バイク比較

2023.06.24

GROM2023年モデル

ホンダグロムの2023年モデルが発売されたので、新型グロムの特徴紹介と、各種125ccバイクの特徴を比較してみます。

1.GROM2023年モデル

まずは2023年モデルの変化をまとめます。

(1)重量増車重ですが、1kg増えました。1kgと言っても、実際には数100グラムと思いますが、乗ってわかる人はまずいないでしょう。ほぼ影響なしの変更です。

(2)金額変更38万5,000円が、39万500円に上がりました。5,500円の増額です。5000円程度とはいえ、1.4%になるのでぼちぼち値上がったことになります。

(3)燃費悪化数値上の燃費が、リッター68.5kmだったところ、66.3kmになっています。とはいえ、実測で70〜75くらい走るので、相変わらず超絶燃費です。燃料タンクは6Lですが、満タンで400km以上走れるでしょう。

(4)ピークトルク発生回転数上昇スペック上ちょっと残念なポイントとして、ピークトルク発生回転数が500回転上がりました。もともと5,500回転でピークトルク11Nmだったものが、6,000回転で11Nmになっています。低中回転域がやや薄くなったと思いがちですが、もともと4,000から6,000回転あたりがフラットトルクに近いので、劇的に悪くなるわけではありません。実際に乗ると、以前より回転を上げて走っている感じもします。もうちょっと低回転が乗りやすかったような気もしますが、個体差やタイヤの状況などでも体感は変わるので、今度改めて並べて乗り比べたいところです。

GROMの加速性能

次にGROMの走行特性を見ていきます。加速性能は125ccにして優秀で、街乗りに全く不自由さがありません。街乗りには3,000回転くらいの低回転でもまあ走れますし、4000回転以上なら250cc単気筒バイクなどと走行感覚は大きくは差がありません。6000回転くらい回すとなかなかよく走ります。ピークパワーは低いですが、小道から幹線道路、ワインディングまで楽しく走れるでしょう。

5速トランスミッション

GROMの5速トランスミッションは、特に開きが大きいギアもなく、まんべんなく普通に使えます。平地なら時速60kmくらいで5速に入れて問題ないですが、50kmでも5速で走れます。

シフトペダルがちょっと特殊で、1速の状態で下に下げられるのがちょっと気持ち悪いです。ホンダドリームに聞いたところ仕様らしいので、ペダルを踏んだ感触で1速の確認はできませんが、インジケーターがあるので問題ないでしょう。

タイヤ

タイヤはミニバイクで一般的な12インチです。ミニバイク系の宿命で、重量物を載せたりするとバランスが崩れてフルバンクするとタイヤのグリップが持ちません。重量物を載せてコーナーでバンクさせると、バンクセンサーが接地する前に転倒することもあるので、過積載は特に禁物です。14-2リアタイヤの空気入れが横に曲げられているので、小さいホイールでありがちな入れづらさがありません。

シートと乗車姿勢

乗車姿勢ですが、前傾率はほぼ直立です。ただ身長によって前後に着座位置を変えられるため、身長が高めの人は後ろ目に座ると前傾率が上がり、ちょうどいいポジションになります。

GROMの真価はここにあり、ハンドルやペダルとの位置関係が絶妙で、かなり後ろに座っても乗りづらくなりません。そのため、小さいバイクなのに許容身長の範囲がとても広いです。身長が低い人はもちろん、175cmでも後ろ目に座ると普通のバイク感覚で乗れるので、ミニバイクにありがちな窮屈感がほぼありません。

ハンドル位置が上げられているほか、ミラーもかなり高くマウントされているので、ミラーも普通に視界に入ります。

直立乗車のバイクはケツ痛に悩まされがちですが、シートの出来が良いのか、一日乗ってもケツ痛になりません。ペンたろうはケツの硬さにはちょっと自信がある方なので、人によってはダメージがある人もいるかもしれませんが、カワサキのZ125PROのノーマルシートは1時間でケツが死んだので、22-2GROMのシートが優秀なのは間違いないと思います。

高速道路には乗れませんが、長旅したくもなってきますね。小さくて車に乗せやすいので、トランポ旅行なども楽しそうです。

積載

シートバッグをつけると乗りづらくなってしまいますが、キャリアを付ければそれなりに積載できます。純正オプションのキャリアは耐荷重3kgのコンパクトサイズで22,110円です。小さいので、ちょっと載せる人にはベストでしょう。もうちょっと載せたい人は、耐荷重8kgのEnduranceが15,400円なので、積載重視ならEndurance一択になりそうです。サイズも純正キャリアより少し長めです。ペンたろうは小さい箱を載せて日常使いすると思います。

取り回し

取り回しは、想像の通り軽々です。片手一本で軽く動かせるでしょう。ハンドルもよく切れて、最小回転半径は1.9mです。言わずと知れた最小クラスで、狭いところも余裕で通れます。取り回し転倒や立ちゴケとは無縁の夢の世界がここにあり、こればかり乗っていると普通のバイクが激重に感じるようになります。

横風

横風にはとても弱いです。ちょっとの風でもふらふらします。ゆっくり走っても速く走っても、とにかく弱いのでそこはあきらめましょう。タイヤが小さく、悪路にも弱いので、路面の状態をより気にして走った方が良いです。

125cc比較

Monkey125

ではGROMと各種125ccバイクを比べてみましょう。

ホンダMonkey125は、グロムをベースに外装を変えたカスタマイズモデルかと思いきや、乗り味が結構違います。

まず乗車姿勢ですが、Monkey125はハンドルが手前に絞られて近い位置にあります。シート形状は1人乗り仕様で前後が長くはないため、着座自由度はGROMより低めです。そのため小さいバイクに乗っている感が強く、身長がかなり大きい人は乗るのが大変かもしれません。

とはいえ、Monkey125の感じはミニバイク系としては普通です。特にMonkey125が小さすぎるわけではありません。GROMの適応幅が尋常でなく広いのであって、懐の深いGROMの設計は天才的だと思います。

走りはゆったりめで、キビキビ走りたい人はGROMの方が向いています。メーターはカワイイ感じですが、タコメーターがなく、情報量が少ないので、時計など増設したくなりますね。GROMのメーターはノーマルでほぼ完璧で、不足はありません。

GROM2023年モデル発売の現在で、Monkey125はまだ注文再開していません。てっきりGROMより先にMonkeyの注文が再開されると思ったのですが、GROMが発売されてもなお注文停止のままです。よって買えるのは昨年モデルですが、在庫はとても薄いようです。とはいえ2023年モデルのGROMもあまり在庫はないらしく、ちょっと買いづらい状態が続いています。

DAX125

DAX125は、メーターがMonkey125と共用されていて、こちらも全体的にカワイイ系でまとまっています。トランスミッションがスーパーカブのものと同じで、クラッチレバーがありません。慣れるとシフトチェンジが楽ですが、ギアポジションがメーターに表示されないので、正直難儀です。

ただ4速で停止してしまっても無理矢理発信可能なので、まあどうにかなるか、という気軽感はあります。

タンク前になく、ニーグリップはできませんが、ちょっとした慣れで普通に乗れるので、あまり気にしなくて良いでしょう。

航続距離が200km台と、ホンダの125cc仲間に対してかなり短いので、長距離移動に使いたい人は注意してください。

こちらも相変わらず在庫は薄めで、買いづらいです。

ハンターカブ

スーパーカブ系には、売れ筋ハンターカブがあります。ハンターカブは、2022年の売り上げが全排気量総合3位の11,400台でした。ちなみに1位はPCXの17,300台、2位はGB350の12,197台です。4位はレブル250の10,501台ですが、ここまで全部ホンダが占めました。

ハンターカブは前後17インチタイヤと大きく、特大キャリアを積んでいて、旅にも使いやすいバイクです。

DAX同様タンクは膝の間になく、ニーグリップはできません。

タンク容量はDAXより大きいので、300km以上は走れます。人気すぎてどこにでもいるので、人とかぶりたくない人は避けておいた方が良いかもしれません。

Z125Pro

カワサキZ125PROは国内では生産終了していますが、まだぼちぼち在庫が残っているので入手可能です。

実売35万円前後で、GROMの40万円に比べて安いのがありがたいモデルです。ただしその分作りも安く、サイドスタンドを上げたときの安っぽい感触や、ハンドルメーター周りのコストを絞った感じに哀愁があります。

Z125PROは元気に走る系のバイクで、GROMより元気に走るイメージもあります。ワインディングを走り込みたい人は走り方にもよりますがこちらの方が楽しい人が多いかもしれません。トランスミッションが4速なので微妙と思われがちですが、実際は4速固定でどこまでも走れて楽な面もあります。

GROMよりハンドルからミラーにかけて位置が低いので、調整しないとちょっと厳しい人も多いでしょう。ミラーは低いだけでなくそもそも見えないので、オフセットなどで対応しないと危険です。

ノーマルシートでは鬼のケツ痛バイクですが、海外向けのハイシートでケツ痛がかなり緩和できます。ただし、ノーマルシートのGROMの方が優秀です。

GSX-S125

高回転回して走るマニアックバイク、スズキGSX-S125。6000回転以下はゴミだと言っても過言ではありません。とにかくひたすら高回転をキープして走ることで真価を発揮します。

ワインディングを走るならGSXは現行125ccの中で一番楽しいのではないでしょうか。(走行動画GROM)街乗りなら迷わずGROMを選んだ方が使いやすいです。GROMはピークパワーは低いものの、より低回転でトルクが出るので明らかに街乗りでの加速力があり、信号待ちなどのストップアンドゴーでは、圧倒的な適正の差があります。GSX-S125はスタートがとても遅いです。ワインディングに行く気がないならGROMの方がオススメです。

ただし見た目が好きだから、などで選んでも、125ccはそもそも軽量なので失敗したとは思わないと思います。

フルカウルのGSX-R125もありますが、こちらはハード目な前傾です。前傾率は、カワサキの250cc4気筒、ZX-25Rよりもやや深く、Ninja H2 SXと近い水準です。ホンダCBR250RRとも近いですね。

そういえばカワサキのZX-4Rが発売になりました。近々ペンたろうの動画に登場するかもしれません。

GSXはカチ回して走っていればそれだけで楽しいので、普通の街乗りでもひたすら回してヒャッハーしたい人にはこの上なく楽しいと感じてもらえるかもしれません。回しても速くないので、安心してヒャッハーできます。

CB125R

ホンダCB125Rはスペックバランスが良いバイクです。125ccフルサイズがほしい、という人で高回転ヒャッハーな人以外は刺さると思います。

鬼の軽量バイクCB250Rもあるので、それも考え出すと途端に悩ましくなっていきます。車重はGROMが103kg、CB125Rが130kg、CB250Rが144kg、価格はGROMが390,500円、CB125Rが473,000円、CB250Rが564,300円です。CB125Rは2021年モデルなので、ここから値上がるかもしれません。GROMの年間販売計画が4,000台、CB250Rの2,400台に対してCB125Rは1,000台ほどと、あまり台数は出ていないもようです。

予算の制約で125cc必須なら、むしろGROMの方が使いやすく、制約がなければCB250Rを選ぶ人が多いらしいため、CB125Rはニッチな存在になっています。125ccかつフルサイズの縛りで探すと、GSXに扱いづらさを感じる人はここにたどり着く、という受け皿としてホンダが用意してくれている、ありがたいポジションです。

MT-125XSR125

2023年ヤマハのニューモデル、MT-125、XSR125ですが、実際の発売は冬くらいにさしかかりそうな様子になってきました。まだ秋口に発売の希望もなくはありませんが、あまり期待しないでゆっくり待ちましょう。

海外ではずっと販売されていたモデルで、法律関連の調整はされるものの、およそそのまま販売されます。スペックを見るとCB125Rに近いですが、ピークトルク発生回転数がが少し低くなっています。GROMの方が街乗りは乗りやすい特性でしょう。

海外モデルのXSR155も日本で並行輸入品が売っていて、およそ40万円台後半から出ていますが、125ccの値段は今のところ未確定です。ホンダのCB125の金額に近いところになると、155の方がむしろ安いかもしれない、というゾーンになります。ここは是非ともスズキにあわせてほしいですね。

フルカウルのYZFシリーズだけ125ccのR125と155ccのR15が出ます。ともに前傾姿勢で、スズキGSX-R125よりハードな模様なので、狙っている人は注意してください。前傾姿勢に慣れない人がうっかり買うと、首、腰、そして精神がやられます。

(GROM走行動画)125ccは結構充実してきていて、選択肢がいろいろあります。その中でもGROMはとても懐が深いので、迷ったらGROMを選んでおくときっと楽しいバイクライフが送れるでしょう。

ニーズがあれば他の125ccバイクにもフォーカスしてみるので、気になる人はぜひ高評価を押していってください。

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