20万円値上げの価値あるか、新型EクラCBR400Rを走ってレビュー

1.Eクラッチ

まずEクラッチのフィーリングからいきましょう。変速時のショックは全体的に少ない方です。アップの時は、大抵のクイックシフターよりショックは少ないと感じる人が多そうです。CBR400Rは電スロではないので、ショックを半クラなどで吸収しているらしく、よくある1速から2速のショックも大きくはなく自然な感触です。その分、ちょっとヌメッとする不思議な感じになることがあって、この辺は慣れかなと思いますが、概ね自然で良好なフィーリングです。

 HONDA CBR400R

HONDA CBR400R

ダウンも快適で、こちらは普通のクイックシフターと同じ感じです。ブリッピングしてうまいことしてくれるのとあわせて、回転数制限もないので、クラッチを使うか考える必要もなく気楽に上下できます。

極低速コントロールは、クラッチを使う方が自在にできますが、クラッチを使わない極低速走行もオートマ系バイクに慣れていれば問題ないと思います。適宜クラッチ併用がいいですね。Eクラッチの長所は、いざとなるとクラッチを使えることも大きいので、場面場面でやりくりすると手足のように扱えると思います。

発進は1速に入れた状態で、ただスロットルをひねるだけなので楽です。エンストも無縁なので、バイクに慣れていない人は安心感が高いかなと思います。普通に操作していれば急発進などもしにくいので、神経を使うこともないでしょう。

停止はいろいろやり方があって、止まる前に段階的に1速まで落とす場合は、かなり微速になっていないとエンブレが急にかかるので、止まる寸前くらいで1速に落とすと楽です。あとは、2〜3速まで落とした状態で止まってから1速にする手もあります。右足を着いて止まる習慣の人は、この方が楽かもしれません。クラッチを使って駆動力を切った状態で、止まってから1速にするパターンもありますね。

クラッチを使うとEクラッチはキャンセルされますが、止まった状態でも、Nに一度入れればEクラッチが有効化されるので、止まった状態でNにすれば、またEクラ通常モードで走れます。高いギアから落とさず止まると下げにくいのは普通と同じなので、うっかり6速などでそのまま止まると、クラッチなどを使わないとギアを下げられなくなります。その場合はクラッチやアクセル、リアタイヤの前後など、慣れた方法で1速まで下げてください。おおむね簡単なのは、半クラにして下げていく方法です。

ペダルの反力は3段階で変更できます。ソフトにするほど軽く当たってシフトチェンジできるので、楽と言えば楽ですが、その分誤操作しやすいので、このへんはペダル位置調整とあわせて好みで設定すると良いと思います。

車種によってEクラッチ解除設定が可能なものとそうでないものがありますが、CBR400Rはメニューから常時解除が可能です。ただし、一度エンジンを切るとリセットされて、始動時はまたEクラッチが有効になっています。いつも無効化するのは面倒なので、普通のマニュアル車として乗りたい人には不向きですね。

CBR400RはEクラッチモデルしかなく、ホンダは他のモデルも全部EクラかDCTになりそうなので、Eクラッチがイヤな人は、オートマを作る気配がないスズキに駆け込みましょう。

2.走行感

CBR400Rの走行感ですが、400cc全般の中ではトルク感がある方です。それでいて、無理して速度を抑え込むほどにハイパワーすぎることもなく、扱いが楽で、公道を走る上では十分に感じる人が多いと思います。高速なども高めのギアで雑に走っても何とかなるので、苦手な場面があまりないですね。

そして、とても400ccクラスとは思えないどっしり感があるので、安心してどこでも走れます。海外では500ccとして販売されているとおり、車格はミドルクラスに近く、安定感があるので遠出も疲れにくいです。長距離ツーリングのお供にも良いのではないでしょうか。

走行中の振動をそれほど感じないので、そういう意味でも快適です。ハンドルの振動も特に大きく感じることはなく、シートの振動も大きくないので、乗っていて不快感はあまりなさそうです。

熱に関してはちょっと熱いくらいで、熱すぎて夏場使い物にならないほどでもないので、地域によるものの、頑張れば1年活躍できると思います。

排気音がそこそこ野太くて心地良いです。400cc 2気筒の中ではかなり低音がきいている方で、この辺もミドルに近い感じがありますね。むしろその辺のミドル全般よりやる気になるくらいの、ちょうどいい重低音です。よくある180度クランク直列2気筒感のダダダダっという感じが薄めで、やや3気筒側に寄ったスムーズ感があって、全体的に価格なりの高級感があります。

3.ロングツーリング適性

フルカウルを見ると戦々恐々としがちな乗車姿勢ですが、CBR400Rの前傾率は、身長175cmで31.4%、160cmで39.1%と、フルカウルバイクにしてはかなり軽めの前傾です。直立に毛が生えた程度なので、普通のバーハンドルの気分で臨んでも違和感ないくらいです。直立に近い軽い前傾は、疲れにくくケツ痛にもなりにくい体に優しい夢のポジションで、長距離長時間には一番向いている水準になっています。

CBR400Rは、シートからステップの垂直位置が500mm程度と余裕がある方で、ステップは着座位置の真下に近い位置にあります。500mmという数値はステップとシートの距離が長い方で、フルカウルバイクにしてはかなり余裕がある寸法です。大きな分類としては、ツアラー系と思って良いですね。

Eクラッチなのでクラッチレバーを使う機会は少ないですが、EクラッチをOFFにしてクラッチを使って走っても、軽いので負荷がありません。停止状態でクラッチを切るとレスポンスがなくてビビりますが、クラッチレバーが有効化されている状態では、普通の軽いクラッチレスポンスです。Eクラッチモデルに乗っていると、実際はクラッチレバーをほぼ触らなくなるので、実質左手の負荷はゼロと思って良いでしょう。

CBR400Rは純正オプションで、リアキャリアとワンキートップケースがあります。また、海外ではCBR500Rとして販売されていますが、その部品も使えるようなので、選択肢が広そうです。

燃費と航続距離は、燃費リッター28.1km、タンク容量17L、航続距離477.7kmです。実際はもっと燃費が良い気がするので、いつまでもガソリンが減らないイメージです。航続距離の部分でも有能ツアラー感があります。

高速道路走行は概ね快適で、カウルスクリーンのおかげでそれなりに風をカットしてくれます。車体寸法もトレールやキャスター角などがクイック旋回寄りではないので、十分な直進安定性があって楽に走れます。現行400ccの中ではおそらく一番余裕がある水準で、よく比較される同クラスのNinja400、YZF-R3などとは別物の高級感のある乗り味になっています。

4.操作系など

ギアの対応速度はこの通りです。雑に高いギアでも走れて、そこからそれなりに加速もできるので、忙しさはないですね。

5.メーターと視界

メーターは5インチのホンダ汎用です。スマホと繋いで簡易ナビも表示できて、まずまず便利なものですが、そろそろ表示部分のデザインをアップデートしてほしいと個人的には思います。ディスプレイの表示はソフトウェアだけでできるので、見やすさ、使いやすさ、オシャレ感を随時追求していってもらえると、とてもありがたいところです。

ミラーは特別見やすくもなく、特別見づらくもないくらいで、カウルミラーなのでこれくらいかなという水準でしょうか。一回り大きいGSX-8Rなどは幅があるので、もっと見やすいです。

6.価格と維持費

車両価格は、赤が1,089,000円、黒が999,900円です。前のモデルは863,500円でした。以前別の動画で値上げ率を紹介した通り、赤は26%超えのアップです。驚異的な値上げで、みなさん口から火を噴いたことでしょう。おかげで安かった前モデルの在庫は、一瞬で消滅したと聞きます。販売計画台数も少なくなっていて、特に数を売る気はないよということなので、何かの市場調査的な意味合いがあるのかもしれませんね。

エンジンオイルは、通常交換時2.5L、フィルター交換で2.7Lです。特別多くもないですが、ヤマハの700ccは2.3Lなので、400cc2気筒にしては多い方です。

バッテリーはFTZ8Vです。ネットで国内メーカー品の最安値を調べると、15,000〜16,000円くらいの水準です。既存の2019年モデルCB400SFが1万円ちょっとなのと比べると、ちょっと高いバッテリーですね。純正品番で探すと税込み3万円近いようで、ホンダドリームで交換をお願いすると3万円以上になってしまうと思われます。ご自分でやると半額くらいになるので、やれる人はその方が節約はできますね。DIYの場合はくれぐれもショートさせないように、手順に注意して作業してください。

タイヤは120/70、160/60、ともに17インチです。このサイズのタイヤは安くはなさそうですね。純正装着銘柄のDUNLOP D222 Wはオープン価格で、メーカー希望小売価格がありませんが、ネットの販売価格でフロント3万、リア4万くらいになっています。ショップだともっと高そうなので、純正タイヤにこだわると、前後で工賃込み8万〜10万コースかもしれません。

アマゾンでこのサイズを探すと、ピレリなどで前後あわせて30,000円くらいです。ショップだともっと高いので、工賃合わせて5万円コースくらいが妥当でしょうか。安い物を探すと2万円台もあるので、自分で交換できる猛者は、例によってつきつめれば2〜3万でどうにかできそうではあります。

全体的にCBR400Rは、400ccの割にメンテナンスコストがかかる方で、700cc前後ミドルクラスの一般的水準です。消耗品のレベルはCB1000Fとほぼ変わらないので、車両価格とあわせてどうしても割高感が出てしまっていますね。

7.スペック

車重は195kgです。結構重い方です。今時の中型感とはちょっと離れていて、車重の面でもミドル感があります。他のバイクの車重は、フルカウル900ccのYZF-R9が195kg、YZF-R7が189kgと、同等からややヤマハの方が軽くなっています。同じホンダのモデルでは、CB750HORNETが196kg、CBR600RRが193kgと、やはりミドルたちが同等水準になっていて、軽さを求めていくと重量感でマイナスなイメージをもたれそうです。

搭載エンジンは399cc、最高出力46馬力、最大トルク38N・mです。参考までにカワサキNinja400は48馬力、37N・mですが、CBR400Rの方が発生回転数が低いので、普段使いには扱いやすくなっています。

車体サイズはこの通りです。大きくもなく小さくもなく、シート高は現代のバイクの中では低めで、かつ先ほどのシートステップ感距離のとおり、ステップ位置も低めなので、対応身長幅がかなり広いバイクです。最小回転半径は2.9mです。フルカウルバイクはこんなもんという数値です。特別大きくはないので、それほど困ることもないと思います。

8.Eクラッチ搭載バイク

現行Eクラッチ搭載バイクは、他にRebel250ファミリーがあります。こちらはEクラッチなしのモデルもありますが、みんなEクラッチを買っていくようです。CB750HORNETファミリーもEクラッチが搭載されて、CBR400Rファミリーと同様にEクラッチモデルのみの販売です。Eクラッチ初代はCB650Rファミリーですが、Eクラッチのおかげで前年の1.5倍くらい売れました。ここから見ても、Eクラッチの人気がわかりますね。


9.比較

フルカウルバイク各種と比較してみると、CBR250RRは902,000円、赤と白は940,500円です。前傾やや深めです。快適性より脳内アドレナリンを吹き出させたい人は、迷わずこちらへいきましょう。

YZF-R3は726,000円です。CBR400Rより30〜40万円くらい安く、車体も軽いので、心を軽くしたい人にはオススメです。

Ninja400は814,000円です。CBR400Rより20〜30万円安いことになります。Eクラッチいらないし、安定感より軽量パワフル感が好きという人は、こちらの方が向いています。

Ninja650は1,078,000円です。Eクラッチはないけど、こちらの方がよりパワフルです。ETCもついてツアラー全振りなので、Eクラを求めていなくて大型免許を持っているなら、どう考えてもこちらが幸せです。ただしナビ機能はないので、スマホマウントするか、脳内ナビを鍛えてください。

YZF-R7は1,166,000円です。CBR400R赤と大して値段が変わりません。速さが好きな人と、前傾大好きヘンタイ系の人は、たぶん幸せになれます。

GSX-8Rは1,243,000円です。大型免許があって予算があるなら、発進停止でクラッチレバーを使うこと以外、ほぼ全てが上位と思って良いと思います。音はCBR400Rの方が勇ましいです。

10.まとめ

ではまとめです。CBR400R Eクラッチが向いている人は、安定感のあるバイクがいい、フルカウルが好きだけど前傾はイヤ、万能なバイクを求めている、クラッチレバーが大嫌い、でもオートマはイヤだ、シフトチェンジは左足でやりたいんだ、お金持ち。

CBR400Rは、一気に26%の22万円値上がって伝説を刻んだバイクですが、そんな値上げをものともしないメンタルの持ち主と、安定した性能を求めている人には刺さるバイクだと思います。価格に見合うかというと、今時点なら大型二輪免許があるなら、他にもいろいろ選択肢がありますね。