を演出しているエンジンです。この鼓動感が特徴的で、ドコドコいう音とともにパワフルに加速していく、そんな乗り方が楽しめるバイクに仕上がっているものが多いです。
[低回転]ストップアンドゴーなど、低回転では鼓動感が際立ち、タイヤが地面を蹴っているような気分を感じられます。(SR走行動画)ビッグシングルのSR400も低回転鼓動が何とも気持ちいいですが、近い感覚を味わえます。(XSR走行動画)特性上はこの通りですが、エンジンのセッティングにもよるので、あえて鼓動感を抑えていると思われる、大型二輪の教習車によく使われているホンダのNC750のような例もあります。
[高回転]回転が上がるにつれ、ドコドコ感はなくなり、普通の振動になっていきます。(XSR走行動画 高速)スポーツバイクのように高回転を回すには、別のクランク角の方が向いているものの、セッティング次第でスポーツバイクに使っている例もあります。
(CB走行動画)ただ、高回転の気持ちよさは4気筒エンジンの方が得意分野ということもあり、270度クランクで高回転特化型エンジンにすることは少ないでしょう。(XSR走行動画)ヤマハXSR700の場合、低〜中回転で走らせる方が不快な振動もなく、個人的には楽しく走れます。
[ベストマッチ]一般的に、低回転の鼓動感を演出するのに向いているので、高回転型バイクよりも低回転トルク重視のバイクに合っています。クルーザー系やアドベンチャー系など、力強さとマッチするバイクに向いているでしょう。ドコドコ感とパワフルトルクがセットになると、なんとも言えない楽しい世界が生まれます。
[搭載バイク]270度クランク2気筒エンジン搭載バイクですが、ホンダからは、レブル1100アフリカツインNT1100HAWK11の1100cc勢があります。レブル1100やアフリカツインのキャラクターにはよく合っていると思います。
745ccのNC750、754ccのXL750トランザルプもあります。18-2トランザルプはNC750とは別のエンジンで、今後トランザルプ以外の車種に展開するはずなので、1100ccのように続々とラインナップが増えていくでしょう。
ホンダの2気筒は、大型クラスでは270度クランクが多数を占めているようです。
ヤマハは、MT-07、XSR700、テネレ700、YZF-R7の688cc勢です。ヤマハのこれらのモデルは、MTのマスターオブトルクの名の通り、低回転からのトルク感の演出に貢献しています。低速からドドドドッと勢いよく加速するので、ミドルクラスながらなかなかのパワー感を楽しめます。個人的には、テネレのキャラクターにベストマッチだと感じますが、テネレはXSRなどと比べて排気音が大きめに演出されていて、ビッグオフローダーとしてエンジン出力ピークをより低回転に寄せているので、270度クランクの鼓動感がより際立っています。
スズキは、新発売のGSX-8S、V-Strom800に採用しています。ちなみにV-Stromの名前の由来ですが、英語で「万能、多目的」の意味と、ドイツ語で「流れ」の意味を合わせた造語だそうです。
180度クランク直列2気筒は、270度が勢力を拡大するまではスタンダードなタイプで、現在も500cc以下の2気筒は180度が多いです。
[概要]180度クランク直列2気筒エンジンは、スポーツバイクをはじめ幅広く使われています。(Z400走行動画)細かい振動と横揺れが発生するため、バランサーやフレームと部品の接続部の性能によっては不快さが高まってしまいますが、うまく作られていれば軽やかなフィーリングになります。
[低回転](Z400走行動画)低回転域は270度クランクのドドドドッという感じとは違い、ダラララッ、ドゥルルルッ、というような感触です。振動のパターンは特に心地よくもなく、かといって特別不快でもない、可もなく不可もなくのフィーリングが多いと思います。
[高回転](Z400走行動画)比較的高回転までスムーズに回る特性のため、低回転向きのセッティングをしていなければ、頭打ち感なく回っていきます。180度クランクでは細かい振動が残るので、高回転になると急に振動を感じるバイクもあります。カワサキZ400、Ninja400は5,000回転くらいから不快な振動がかなり大きくなり、ヤマハYZF-R3も時速90kmくらいで一瞬高周波振動を感じることもあります。(Z400走行動画)エンジンによって、さらに高回転まで回すと振動は大きくなるもののよくわからなくなって逆に不快さが減っていくこともあるので、よく使う回転数で振動が不快でないか、現物確認した方が安全です。
[ベストマッチ]スポーツバイクで直列2気筒エンジンを積むなら、180度クランクが一番合うでしょう。270度クランクなどのようにパルス感があるとちょっと雰囲気が合わないところもあり、180度クランクの高回転が伸びやすい特性からもニーズに合うと思います。
[搭載バイク]180度クランク直列2気筒エンジンを搭載するバイクですが、ホンダはRebel500とCL500400XとCBR400RCBR250RRがあります。このうち、Rebelは1100の270度クランクの方がどちらかというとキャラクターに合っているように思いますが、CBR400RのベースであるCBR500Rのエンジンを流用してRebel500ができているため、このようになったのでしょう。CBR250RR、CBR400Rなどは2気筒なら180度にたどり着くのが妥当に思います。
ヤマハはYZF-R3、R25、MT-03、MT-25のシリーズです。このエンジンは、概ね乗りやすくネガティブが少ない印象です。
スズキはGSX250RとV-Strom250です。スズキの2気筒はもともとこの後紹介するV型の方が多く、直列2気筒は少なめでした。
カワサキはNinja650・Z650・Z650RSNinja400・Z400・エリミネーターNinja250・Z250と、幅広い排気量に展開しています。600ccクラス以上で180度直列2気筒を搭載しているのは国内ではカワサキだけだと思います。Ninja650はフルカウルですが、スポーツ系ではなくツアラー系で、高回転仕様ではありません。Z650RSも同じです。そのため特に180度クランクが向いている、というカテゴリーではないのですが、メーカーの開発方針により現状のようになっているのでしょう。
扉_Cコラム:270°・180°以外の直列2気筒バイク
直列2気筒エンジンは、270°と180°が主流ですが、それ以外のバリエーションも現存しています。
C1-1カワサキW800は360°クランクです。360°は、単気筒を単純に2つつなげたようなイメージで、2つの爆発タイミングが同じです。C1-2大きな振動が2倍になるため、高速域の振動が結構厳しいとはよく聞きます。C1-3理屈ではSR400の2倍くらいの振動になりそうですが、こちらはバランサーシャフトがあるので、SRの2倍という恐ろしいことにはなっていないようです。
C1-4KTM 890 DUKEは、285°です。75°Vツインと同じタイミングらしいですが、個性的ですね。
V型2気筒は、シリンダーに角度がついていて、多くは横から見るとVの字に見えます。通称Vツインエンジンです。
[概要]Vツインは、これまでに紹介した直列2気筒の、どうしても消せない振動を消すことができます。(SV走行動画)バランサーがなくても振動を打ち消すことができ、代わりに別の振動を生む、ということもありません。小さい振動は残りますが、構造上不快な振動が残りにくいので、2気筒の中では快適な部類です。
[低回転]直列2気筒の270度クランクと同じ爆発タイミングで、同じようにドコドコ感があります。(SV走行動画)Vツインの方がスマートに振動を消しているので、理論的にはこちらの方が心地よいはずですが、ペンたろう所有バイクのSV650Xに搭載されるVツインは、確かに心地よいです。もちろん好き嫌いはあると思うので万人が気に入るわけではないでしょうが、このエンジンのためにこのバイクを買っても良いと個人的には思います。
[高回転]低回転から高回転への連続は、バランサーがある直列よりもハンデが少なく、(SV走行動画)自然な動きが期待できます。直列4気筒のように全域で密度が高い動きではなく、低回転ではドコドコして、中回転から粗さがなくなり、スムーズに高回転へ伸びていく、という動きも可能でしょう。DUCATI パニガーレV2のような本格的なスポーツバイクにも採用されています。エンジンの特性は、直列180度と270度のいいところだけを取ったようなイメージで、感覚的には近いと思います。
[ベストマッチ]Vツインエンジンは、ツーリング系からスポーツ系までどんなバイクでも合います。エンジン単体だけなら、2気筒では90度Vツインが最高クラスでしょう。ただし、Vツインには決定的な弱点もあるため、実際の採用が少なめです。大きな弱点は、V型で主に前後に広がるので、エンジン本体が大きくなります。横幅は直列より狭くなりますが、前後がかなり長くなり、そこが大きなウィークポイントになります。後ろ側を立ててL字のようにすることでスペースを多少抑えることなども可能ですが、52-2直列2気筒の前後幅には到底及びません。これによって、どうしてもホイールベースを長くとる必要があるなど、設計に制約が出ます。
また、ヘッドが2箇所に分離するため、部品点数が増えて重くなります。54-2もちろんコストも増えるので、そこも大きなデメリットになってしまいます。
こう見ると、Vツインを搭載するスズキSV650の同クラスに対して重めの車体と長めのホイールベースの理由の一つがわかってきますね。
ホンダは新設計の754ccエンジンで270度直列2気筒を選択しましたが、ここではさらに工夫して部品点数を減らしているので、56-2新設計エンジンでVツインを選択するのはもはや難しいのかもしれません。
[搭載バイク]Vツイン搭載バイクですが、国内ではスズキがメインです。1036ccのエンジンがV-Strom1050に採用されていて、650ccがV-Strom650SV650SV650Xに共通で使われています。新しい800ccの2気筒は270度クランクの直列になったので、現行Vツインはそのうちフェードアウト、という可能性も十分にあります。
ヤマハのクルーザー、BOLTもVツインで、こちらはなんと空冷です。さすがに空冷Vツインの排ガス規制対応版が発売されるミラクルはないと思うので、おそらく少量の在庫で終了でしょう。
ハーレーダビッドソンは伝統的に45度空冷Vツインでした。60度が追加されたり、最近は規制対応のために水冷モデルが発売されたりと、今後どうなっていくでしょうか。幻の電動バイクLiveWireも一瞬話題になりましたが、別会社に分離して活動を続けるようです。
DUCATIはパニガーレV2をはじめ、Vツインが盛んです。トップモデルはV4に移行しているようですが、Vツインも今後も健在のようですね。
2気筒エンジンは、クランク角やバンク角によって特性が変わり、セッティングにより体感にかなり差が出るため、キャラクターが自分の好みに合っているか見極めて絞っていくと、その分バイク選びで失敗しにくくなると思います。
単気筒や4気筒のように、大筋で似たフィーリングとはならず、形式やセッティングによって全然違うので、心してかかるようにしましょう。
単気筒エンジンや、気筒数による特性の違い、具体的なバイクをもうちょっと掘り下げて比較するなどもニーズがあれば動画にしていくので、
気になる人は高評価を押していってください。