フルカウルバイク、前傾ヤバさランキング【国内全30車種】
2024.02.25
アフリカツインはCRF1100Lが本名で、CRFの名前の通りオフロード車です。くそでかビッグオフローダーという、カテゴリーでよいでしょう。
HONDA CRF1100L
ホンダのオフロードバイクは、CRF250LとCRF1100Lアフリカツイン。
アドベンチャー的立ち位置には、CRF250RALLYと、CRF1100LアフリカツインアドベンチャースポーツES、という設定になっています。
アフリカツインのスタンダードモデルを買う人は、本物のスキルを持ったオフローダー、アドベンチャースポーツESを買う人は、絶対オフロードに行かない人、という傾向がありそうです。
中間のライトオフローダーは、林道などで転んで起こせないと詰みなので、あまり手を出さない領域ではないかと思います。
実際こんなでかいバイクで、オフロード走る人なんていないだろ、と思うかもしれませんが、ダートコースに行くとアフリカツインで走る、上級ガチ勢が一定数います。あの人たちは本当にヤバいです。
販売台数はアドベンチャースポーツESの、DCT、いわゆるオートマチック車が優勢で、大抵はこれを買っていく、というのが店舗の肌感覚のようです。
そんなマニア感全開のアフリカツインですが、初代の登場は1988年に遡ります。
当時はアドベンチャー・カテゴリーの先駆けとして、ラリーバイクレプリカというジャンルを誕生させたと、ホンダさんはコメントしています。
1988年モデル
647cc52度Vツインエンジンを採用していて、1990年に742ccに拡大、マイナーチェンジしつつ、2000年に一旦終了しました。
2015年から2016年にかけてCRF1000Lが、アフリカツインの名前で新たに発売されます。従来のアフリカツインと比較して、車体サイズ・重量はほぼ同等のまま、出力は1.5倍、998ccユニカム2気筒となり、DCTもラインナップされました。
2019年1,082ccに排気量を上げたCRF1100Lが国内発売、新設計フレームで1.8kg軽量化、電子制御サスペンションのESもラインナップされます。
2022年のマイナーチェンジで、排ガス規制対応の他DCTの調整、その他Android Auto対応など。
2024年にマ イナーチェンジされて、トルク数値アップした他、DCTの調整が入り。
スタンダードモデルには、チューブレスタイヤと、5段階スクリーンを装着。
アドベンチャースポーツESは、フロントが19インチオンロードタイヤに変わり、地上高とシート高が1cmアップしました。
2019年からほぼ値段が変わらない珍しい価格設定で、そのうちアドベンチャースポーツESは、ずっと全く同じ価格です。
これまで2〜3年でマイナーチェンジなどを行っているので、2027年あたりには何らかモデルチェンジしそうな、予感がします。
乗車姿勢はほぼ直立です。いくらか後ろ目に座ることもできなくはないので、長時間走行では座る位置をずらしながら、走ることもいくらかできます。
乗車姿勢はほぼ直立
シートの性能自体は悪くなく、ケツの硬さに自信がある筆者は、そこそこ長時間いけます。ケツ痛に悩まされる人は、できるだけ後ろ目に座れば、ある程度何とかなると思います。それでもダメならゲルザブくらいで、どうにかなるレベルでしょう。
アフリカツインは可変シート高を採用していて、アナログで上下2段から選べます。例えばアドベンチャースポーツの、現行モデルは840mmと820mm、マイナーチェンジ前は830mmと810mmで、2cmほど単純にシートの高さが変わります。
シート下の幅はそれほど太くないので、シート高に対する足つきは良い方で、シート高780mmのCB1300SFより、足がつきやすい人が多そうです。
筆者はマイチェン前のハイポジション側でも、CB1300より地面が近く感じます。
ハイポジション側では、シートとステップの垂直距離は520mmくらいで、距離は最も長い方なので膝の余裕は大きめです。これ以上余裕を求めると、ヤマハTénéré700とXSR700くらいなので、膝の楽さは最高峰と思って良さそうです。ちなみにTénéré700とXSR700は近い寸法で、525mm前後となっています。
参考までに、Vスト1050は490mmくらい、R1300GSは510mmくらい、のようです。
脚の窮屈さに悩まされている人には、アフリカツイン、テネレ、XSR700の、3車種は救世主になるのでオススメです。
積載力ですが、はじめからキャリアがついているので、これを活用できます。シートバッグなどを縛ることもできますが、アタッチメントで箱を付けるのが安定して良いです。
アルミ製のキャリアがついている
現行にはSHADのアタッチメントが安くて良さそうで、数千円で買えます。装着も5分くらいでできそうなので、良さそうですね。
筆者はこれから、このアタッチメントを装着予定です。
燃費と航続距離ですが、燃費はリッター19.6km、タンク容量はスタンダードモデルが18L、アドベンチャースポーツが24L。
航続距離はそれぞれ、352.8km、470.4km、です。
いずれも短くて困ることはないでしょう。アドベンチャースポーツの方はかなり長い方なので、長距離旅にはありがたいです。
高速道路走行性能は控えめに言って、抜群です。
時速100km走行時のエンジン回転数理論値は、3,400回転台とだいぶ低いので、振動などに悩まされることはなく、かつ低回転から鬼加速できるので、6速固定でも一瞬で追い越しも可能です。
高速道路走行性能は抜群
スクリーン性能は優秀で、現行はスタンダードモデルも5段階調整できますが、一番高い位置にしておくとかなり走行風が軽減されます。一番低くすると逆にヘルメットに風が集中して、風切り音が小さめのヘルメットでも、騒音が辛いかもしれません。そんなわけで、身長がとても高い人は、スクリーンを最大まで上げても、風がヘルメット直撃になって、スクリーンの防風性能が逆に仇になることも、有り得そうなので、そこは注意してください。
1,100ccという大排気量なので、いついかなる場面でも抜群の加速力を発揮します。
270度クランク2気筒エンジンで、蹴り出しがとても力強く、下道から高速までどこでも速いです。
アドベンチャースポーツESの方は、ESの名の通り電子制御サスペンションを、搭載しています。
さすがアナログサスペンションに比べて性能が高く、路面ギャップ程度は余裕でいなしてくれます。
そもそもオフロード仕様でストローク幅もあり、快適性はかなり高いです。
説明書P.287。
DCTはいわゆるオートマチック車ですが、スタンダードモデル、アドベンチャースポーツの、どちらも選べます。
マイナーチェンジごとに調整が入り、だんだん変速ショックが小さくなってきている、とのことですが、そもそもマニュアルのクイックシフターに比べれば、構造上相当スムーズで、個人的には何ら不満はありません。日常的にリアブレーキを上手く使って走っている人なら、走りやすいことこの上ないと感じるのではないかと思います。
DCTモデルが選べる
ただ手動変速のスイッチが左手にあって、ウインカースイッチの真下なので、ウインカーを消そうとしてシフトダウンしてしまう、ということが初めのうちは何度かやらかすとかもしれません。筆者は何度もやらかしています。
エンジンは1,082cc、ピークパワー102PS、ピークトルク112Nm、と溢れんばかりの性能です。
エンジンはSOHCとDOHCの中間のような、ユニカムという仕様で。
2本のカムシャフトがあるDOHCより軽くてコンパクト、吸排気をロッカーアームで駆動するSOHCより、吸気側をカムシャフト駆動する分パワーを出せる。
という軽量ハイパワーの両立がなされています。
車体サイズは、長さ2,305-2,330mm、幅960mm、高さ1,475-1485mm、というサイズでかなり大きいです。
数値だけでなく見た目にもだいぶ大きく、筆者の倉庫の中では幅を取って、ちょっと邪魔です。
車重は仕様により、231-253kgで、DCTのアドベンチャースポーツは、結構重いです。とはいえCB1300や隼ほどではないので、ある程度大きめ重めのバイクに慣れていると、取り扱いに困りません。
サイドスタンドで停めた状態がやや寝るので、左下がりの場所に停めたりすると、起こすのに多少「よいしょ」と力を入れるかもしれません。
停めた状態だと車体がやや寝る
ただ、より寝ているヤマハのSCR950という、バイクに慣れている筆者としては、全然大したことありません。
最小回転半径は2.6mと、この巨体にしてはかなり小さく回れます。2.6mはホンダCB400SF、カワサキZ400と同じで、中型ネイキッドクラスです。
さすがはオフロード車といったところでしょうか。
メーターは上下2つに分かれていて、メインメーターは通常時、スピードやタコメーターのほか、表示内容を切り替えられます。細かい情報を表示したり、シンプルに最低限の情報にもできます。
メーターは上下2つに分かれている
サブメーターはスピードと、ライト関係などのランプがあります。
スピードが2箇所にあるのはなぜ?と思うかもしれませんが、アフリカツインのメーターはApple CarPlayと、AndroidAutoに対応していて、USB接続するとメイン画面に、ナビ表示などができます。
ハンドル幅の広いバイクなので、ミラーは見やすいです。交換やオフセットなどはいらないでしょう。
その他装備ですが、グリップヒーターが標準装備です。スクリーンとハンドガードで防風性能もあるので、冬は快適になりそうです。
ETC2.0も標準装備なので、カードを入れればそのまま高速に乗れます。
バッテリーがリチウムイオンバッテリーで、HY110という品番の物が使われています。リチウムイオンバッテリーは、放電しにくく始動性も高いですが、普通のバッテリー充電器は使えないとされているので、補充電が必要な数分程度のチョイ乗りには向きません。個人的には夏の間乗らないと思うので、3ヶ月くらい放置しても問題ないのか、ちょっと気になるところではあります。
リチウムイオンバッテリーはだいぶ高いので、劣化させてしまうとおサイフに辛いですね。
アフリカツインのファミリーの一つ、NT1100はエンジンとフレームをベースにして、足回りその他をオンロードに寄せたバイクです。DCTのみですが、価格がアフリカツインの、アドベンチャースポーツESより安く、本体1,680,000円、税込み1,848,000円です。
HONDA NT1100
電子制御サスペンション装備、CarPlayが使えるメーターも継承されているので、お買い得モデルと言えそうです。
ただ、2025年は年間計画200台と、あまり売れ行きは芳しくないようです。
Rebel1100もアフリカツインファミリーで、エンジンはベースが同じものです。フレームはRebel500のものを再設計して、専用に作られているようです。Rebel1100はアフリカツインやNT1100のような、電子制御サスペンションではなく、メーターもホンダRoadSyncが使える普通のタイプで、いろいろコストを削って、本体1,095,000円、税込み1,204,500円という、驚異の価格を実現しています。毎年販売台数ランキング上位にいて、コンスタントに売れています。
HONDA Rebel1100
HAWK11は生産が終了していますが、同じくアフリカツインファミリーです。こちらはエンジンだけでなくフレームも、オフロードのアフリカツイン流用になっていて、設計者には鬼畜プレイだったことでしょう。なかなかな無茶振りだなと思います。
電子制御サスペンションは装備されず、メーターはモノクロ液晶と、装備全般は充実感はなく、乗車姿勢は鬼クラスの前傾で、CBR600RRと大差ないハードっぷりでした。
HONDA HAWK11
本体1,270,000円、税込み1,397,000円と、一応専用フレームのRebel1100より高く、いろいろな要因で、ちょっと販売的には難しかったようです。
生産終了してしばらくたちますが、ホンダドリームジャパンの新車在庫は、ずっと70台くらいあって、このまま何年も倉庫の肥やしにするのかなと、陰ながら心配しています。
アフリカツインが向いている人は、
アドベンチャーバイクがほしい、オフロードフレームの本物じゃなきゃイヤ、オフロードガチ中のガチ勢、逆に絶対にオフに行かないと心に誓っているオンローダー、ハイパワーツインの鬼加速が好き、サスペンションは電子制御一択(ES選ぶ人)、画面を増設したくない、初めからフル装備がいいズボラ系人種、残クレアルファードなオラオラ系人種。
ビッグオフローダーという位置づけのバイクですが、購入者の多くはアドベンチャー目的のようで、電子制御サスペンションのアドベンチャースポーツESの、DCTがメインに据えられています。
現行ではフロントタイヤが19インチになり、オンロードタイヤ化したので、こうなるとNT1100や、スズキV-Stromでいい、というかそっちの方がいい、とスライドする人もでてくるかもしれません。
仕様変更したことで今後どういう評価になっていくか、興味深いところです。
アフリカツインについては、同じく所有バイクのヤマハTénéré700や、その他アドベンチャーバイクとの比較なども、やっていきたいと思います。