バリエーションが多すぎてカオスなKLX230たち

2026年モデルのKLX230シリーズ、いろいろあってわけがわからない人たちのために、違いを整理しました。

KLXの乗り味と、近いバイクとの比較も紹介します。

1.KLX230シリーズのバリエーション

2026年モデルが発表されて、KLX230、KLX230S、KLX230SM、KLX230SHERPA、KLX230SHERPA S、KLX230DF。

というバリエーションになりました。もはやわけがわかりませんが、廃番になるものもありそうなので、後で詳しくまとめていきます。

2.KLX230シリーズの変遷

KLX230シリーズは230ccクラスの、オフロードバイクで、もともとはシンプルなオフロードだけでした。

シート高高いモデルから低いモデルのSに変更されるなどして、一旦廃番になり、2022年10月にモタードのKLX230SMが登場します。

KAWASAKI KLX230 SM

KAWASAKI KLX230 SM

KLX230SMは排ガス規制で登場した10月の、1ヶ月しか生産できず実質発売と同時に終了しています。発表からすぐ販売店に聞いても、すでに注文できず、という人も数多くいました。

その後2025年モデルで復活して、シート高880mmのKLX230スタンダード、シート高845mmのKLX230S、モタードのKLX230SM、の3モデルが従来モデルの、仕様変更版として登場しました。

同時にKLX230 SHERPAが追加されましたが、こちらはシート高の低い845mmのKLX230Sに、オプション部品をつけただけのモデルです。ハンドガード、エンジン下のプレート、ヘッドライト下のバー、など少し雰囲気が変わっています。

3.発表された2026年モデル

9月15日に発売される2026年モデルたちですが、2万円アップしています。ファミリーのW230、MEGURO S1も同じく2万円アップで、ZX-25R、ZX-4Rも2万円アップになっていて、雑にもれなく2万円上げたようです。

発表されたモデルを順に見ていくと、KLX230、KLX230S、KLX230SM、の3つは色が変わって値上がっただけのようです。

KLX230とSはライムグリーン1色で、イメージはカマキリやバッタの色です。

カマキリ色のKLX230

カマキリ色のKLX230

KLX230SMは、バトルグレー × エボニー、ネオングリーン × エボニー、の2色です。

バトルグレー × エボニーの方はグレート黒のツートン、ネオングリーン × エボニーは、写真で見る限り黄色と黒のツートンに見えますが、グリーンという名前なので実物はやや黄緑に近いかもしれません。

次に無印SHERPAですが、こちらは2026年モデルとしては発表されていません。

追加された1つめが、KLX230SHERPA Sで、Sがついたとおりシート高が下がっています。もともとKLX230からSになって35mm下がり、従来SHERPAも同じ低いシート高のところ、さらに20mm下げて825mmになりました。それに伴ってディメンションがいくらか変わっていて、リアタイヤがチューブレスになりました。

追加された2つめはKLX230DF、DFと言われるとFWやMFを思い浮かべそうですが、何の略かは謎です。

コレが一番なんじゃこれ感がありますが、見た目シェルパと同じ感じで、キャリアついています。シート高は845mmで従来シェルパと同じになっています。

4.細かく比較してみる

さて、よくわからないので詳しく比較してみます。

(1)値段

まず値段ですが、KLX230とKLX230Sが、税込616,000円、前年より2万円アップです。

モタードのKLX230SMは、税込638,000円、こちらも2万円アップになっています。

KLX230SHERPAは、税込638,000円で、前年から値上がらずにWebサイトなどに、掲載されています。

KLX230SHELPA Sは、税込660,000円。

KLX230 SHELPA S

KLX230 SHELPA S

KLX230DFは、税込682,000円と、DFが一番高額になっています。

参考までに、ホンダCRF250Lは、税込649,000円なのでモタードのSMと、シェルパSに近い金額です。

(2)寸法

シート高ほか各種寸法を比較すると。

KLX230とKLX230Sは、シート高が35mm違うので、それに伴って地上高や高さが変わります。また、ホイールベース、キャスター角、トレールも、変更されています。

KLX230SMは、シート高はSに近く、トレールはかなり短い77mmです。

KLX230 SMのシート高は840mm

KLX230 SMのシート高は840mm

KLX230SHELPAとSHELPA Sの差は、主にシート高20mmで、それに引きずられて関連寸法が違います。

KLX230DFは、従来の無印シェルパと同じ数値です。部品が着いて3kg増えていますが、シェルパにおまけ部品いくつかついただけと、思えば良いでしょう。

シート高845mm、地上高240mm、サイズ2,080 x 920 x 1,150mm、ホイールベース1,365mm、キャスター24.6°、トレール96mm、車重137kg。

(3)装備

装備は継続モデルには変更はありません、新しくラインナップされた、KLX230SHELPA Sは、リヤタイヤがチューブレスになっています。その他の装備は従来の無印シェルパと同じです。

KLX230DFも同じく、チューブレスリヤタイヤになっていて、その他、19,140円のスモールキャリア、9,339円のエンジンガード、が装着されています。

5.改めてモデルの整理

(1)モデル整理

改めて全モデルを整理してみますが、

KLX230はベースのシート高880mmオフロード、KLX230SはKLX230のシート高を845mmにダウンしたモデル、KLX230SMは以前と同様のモタード、KLX230SHERPAは値段変更がないのでおそらく廃番になって在庫のみ販売、KLX230SHERPA Sはシェルパの実質仕様変更モデル、KLX230DFシェルパの実質後継モデル。

という位置づけのようです。従来シェルパは廃番として、新しいシェルパ系のSHERPA SとDFは、リアがチューブレスタイヤになっています。

SHERPA SとDFはリアがチューブレスタイヤ

SHERPA SとDFはリアがチューブレスタイヤ

(2)選び方

KLXシリーズの選び方は、

チューブレスリアタイヤを求めるなら、シェルパSかDFです。

そこにこだわらない場合、880mmのオフロード仕様なら無印KLX230。

845mmのシート高でオフロードタイヤなら、KLX230SかDFか在庫残りのシェルパ。

840mmのモタードならKLX230SM。

825mmのシート高ならシェルパS。

となります。

従来シェルパはおそらく在庫限りなので、845mmのシート高でDFのオプションがいらず、チューブタイヤで良い人は、早速在庫のある店へ駆け込んでください。

SHERPA SとDFは主にシート高で選択することになります。シート高が高い845mmの方を選ぶと、キャリアとエンジンガードが、抱き合わせでついてきてしまうという、悪魔の販売方法になったので注意です。

なぜ悪魔かというと、装着されるキャリアは純正スモールキャリアで、耐荷重3kgです。人によってはふざけたゴミと思うでしょう。

純正ラージキャリアの方は6kg、社外品のDRCツーリングキャリアなどは、5kgとなっています。実際メーカーの耐荷重は控えめに設定しているので、もうちょっと積んでも大丈夫かもしれませんが、デフォルト3kgは箱をつけたら箱の重量で終了なので、さすがに厳しそうです。

純正ラージキャリアや、社外品キャリアを付けたい人にとっては、無駄にお金を払わされることになります。

純正キャリアにはETCユニットを組み込めますが、ETCユニットは入ってないので、別途純正ETCを注文するか、汎用品のETCを取り付けて引き回すか、ということになります。純正ETCは62,000円と驚愕の高値、さらに工数2.4時間でカワサキプラザなら、たぶん38,000円、占めてたかがETC1つに10万円という、鬼畜モード満載設定になっています。

また、車載器がキャリアの下という性質上、ETCカードは実質入れっぱなしになりそうです。

いろいろ冗談みたいな仕様なので、DFを検討する人は注意してください。

ちなみに、シート高845mmのシェルパを求める人は、KLX230Sにシェルパ部品を組み込むワザもあります。

スキッドプレート10,120円とネジなどいくつか、ヘッドライト下バー3,696円とネジ、ハンドルカバー類片側1375円、ステー1,023円、1,232円、クランプ385円、396円、あとネジいくつか、あたりをつければシェルパ仕様になります。部品は合計23,000くらいなので、KLX230Sに部品を足してもシェルパの値段と大きく変わりません。

845mmでシェルパ仕様がいいけど、4〜5万円高くなってクズキャリアとエンジンガード、がついてくるなんて信じられない、という人はカマキリ色のKLX230Sを買って、必要な部品だけつけてください。

6.KLXの特徴

KLX230シリーズですが、130kg台と軽量の空冷オフロードバイクで、最小回転半径2.1mと小さい方なので、気軽な遊びにはもってこいです。

まったく期待されていないであろう、高速道路走行性能も実際には結構いけて、100km/h連続走行もでき、120km/hもいけます。さすがに120を長時間は厳しいですが、90や100なら不安定感もなく、無難に使えるでしょう、社外品スクリーンで武装すると、より楽になります。

高速道路走行性能も悪くない

高速道路走行性能も悪くない

ロングツーリングにはケツ痛必須なので、ゲルザブその他いろいろ対策が必要だと思います。

全体的にシート高は高めですが、細身で軽いことと、ある程度サスペンションが沈むことで、シート高の数値の割には意外にいける人も多いので、気になる人は試しにまたがって足つきチェック、してみてください。

速いバイクではありませんが、街乗りのストップアンドゴーにも使いやすい、トルクバランスになっているので、苦手な場所の少ない万能系バイクになっています。

7.近いバイク

(1)YAMAHA セロー

伝説のマウンテントレール、ヤマハセローは同ジャンルの空冷250ccクラスです。絶版になってすでに4〜5年たちますが、一定の人気があります。

KLX230シリーズと比べると、高速域のハンドル振動が大きく、安定性が低いので高速道路走行は苦手です。

YAMAHA セロー

YAMAHA セロー

驚異の回転半径1.9mもあって、より自転車感覚で扱えるので、個人的にはKLXよりも手に馴染む感が大きく、たまにセローに乗ると、やっぱり楽しいな、とつぶやいてしまいます。

(2)HONDA CRF250L・CRF250RALLY

CRFはレブル250、CB250Rなどと、同じエンジンがベースになっていて、KLXとは違う水冷モデルです。

HONDA CRF250L

HONDA CRF250L

酷暑にも安定して動かせるので、年間通して普通に活躍できます。ホンダの250単気筒シリーズは、万能バイクの最たるもので、CRFもL、RALLYともあまり苦手な場面がなく、有能なバイクになっています。

(3)KAWASAKI W230

W230、MEGURO S1はKLXのエンジンを流用していて、正直乗り味はセローやCRFよりもこちらの方が近いです。

W230はシートが低いオフロードバイクのような印象で、ゆえに手軽に日常の足に活躍してくれます。KLXに乗りたいけどSHERPA Sでも、シート高が厳しい、という人は迷わずW230に行ってください。

KAWASAKI W230

KAWASAKI W230

筆者は以前KLX230SMを持っていて、今はW230を持っていますが、個人的なイメージではほとんど同じバイクで、シート高とハンドリングがちょっと違うかな、くらいの感覚で乗っています。

7.まとめ

KLX230シリーズですが、こんな人に向いています。

・軽いバイクが好き、・自転車感覚で気軽に扱いたい、・高速道路もそれなりに走りたい、・空冷エンジンが好き、・オフロードだどできるだけコンパクトな車体がいい、・脚の長さに自信がある、・ケツが硬い、・インドネシアを信用できる、・カマキリやバッタが好き。

ちょっと値段が高くなったものの、バイク自体は用途を問わず活躍してくれるので、オフロード系が好きな人は、満足度が高いと思います。