フルカウルバイク、前傾ヤバさランキング【国内全30車種】
2024.02.25
まず特徴的なのが3気筒エンジンで、ヤマハの900シリーズに共通で使われているエンジンです。同クラスの4気筒エンジンと比べると、低回転のトラクション感があって、機敏にすいすい走るイメージです。
2気筒エンジンと比べると、エンジンの振動やノイズを感じにくいので、単気筒や2気筒が苦手な人も、あまり違和感なく乗れそうに思います。
888ccという大きすぎず小さすぎない排気量もあり、おおむねどんな道でも気持ち良く走れるので、これに慣れると乗り換え先を選ぶのが難しくなるかもしれません。
3気筒エンジンはよく、2気筒と4気筒の良いとこ取りと言われますが、確かにその通りだと思います。ただ逆に言えば悪いとこ取りとも言えて、2気筒ほどの瞬発力はなく、4気筒ほどのエンジンの伸びやかさもなく、そういう方向性が好きな人にとっては中途半端に感じるのかもしれません。
YAMAHA XSR900GP
個人的には満足度が高いと感じるバランスで、とても楽しく走れています。
このエンジンは原動機がN722Eと、MT-09、YZF-R9も全て同一となっています。エンジンが4気筒エンジンよりコンパクトなことも影響しているのか、走行感覚が軽快です。
900ccクラスになると、およそ4気筒エンジンが多いので、車重・レスポンスともヤマハの900は他社バイクより軽々走る感覚があります。
直進安定性も申し分なく、ハンドルを取られやすい路面や高速走行でも常に安定して走れます。
車重は200kgとこのクラスでは軽めで、重量バランスやハンドルの高さなどが筆者の身長にはちょうどよく、軽々取り回しできます。
セパレートハンドルは、手で支える位置が低めなので、バーハンドルに比べて左右の傾きバランスを調整するのに慣れが必要ですが、XSR900GPはセパレートハンドルにしては転がしやすいので、このクラスとしては取り回ししやすい部類とみて良いと思います。
個人的にはスズキGSX-8Rより軽く動かせる感覚で、CB400SFより取り回しに気を遣いませんが、身長などによって体感は違うので、気になる人は実際に触ってみてください。
回転半径が大きいことはマイナスポイントですが、それについては後で数値比較をまとめます。
XSR900GPの旋回感覚は優秀です。セパハンは特にバイクごとの個性に慣れていないと、初見では旋回しづらいと感じることもあるようですが、XSR900GPはハンドリングのバランスが秀逸で、とても自然に旋回してくれます。
このハンドリングを堪能できるなら、厳しい前傾姿勢も我慢ができるでしょうか。
心地良いハンドリングが好きで、3気筒エンジンの感覚が合う人、そしてスタイルが好きなら、XSR900GPはきっとマッチすると思います。
パワーや車体の制御が電子化されているので、各種設定を個別に調整できます。
プリセットモードはデフォルトで、SPORT、STREET、RAINの3種類があるので、深いこだわりがなければここから選んで問題ありません。
プリセットモード3種類
STREETにしておくと、どれも真ん中くらいになっているので、まずはこれを選んで、気になる場合は個別調整で良さそうです。
カスタム設定も可能で、パワーデリバリーモードは4段階、トラクションコントロールシステムは3段階、スライドコントロールシステムが3段階、リフトコントロールシステムは3段階と、それぞれ個別にセットできます。
パワーモードはいずれも極端にピーキーで扱いづらいことはありませんが、1から4で結構変わるので、自分に合うようにコントロールしやすいです。
またクイックシフターは加減速どちらでもアップダウン可能なのがデフォルトですが、アップを加速時のみ、ダウンを減速時のみにもそれぞれ変更できます。
電子制御スロットルなので、右手の反力はいかようにも調整できるはずなのですが、XSR900GPは少し重めなので、個人的にはずっと掴んでいると疲れます。
ホンダCB1300も重めですが、それに近い重さを感じます。
筆者は速度固定のクルーズコントロールを普段はあまり使いませんが、XSR900GPやCB1300の場合は高速道路長時間走行などで積極的にクルーズコントロールを使いたくなってきます。
スズキのGSX-8シリーズはクルーズコントロールがありませんが、反力が大きくなく、筆者の握力では全然疲れないので楽です。
クルーズコントロールありなしに関わらず、そういう絶妙な重さになっていると使いやすいので、ちょうどいい重さを導いてもらえると個人的な好みとしてはとてもありがたいなと思います。
さて、みなさん気になるであろう乗車姿勢ですが、前傾率は175cmで56.2%、160cmで65.7%、驚異の鬼前傾です。
筆者前傾率ランキングでは、国内メーカー全ての中で堂々の6位と、圧倒的な前傾率を誇ります。
圧倒的な前傾率
さすが前傾のヤマハ。こんな悪魔のような状況でありながら、ヤマハのWebサイトによると「快適性も考え抜いたライディングポジション」という、「おいおいどうした」と突っ込まざるを得ない、とち狂った言葉が書いてあります。
何を考え抜いたんだ。夢でも見たか。
さらに読むと、「セパレートハンドルを採用しながらも、過度の前傾姿勢にならぬよう垂れ角や絞り角を調整し、シート形状とヒップポジションを合わせて最適化。ステップの高さや前後位置のバランスも図った。これらのセッティングにより、レーシーな雰囲気でありながらも、週末のツーリングや日常での街乗りなどで楽しめる快適性を確保。ステップ形状やシート形状の最適化により、身体の一部分に負担をかけることなく高速道路を走り、目的地のセカンダリーロードを気持ちよく走ることができる」とあります。
大嘘つきですね。信じられない暴挙だと思います。
まあ確かに、R7との比較図の通り、R7よりちょっとハンドルが手前でちょっと上、ステップはちょっと下で、R7と比べるとちょっと楽なのは確かなのですが、そもそもR7はホンダのRRR、ヤマハR1・R9に次ぐ最高峰レベルの厳しい乗車姿勢なので、比較対象がもうおかしいです。
ビットコインで一山当てたけど、ビルゲイツと比べるとお金持ちじゃないから庶民なんで大丈夫、と言っているようなものなので、みなさん真に受けないようにしましょう。
ただ、ちょっとだけヤマハの優しさを感じるポイントとして、ステップ位置をちょっと下げられるようになっています。
デフォルトの位置はXSR900より上のスポーティーポジションですが、1〜2cm前後下げられるので、そうするとほんの少し心の平穏が保てるかもしれません。
シート高は835mm。シートとステップの垂直距離を画像から推定すると475mmくらいです。
XSR900は495mmくらいなので2cmくらい上になっています。CB1000Fノーマルシートも495mmくらいなので、このあたりより膝は窮屈になります。
筆者は175cm、股下82cmですが、普通に乗っていると当然のスポーティー感というか窮屈感で、高速道路を長時間連続走行していると膝が死にます。
エコノミー症候群にならないよう、たびたび脚をプラプラしてストレッチしながら長旅すると良いでしょう。
辛い人はステップを下の位置に付け替えてみてください。
ハイパー前傾姿勢なので、ケツ痛にはなりにくいと思います。
クラッチレバーはこのクラスでは軽い方です。アシストスリッパークラッチなしの400ccくらいなので楽ですね。
クラッチレバーは軽い方
CB1000Fより軽く感じて、GSX-8シリーズよりだいぶ軽いです。Z900RSよりちょっと軽いかな、どうかなくらいでしょうか。
クイックシフターもデフォルトなので、左手が疲れることはあまりないかと思います。
積載力は初期状態でほぼゼロで、キャリアなど増設したいところなので、いろいろ調べてみました。
XSR900用には純正オプションでSW-MOTECHのサイドキャリアがありますが、ボルトの関係でこれをそのまま使うより、XSR900GP用のSW-MOTECHサイドキャリアを調達するのが良さそうです。
ENDURANCEのリアキャリアも販売されていて、耐荷重8kgです。見た目はさておき、がっつり積むならこれが良いですね。
燃費と航続距離ですが、燃費21.1km/L、タンク容量14L、航続距離は295.4kmとちょっと短めです。
筆者燃費実測は、都市部の下道18km/Lくらい、高速25km/Lくらい、平均20km/L前半といったところで、遠出なら限界で300kmごと給油くらい走れそうです。
CB1000Fよりスペックは多少マシ程度ですが、CB1000Fは実際の燃費が悪いので、実際はXSR900の方がだいぶ長いです。
航続距離が長い方が良い人は、GSX-8Tが370kmくらい、Z900RSが350kmくらいとなっているので、そちらの方がおすすめです。
高速道路に欠かせないスクリーンの整流効果ですが、見た目結構大きいカウルがついているので期待できそうに思いますよね。
ただ実際はかなり前傾になって頭が前に出ることもあり、胸回りはカットできるものの、頭には風が全開で直撃します。
風切り音はネイキッドより多少あるかなというくらいで、特別増える感じではないので気にしなくて良いと思います。
ただ風切り音は身長によって違うので、そこは注意してください。
伏せて乗ればそれなりに風をいなせます。
120km/hは走行性能的には全く問題なく走れるものの、長距離ツーリングの連続走行は期待しちゃダメですね。
走行安定感は十分で、高速道路連続走行に不安はありません。
加速力はとてつもなく余裕のある水準で、6速で80km/h〜100km/hからでも一瞬で追い越しできます。
2気筒ほどの瞬発力は感じないものの、十分な扱いやすさだと思います。
車両価格は従来継続カラーが1,430,000円、イエローが1,463,000円です。
ファミリーのXSR900は1,320,000円、アイボリーは1,353,000円なので、およそ10万円くらい高い設定になっています。
XSR900よりおよそ10万円くらい高い
最近話題のホンダCB1000Fは1,397,000円、ヘッドライトカウル付きSEが1,595,000円。
Z900RSはスタンダードが1,529,000円、SEが1,837,000円、CAFEが1,540,000円。
GSX-8TはTが1,298,000円、TTが1,386,000円。
ビキニ・ハーフカウル付き仲間を価格順に並べると、GSX-8TT、XSR900GP、Z900RS CAFE、CB1000F SEという順になります。
8TTとGPはETCがオプションなので、それを入れるとあまり価格差はなくなります。
こう見ると、あまり値上げしなかったZ900RS CAFEがコスパ良い感じがしますね。
燃費リッター21.1km/L、燃料はハイオクです。
オイルは2.8L、フィルター交換時3.2Lとクラスにしてはやや少なめで、経済的な方ですね。
参考までにホンダCB1000Fは2.6L、2.8Lとさらに優しいです。
バッテリーはYTZ10S。こちらはよくあるタイプです。CB1000FやCB400SFも同じで、通販で1万円ちょっとです。
台湾ユアサなどなら5000円ちょっとくらいと、それほどコストが重くありません。
タイヤはフロント120/70、リア180/55、ともに17インチです。
このクラスの競合バイクはほぼどれも同じサイズタイヤなので、タイヤに関しては標準的なコストになります。
メーターは現行XSR900と共通になっていて、まずまず見やすいです。
タコメーター的な表示がデフォルトですが、4パターンから選べるので、おおむね使い勝手に困ることはないと思います。
背景は白黒から選択可能で、好みに応じて視認性を調整できます。
XSR900GPのミラー
ミラーはバーエンドミラーです。
バーエンドミラーというと賛否両論ありますが、XSR900GPについては賛否というより、ほぼマイナス評価になると思います。
XSR900やGSX-8Tのようなバーハンドル車であれば、視線移動がそれほど大きくならないため、好みの問題で済むこともあります。
しかし、セパレートハンドルにバーエンドミラーの組み合わせは、かなり扱いづらく、公道走行においては厳しい印象です。
ミラーは前方にあるほど視線移動が少なくて済みますが、その分自分の体が視界を遮るため、映る範囲は狭くなります。
一方、ハンドルに取り付けられたミラーは、視線移動は増えるものの、視界を遮りにくくなります。
バーエンドミラーはさらに外側に位置するため、この特徴がより顕著になります。
視線移動が大きくなる一方で、ミラー内の視野は広くなります。
ただし、セパレートハンドルの場合は前傾姿勢になるため、ミラーの位置が頭の真横に近くなり、しっかり確認するには頭を横に振る必要があります。
そのため安全性という観点では不利になります。
さらにXSR900GPのミラーは面積が小さく、映る範囲も狭いため、実用面ではかなり厳しい仕様です。
ここはホンダのHAWK 11のようなカウルミラーを採用してほしかったところですが、専用設計になるとコストが上がるため、そのあたりとのトレードオフなのかもしれません。
車重は200kgです。
このクラスとしては軽量な部類で、重量バランスも良いため、数値以上に軽快に感じられます。
ベースとなるXSR900は196kgなので、4kgほど重くなっていますが、実際の体感ではそこまで大きな差は感じません。
軽量な部類で数値以上に軽快
エンジン性能は最高出力120馬力、最大トルク93Nmです。
スズキのGSX-8Sなどは80馬力・76Nmなので、比較するとかなりハイパワーな部類に入ります。
一方でホンダのCB1000Fは124馬力・103Nmとさらに上ですが、ピークトルクの発生回転数が高いため、実用域ではXSR900GPの方が速く感じる場面もあります。
車体サイズは、全長2,160mm、全幅690mm、全高1,180mm、シート高835mmです。
全幅はかなりスリムですが、バーエンドミラーの影響で実際の取り回し時の横幅は広くなります。
ミラーは折りたたむことができますが、走行前に毎回調整するのはやや手間に感じます。
タンク周りやシート下はスリムにまとめられているため、跨った際のフィット感やコンパクトさは優れています。
最小回転半径は3.5mです。
XSR900と同じ数値ですが、他車と比較するとやや大きめです。
例えば、スズキGSX-8Rは3.2m、ヤマハYZF-R9やYZF-R1は3.4mとなっており、セパレートハンドル車の中でも大きい部類に入ります。
さらに、バーハンドル車であるCB1000Fは2.8m、Z900RSは2.9mと、2m台後半が一般的です。
このように比較すると、XSR900シリーズは回転半径が大きく、取り回し時の切り返し回数が増えやすい点には注意が必要です。
狭い駐車場やUターン時には、あらかじめ余裕を持った操作を意識した方が良いでしょう。
現行のMT-09は3.0mまで改善されているため、今後のモデルでこの点が見直される可能性もあります。
XSR900GPにマッチする人はこんな感じです。
見た目が好き。やはり3気筒エンジンがちょうどいい。前傾こそバイクだ。しかし普通のSSでは個性が足りない。日常の中で筋トレできるなんて素敵なキワモノ。普通のバイク乗りと話が合わない。自他ともに認めるヘンタイ気質。
XSR900GPは見た目ファッションバイクで、中身はガチな乗車姿勢と運動性能を持った、クセの強さ一級品の変態系バイクです。
XSR900にビキニカウルをつけるか、YZF-R9を選ぶのがどう考えても普通だと思いますが、そこをあえてここに行く尖った感性の持ち主は、ぜひ筆者の仲間になりましょう。