バイク比較

2023.09.16

ZX-4RとCB400の比較

ZX-4R、CB400スーパーフォア、CB400スーパーボルドールオーナーのペンたろうによるZX-4Rインプレ3回目、ホンダCB400スーパーフォア、スーパーボルドールとの比較をまとめてみます。

1.発進

まずは発進時の挙動から。CB400は、教習所の思い出もある人も多いかもしれませんが、クラッチミートだけでも発進できます。クラッチをつないで動き出したら少しアクセルを回す、という発進の仕方が個人的にはやりやすいと感じます。

ZX-4Rは、クラッチミートの推進力はちょっと弱いので、アクセルを同時に回した方が安定する印象です。

どちらも特にエンストしやすいこともなく、発進に特別気を遣うことはありません。瞬発力は400cc2気筒のZ400、Ninja400ほどはなく、比べるともっさりした感じはあります。CB400、ZX-4Rとも4気筒エンジンなので、似たようなイメージと思って差し支えないでしょう。

2.1速走行

次に1速の状態での走行感覚です。

CB400は、ギクシャク感が強めです。ペンたろうは20台ほどバイクを所有していますが、1速の扱いにくさはCB400が群を抜いています。ホンダのライディングスクール、HMSでもCB400を使うことが多く、微妙なアクセルコントロールでパイロンを回ったりしていますが、街乗りで気を抜くとガクガクするので、CB400に乗る時はちょっと緊張します。

ZX-4Rの1速走行は、およそ快適です。400ccからミドルクラスくらいはこんな感じかなと思いますが、単気筒や2気筒に比べるとドンツキが少なく、あまり気を遣わなくても気楽に走れます。

3.低速走行

次に低速走行です。主に交差点の左折くらいのスピード、時速10kmから20kmくらいの走行感覚を比較してみます。

CB400は、およそ2速か3速を使いますが、左折も3速で回ることも多いです。CB400のギアの使い方は、一般的な中型バイクより1段高いギアを使うと楽に走れます。極低回転でノッキングなどせず粘るのと、ギクシャク感が強めなことが理由です。

ZX-4Rは、1速〜3速まで自在に使えます。CB400に近い低回転の粘りがあり、ギクシャク感は少ないので、低めのギアも高めのギアも気分次第で使えると思います。

4.乗車姿勢

乗車姿勢について比較してみます。

CB400は、スーパーフォア、ボルドールとも乗車姿勢は同じです。どちらも同じ位置にバーハンドルがついていて、前傾率計算式によると身長175cmで20.3%、160cmで28%と、ほどよい軽前傾で、長時間走行でもケツ痛にならず、腕や背中、腰などが疲れにくい、身長にもよりますが、ロングツーリングに最適なポジションです。

車体コントロールもしやすく、コーナーリングも素直、スポーツライディングも向いています。

シート高が755mmとかなり低いので、身長によって足つきが楽で良いと感じる人と膝が窮屈という人に分かれます。

ZX-4Rは、前傾率が身長175cmで39.8%、160cmで47.6%と、CB400に比べるとかなり前傾姿勢になっています。身長170cm以上の人は慣れればロングツーリングもでき、身長が低くなるほどやや辛くなっていく、という感覚でしょうか。座高が高い人の方が楽なので、同じ身長でも感覚に差は出ます。

セパレートハンドルのため、慣れていないと曲がりにくいと感じる人もいるかもしれませんが、基本に忠実に走ればかなり車体コントロールがしやすいバイクです。セパレートハンドル入門としても最適でしょう。

シート高は800mm、ステップ位置はZX-6Rなどほどではないもののスポーツバイク仕様で、脚は窮屈めです。ハイシートオプションはないので、加工するか慣れるかしかありません。

乗車姿勢についてまとめると、ロングツーリングにはCB400の方が明らかに楽です。

5.シフトチェンジ

常用回転数は、どちらも2,000回転から6,500回転くらいです。低回転が粘るので、2,000回転くらいまで落ちてもそこから加速していけます。ノッキングするほどでもありません。

街乗りは3,000回転前後を使って走ることになると思います。

シフトチェンジですが、ともにスポーツバイクでエンジンの回転落ちが速く、素早く行わないと回転が合いません。CB400はハイテク装備がないので、結構忙しく、素早い操作をしたり、半クラッチくらいでシフトアップ、クラッチをつなぐ前に軽くアクセルを回すなど、やりやすい方法で工夫するとスムーズにチェンジできます。

ZX-4Rは、アシストスリッパークラッチがあるため、回転がいくらかずれても変速ショックを吸収してくれます。また、標準装備のクイックシフターでアップダウンともクラッチ操作せず行えるため、楽に快適にスピーディーに変速できます。クイックシフターは、自分で完璧に回転を合わせたシフトチェンジよりショックはあるものの、おそらく気にならない程度のもので、自然に常用するようになるでしょう。

6.加速力

次に加速力をみていきます。CB400は、停止からの加速はやや鈍いように感じますが、慣れると遅いとは感じません。ただし瞬発力が高いとは感じないと思います。高回転回せば十分速く、公道で全開を回すにはそれなりに慣れていないと怖いくらいでしょう。

ZX-4Rは、CB400に比べると停止からの加速もそこそこ機敏に感じます。多少車重が軽いことによるか、気のせいかもしれないくらいの大きな差ではありません。高回転回すと十分速いのはCB400と同様で、こちらはレブリミットがCB400の13,500回転くらいに対して16,000回転くらいと、より上まで回ります。さらにピークパワーもCB400の56馬力に対して80馬力と、圧倒的な差があります。

公道で回しきるのはより難しいですが、速さを求めるならZX-4Rの方が向いています。

7.高速走行

高速道路走行性能ですが、どちらもネガティブな感覚はありません。

CB400は、安定して走れます。手がしびれるような振動もあまりなく、長距離走っても特に問題はありません。余裕を持って走れ、400ccクラスというよりちょっとエンジン回転数が高い600前後のミドルクラスの走行感覚です。

ボルドールの方はハーフカウルがあり、スクリーン性能は優秀です。スクリーンの位置がそれほど高くないので、アドベンチャーツアラーほどの性能はありませんが、横が広く整流効果が高いです。当たる風がかなり上質になるので、高速道路の快適さを重視するならボルドール一択となります。

ZX-4Rも同じく安定して走れるので、時速100km程度の走行は普通に出来ます。スクリーン性能はボルドールほどはなく、速度を上げていくと腕などにそこそこ走行風を感じるようになります。ただ80km走行程度ならあまり差は感じないでしょう。

個人的には、カウルがないCB400スーパーフォアで高速道路を走るとなぜか一番ぐいぐい加速したくなります。風がやる気にさせるのかわかりませんが、疲労は間違いなくネイキッドが大きく感じます。

8.長時間走行

下道、高速問わず、長時間走行の疲労感を比較してみます。

CB400は、前傾が楽なので、上半身はあまり疲れません。ステップ位置はそれほど厳しくないものの、シートが低いためステップが近く、脚の曲がりは大きめです。ZX-4Rと比べると、感覚的には窮屈さは同じくらいに思いますが、これは人によって感じ方が違うでしょう。ステップがラバーになっていることで、足裏が痛くなったりすることは少なく、全体的に、長時間走行の疲労は少なめのバイクです。

ZX-4Rは、前傾気味の姿勢により上半身の疲れがCB400より大きくなります。ステップ位置がやや厳しめで、また細くて硬いよくあるステップなので、足が疲れやすく、全体的に長時間走行向きのバイクではありません。ただし、ZX-6RやYZF-R7などの本気モードの姿勢のバイク、CBR650RやSV650Xなどハードめな姿勢のバイクに比べると楽です。

9.取り回し

取り回しのしやすさですが、CB400の方が車重が10kgほど重く、重量バランスが中心に集中していないことにもよるのか、重く感じます。

CB400の方は、大型感があり、Z900RSほどではないもののその辺を扱うくらいの心の準備をします。

ZX-4Rの方は中型感で、ちょっと重くなったZ400くらいの気分で動かします。

感覚的なものではあるものの、ZX-4Rの方が少し楽な気分で転がせますが、おそらく同じように感じる人が多いと思います。

10.音

ノーマル状態での吸排気音を比較すると、CB400の方は澄んだ高音です。高回転まで回していき、バルブ状態が切り替わる6500回転前後からは迫力のある音に変化します。

ZX-4Rの方がCB400と比較すると低回転からやや低音で、ZX-25Rの音の方が好き、という意見もあるようです。

どちらも4気筒らしい音になっていて、不満に感じる人は少ないと思いますが、音にこだわる人は実際の音を確認することをおすすめします。

11.総合

全体的にまとめると、バイクの挙動という面では、ZX-4Rの方が明らかに乗りやすいです。低速走行その他扱いづらい面がないので、バイクの操作に慣れていない人でも苦手意識を感じないと思います。ただし姿勢の慣れは多少必要で、セパレートハンドルの前傾バイクは手放しで初心者に勧めるものではありません。

ツーリング性能はCBの方が高いです。特にボルドールは高速道路走行時の防風性能も高いので、最も適性が高くなっています。

絶対的な速さならZX-4Rですが、公道では本領を発揮できません。多くの人はCBの本領も発揮できないので、サーキットを走る想定でないとあまり比較に意味があるレベルではありません。

ノーマルの音はCB400がきれいです。ZX-4RはどちらかというとCBR650Rに近い低音気味で、音にこだわる人にはZX-25Rもあります。

CB400ユーザーがZX-4Rに買い換えると、おそらく乗りやすさは満足します。先進装備が好き、フルカウルが好き、という人も満足感は高いでしょう。

CB400がそれなりに気に入っている人は、乗り換えると恋しくなるかもしれません。CB400のエンジンが大好きな人は、たぶん満足できないのではないでしょうか。

そのため、CB400からZX-4Rへの乗り換えは積極的には勧めませんが、適性は人によるため、満足する人、後悔する人にわかれると思います。

ZX-4RからCB400の乗り換えは今はほぼないですが、こちらも積極的には勧めません。ZX-4Rの乗りやすさや扱いやすさが恋しくなる可能性も高いです。

どちらも非常に良いバイクで、それぞれ個性はあるものの、乗り換えるほどの差があるかというと、そこまでの差はありません。ペンたろうが所有する20台の中では、この2台の差は僅差です。

もちろん、サーキットを走る目的などでは全く違いますし、趣味趣向はそれぞれ、感じ方は千差万別なので、気になる人は実際に体験して比べてみることをおすすめします。

細かいこだわりがなければ、ZX-4Rの新車の方がCB400の低走行中古車より安いのでZX-4Rの購入で良いと思います。ZX-25Rと迷う人は、迷うなら4Rの方が間違いありません。25Rは、どうしても250cc高回転に思い入れがある、という人におすすめします。

4Rを選ぶことで後悔する可能性は、とても低いと思います。それだけ完成度が高いバイクです。