Gold Wing、買ってみたらこうなった

1.Gold Wingってどんなバイク

(1)意外に普通のバイク

まず走行感覚ですが、Gold Wingは先入観を裏切られるくらいの普通の走行感覚ですね。普通じゃない部分も、もちろん盛りだくさんで、その辺も後でゆっくりお話ししようとと思いますが。

見た目からしてもよっぽど特殊な感覚なのだろうと思いきや、ほぼ普通のバイク感覚で走れるという、初動はちょっと驚きの体験でしたね。

 HONDA Gold Wing

HONDA Gold Wing

そして走り出すと抜群の安定感で、重たいバイクを扱っている感覚もなく、CB1300にDCTをつけてより快適にしたような感じかなと思ったりもします。

シートが大きくてクッション性が高く、膝の曲がりも余裕があって楽、DCTのギアチェンジショックも感じず振動もなく、走行風をほぼカットするスクリーンで、長時間走行が異常なまでに快適なので、どこまででも走り続けられそうな気持ちになります。

パワフルなエンジンで十二分の加速力、迫力のある音も相まってスポーティーさも上々、重いと言っても軽自動車より軽い車重で十分に機敏に走れます。

それで乗っていて一番近い乗り物は何かなと考えていたんですが、よくよく思い出すとありました。よく似てるものが、それはですね、マツダロードスター!バイクじゃないだろと総ツッコミ入りそうですがオープン2シーターの四輪です。タイヤの数は違いますが二人乗りは一緒です。ライトウェイトオープンスポーツ感がちょうど近くてですね、走っているとこの車の屋根を開けて乗っている時の感覚を思い出します。他のオープンカーはまたちょっと感覚が違うんですが。

Gold Wingはスクリーンが巨大で風はほぼオープンカーといって間違いないですね。スクリーンを一番上まで上げると風がほんのり体をかすめる程度でとても心地よいです。

 Gold Wingの巨大なスクリーン

Gold Wingの巨大なスクリーン

そして水平対向6気筒エンジン、このエンジンを体験することだけでも価値ある経験と思います。

不快な振動が一切なく、加速すると音はなかなかに勇ましい。快適なだけでなく加速感も楽しい、最高クラスのライトウエイトオープンスポーツが出来上がっています。そんじょそこらのバイクとは一線を画す乗り物ですね。

ツアラー快適性は四輪オープンカークラスなので、これを知ってしまうといわゆる普通のツアラーバイクの快適性議論など、所詮子供の遊びと思えてくるほどの超越具合です。

心が疲れているときなど日常を忘れてリフレッシュしたくなったら、Gold Wingはおそらく一番の薬になりますね。そんな癒やしパワー全開のキャラクターです。

(2)辛いこと

しかし止まると、本気で補助輪がほしいです。ハンドルを切って前後切り返したりするのはコツがいるようで、バックギアを駆使しても慣れないと結構操作が難しく、さらにとても重いバイクなので、万が一倒れると地獄が待っていると思うと、そのストレスが大きいです。

 重いバイクなので取り回しが億劫

重いバイクなので取り回しが億劫

ホンダさんの世界に誇る技術力で、極低速やバック時に自動で出てくる補助輪をぜひ作ってください。

他にはタイヤの空気がとても入れづらいです。左側に出ているのでサイドスタンドだと傾きの下側になっていて、さらに後輪は左右のケースが邪魔でよく見えず、重い車体を前後に動かしてギリギリ空気入れポイントにアクセス出来る位置に動かして、手探りで何とか差し込むという鬼畜。空気を入れてもらうためだけにホンダドリームまで走りたくなります。

正直デメリットはそれらくらいで、車体は大きいと言ってもそれほどでもなく、アフリカツインより邪魔ではない程度です。

普通に信号などで止まったり走り出したりするのは、両足をついて二輪二足感で扱えば余裕で、右手のブレーキだけで前後輪ブレーキを配分してくれて、ヒルスタートアシストもあるので発進や停止は一番楽です。

ただし取り回しは鬼のように重いので、ホンダドリームの方々でさえ「いやーこれはさすがに僕らでも重いです」というコメントなので、筆者レベルの庶民には手で転がす気になれません。

抜群の走行感覚というポジティブと、コケたくないし取り回し億劫というネガティブのせめぎ合いが続く、そんなバイクとなっています。

(3)地味なところも爆裂高性能

そんなネガポジ両極持ち合わせるGold Wingですが、ネガティブ面を上書きしてくれるかのごとくいろんな機能が付いていて、何より必須な装備がバッグギアです。このおかげで実際転がしての取り回しはしなくてもいけます。筆者は倉庫に格納するのも出して走り出すのも、バックギアを駆使して動かしているので、この扱いに慣れさえすれば、むしろ普通のバイクより楽だったりもします。ヒルスタートアシストもあるので、両足着いた姿勢からブレーキ離して雑に走り出してもいけます。

ちゃんとしたオートキャンセルウィンカーがあるので、消し忘れ防止機能のように一定時間つきっぱなしではなく、旋回を終えると傾きなどを検知して自動でウィンカーが消えてくれます。

電動ウィンドスクリーンは無段階で走行中も上下できるので、アフリカツインのように一旦停車する必要もなく、高速に乗るときそのまま上に上げたりできるのが使い勝手抜群ですね。しかもエンジン始動時は前回位置を記憶していて上まで上がるという、至れり尽くせりっぷり。エアバッグ装備で安心感も抜群。

スマホ連携はどこぞのメーカーのような実質無意味なものと違って、Bluetoothがスマホなど、インカム、リアインカム、の3箇所。Wifiもあって無線CarPlay接続もOK。リアトランクに有線接続用USB-Cとスマホ台もあるので、充電しながらも使えます。ほぼ完璧どころか夢の国ですね。

 多種多様な機能が搭載

多種多様な機能が搭載

ホントにスマートなスマートキーはCB1000Fのように、ガソリンタンクとシートが物理キーというものではなく、給油口もトランクも全て鍵を持っているだけでスマートに開閉できます。

5段階温度調整の前後シートヒーターとグリップヒーターで冬場は露天風呂。

耐荷重9kgのトランクとサイドケースの計3つある積載スペースは、OPEN警告灯もメーターにあって閉め忘れとも無縁です。

タイヤ空気圧センサーがあるので、秋冬の空気圧下がりがちな季節も安心。GPS時計自動調整にFMラジオ搭載。近所迷惑でない場所ならオーディオスピーカーでも聞けるので自由度が高く、ショックのほぼない7速トランスミッションと前後連動ブレーキで、走行面も隙がないという価格に見合う優れものバイクです。

2.価格

そんなGold Wingの価格ですが、スタンダード3,740,000円、50周年記念車が3,850,000円、なかなか競合するバイクがありませんね。直列6気筒エンジンのBMW K1600GTLは400万円くらいと近いです。ハーレーダビッドソンRoad GLideなども近い価格帯です。

四輪も含めて探すとまた出てきた、MAZDA ROADSTER RFのSグレードが3,796,100円。2Lと排気量が近く同じく2人乗り、トランク容量は130Lとほぼ同等。さらに幌のSなら2,898,500円とGold Wingより100万円安いです。恐ろしいですねGold Wing。

モデル変遷。

こんなすごいGold Wingの歴史を調べてみたら、初代は1975年と50年の歴史がありました。1975年、水平対向4気筒1,000ccでデビュー。1980年、1,085cc。インターステートが現代の形に近くなっています。1984年、1,182ccに拡大。1988年、ここで水平対向6気筒1,500ccエンジンに変更。2001年、現行の1,832ccに拡大。2007年、エアバッグ搭載。2018年、現行モデルになりました。

現行も地道にアップデートを続けていて、CarPlayが有線だけだったのが無線にも対応したりと年々レベルアップしています。

 初代Gold Wing

初代Gold Wing

次期フルモデルチェンジではアダプティブクルーズコントロール、最先端の電子制御サスペンションなど、全てのバイクをやっつける最新装備を身にまとってくると思います。2026年モデルは現行継続でカラーチェンジなので、フルモデルチェンジは2027年以降です。

3.ロングツーリング適性

(1)乗車姿勢

Gold Wingのロングツーリング適性は高いに決まってるだろうとお叱りを受けそうですが、個別の要素で比較していきます。まず乗車姿勢は直立そのものです。腰の後ろに支えがあるので普通のバイクより少し楽ですね。シートが横にも広いので、直立でもケツ痛になりにくい方だと思います。リアシートの快適性は最高峰とみて間違いないでしょう。

(2)シート高と脚の窮屈さ

余裕の位置にあるステップで窮屈感はありません。シート周りが広いために足を横の方に着くので地面が遠いのはスクーターに近いです。筆者は身長175cmm股下82cmですが、普通に乗っていると踵を地面には着けないくらいで伸ばすと着くくらいです。

(3)積載

積載は本当に抜群でリアトランクが61L、サイドが30L×2の60Lで合計すると驚異の121L。これがデフォルトで装備されています。たびたび出しているオープンカー比較ですが、大抵のオープンカーではこんなに荷物が載らないので、レベルは多くのオープンカーより多いと思って差し支えありません。

 積載は驚異の121L

積載は驚異の121L

(4)航続距離

燃費と航続距離ですが、燃費リッター14.9km、タンク容量21L、航続距離は312.9kmです。思いのほか少ないですね。実際市街地でリッター10くらいまで落ちると、なかなか目も当てられない航続距離になります。下手すると倍くらいの燃費のモトグッツィV7とタンク容量が同じなので、長距離マシンとしては気になる人が多そうです。筆者は航続距離が長すぎるとガソリンが腐るので、これくらいでちょうどいいです。

(5)高速道路

高速道路走行性能は想像通り超絶抜群です。巨大スクリーンがオープンカーレベルまでほとんどの風をカット、ミラーが手の風をカット、カウルが足の風をカットということで軽い風が周囲を舞うくらいです。時速120kmまでいくとさすがにちょっと当たってきますが、最強クラスなのは間違いないでしょう。

4.サスペンションとトランスミッション

サスペンションは電子制御サスペンションです。ただプリロードや減衰力を段階選択する世代のもので、最新式ではないのでちょっと惜しいですね。乗っている体感でも最新のものとは差を感じます。

DCTはAfricaTwinよりスムーズです。変速をあまり感じないので、段階ギアがあることの意識をあまりしません。ウィンカーを押そうとしてうっかりDCTマイナスを押してシフトダウンしてしまうと、ギアの存在を感じるくらいです。

 DCTはAfricaTwinよりスムーズ

DCTはAfricaTwinよりスムーズ

5.スペック

エンジンは1,833cc、ピークパワー126PS、ピークトルク170N・mと溢れんばかりの性能です。Gold Wingは6気筒なので瞬発力が高い方ではなく、瞬発力大好きの人には1,100cc。2気筒のArtica Twinの方が楽しいと思います。

車体サイズは長さ2,615mm、幅905mm、高さ1,430mm。参考までに日本で絶版になっているTourじゃない方は長さ2,475mmと10cm以上短いです。アフリカツインは長さが2,305-2,330mm、幅960mm、高さ1,475-1485mmと数値を比べると、全長以外はアフリカツインよりだいぶ小さいのがわかります。実際倉庫に置いてあってもアフリカツインやテネレの方が、スペースをとっている感じがします。

 全長以外はアフリカツインより小さい

全長以外はアフリカツインより小さい

6.低速と取り回し

(1)車重

車重は391kgとほぼ400kgです。重いで有名なCB1300が270kgとそれと比べてもすでに別世界です。さきほどもお話ししましたがバックギアがあるので、倒さなければもはや車重はないのと同じです。

(2)最小回転半径

最小回転半径は3.4m、ヤマハのXSR900が3.5mなのでそれより小さいです。安心してください。

7.メーターと視界

(1)メーター

メーターは針のスピードメーターとタコメーター、それにセンターディスプレイがついていて、ここにCarPlayの地図表示や、各種設定などを表示できます。

(2)ミラー

ミラーはまずまず見やすいですね。最近の車みたいにもっと大きくても良さそうな気もしますが、まあそこまででなくていいでしょう。

8.その他装備

その他装備ですが、先ほど話した露天風呂装備のグリップヒーターとシートヒーターが標準装備です。シートヒーターはフロントシートとリアシートで別々にコントロールできます。リアは同乗者がその場で操作できる徹底ぶりです。スクリーンとハンドガードで防風性能もあるので、冬はおそらく全てのバイクの中でも最高に快適な水準でしょう。ETC2.0も標準装備なので、左サイドケース内にカードを入れればそのまま高速に乗れます。

 ETC2.0も標準装備

ETC2.0も標準装備

9.Gold Wingのまとめ

ではまとめです。Gold Wingを買って満足する人は、・極上ツアラーがほしい、・6気筒エンジンにそそられる、・風切り音に悩まされている、・ずっとバックギアに憧れていた、・重さは正義だ、・時代はスクーターだ、・オープンカー買う気だった、・冷え性。

筆者はストレスがたまったら、Gold Wingで療養すると思います。そういう意味ではGold Wingは医療器具と言ってもいいかもしれませんね。キワモノバイクと思われている節のあるGold Wingですが、実際にはこれ以上ないほどの最上級ツアラーなので、長距離走りたい人にはとても刺さるバイクだと思います。これがあれば排気量マウントが寄ってくることもないので、平穏な日々を送れることでしょう。