フルカウルバイク、前傾ヤバさランキング【国内全30車種】
2024.02.25
先日買って乗り回しているヤマハTénéré700。
走行感覚や進化ポイント、類似バイクとの違いを紹介します。
Ténéré700はビッグオフローダーという位置づけで、本気のオフローダーたちにも愛されています。
大きさから来るイメージとは裏腹に、とても軽快な走行感覚で、21インチの大きいフロントタイヤからくる、自転車のイメージに近い旋回性も、軽快感を高めるのに一役買ってくれています。
YAMAHA Ténéré700
エンジンの低回転を使いやすくセッティングされていて、走り出しのトルク感、加速感も上々、メーカーのイメージにあわせて、砂漠に繰り出さなくても、オンロード走行がとても楽しいバイクになっています。
乗っていると250ccのセローを思い出す人も多そうで、大きいセローという表現もあながち大げさでもありません。
安心の国内製造で、走行部品の組み立てもしっかりしていて、品質の良いバイクに乗っている感覚を味わえます。
初期ペダル位置がオフロードブーツ前提の、上の方にセットされているので、靴に合わせて乗り出す前に調整すると良いと思います。
2025年モデルからファミリーのMT-07と同じく、電子制御スロットルに変更されました。
アナログスロットル時代に比べると、明らかにアクセルON OFFの挙動変化が減って、スムーズで乗りやすくなっています。当然ですがその分ガツンと来るワイルド感は減るので、もしかすると好みは分かれるかもしれません。
2025年モデルから電子制御スロットルに変更
一般的な人は従来のアナログスロットルより、今回の電子制御スロットルの方が、乗りやすいと感じると思います。
メーターは初期型のモノクロから、国内2024年モデルで5インチ液晶になり、今回6.3インチのおしゃれ液晶に進化しました。
見た目だけでなく機能も大幅アップデートしていて、ETCやグリップヒーターの表示ほか、各種コントロールができるようになっています。
さらにスマホに無料のYーConnectアプリをインストールすると、時計が自動補正されて、メールその他の通知を表示できるようになっています。他の車両ではナビ表示が有料のガーミン縛りのところ、テネレは課金なしでGoogleMapをリンクできます。表示は地図でなく矢印の簡易ナビですが、メーター位置が常に視界に入る見やすい位置のこともあり、簡易表示でも十分使えます。
6.3インチのおしゃれ液晶に進化
そろそろ他の車両でもガーミン縛りをやめてほしいと、全世界のヤマハユーザーは思っているはずなので、テネレに続いていってほしいと切に願います。
メーターの表示はExplorerとStreetの、2デザインが選べて、Explorerは従来のテネレメーターに近い表示、Streetはタコメーターが円形になっています。この方がタコメーター見やすく、距離計がオドメーターとトリップメーターの、2つ出せて便利で、燃費計や水温、気温などとも組み合わせできます。筆者はこちらのStreetにして乗っています。
距離計エリア以外他の情報量は一緒なので、トリップメーターだけでいい、という人はデフォルトのExplorerでも良さそうです。
シートは2025年モデルで、従来の前後分割シートから、一体型シートに変更されました。
はめるのにちょっとコツが必要で、前後のツメを確認して押さえながら、前にスライドさせていくと入りやすいです。
一体型シートに変更
シート高は875mmで、工賃込み2万円アップのローバージョンを選ぶと、3cmシート高が下がります。ローシート、ローダウンリンクとも15mmずつ下がるので、片方だけ使って15mm下げることもできます。ローダウンリンクは税込19,800円、ローシートは税込33,000円なので、ローパッケージを選んだ方が得です。
オプションシートにはコンフォートシートもあり、より乗り心地が快適になるようです。ただしシート高が2cm上がって、895mmになるので注意してください。
ウィンカーは特殊な操作方法で、控えめに言って最悪です。
軽く押すと3回点滅して消えますが、グローブをして軽押しに調整するのは、結構難しいです。
普通に押すとずっと点滅しますが、中央に消灯ボタンがなく、消すには同じ方向をもう一度押す必要があるので、慣れるまでしばらく考えながら使うことになります。
リアサスペンションスプリングプリロード変更が、楽で、簡単に手で回せます。フロントは工具が必要ですがこちらも簡単です。その他減衰力調整もできるので、好みに合わせて手軽に調整できるようになっています。
ハンドル近辺には電源として、USB-Cソケットがついています。
USB-Cソケット
以前はUSB-Aだったりアクセサリーソケットだったりと、年式によって変わっていますが、最近はUSB-Cが使いやすいので、変更がうれしい人が多そうです。ただし5V3Aなので、12Vのアクセサリーソケットなら1.25Aと、かなりしょぼい電力です。USB-Aだと2.4A程度なのでそれより取れますが、PowerDeliveryの給電スピードは、期待できないので注意してください。とはいえ純正USB-Cはこのくらいが多いです。
テネレ700の価格は、本体1,320,000円、税込1,452,000円、です。
ファミリーのMT-07は、本体880,000円、税込968,000円、なのできれいに1.5倍ポッキリになっています。
同じファミリーとして比べると、だいぶ高いように見えますが、エンジントランスミッションの部品は共通なものの、フレームは別物、減速比とエンジンセッティングが違って、正直全く違うバイクなので、ここの値段比較はしない方が良いです。
値段を気にするあなたにはこちら、スズキSV650なら税込836,000円、実売70万円台からあります。
テネレ700の乗車姿勢ですが、前傾率は175cmで12.5%と、ほぼ直立です。直立につきもののケツ痛ですが、シートとサスペンションの優しさもあって、ケツ痛指数低めで、気分的にはセローのツーリングシートと、同じような感じです。
ハンドルやステップが、スタンディングしやすい位置関係なので、疲れたらたまにスタンディングするのもアリです。
シートからステップまでの垂直位置は、526mmくらいと長めで、ステップは前の方に出ているので、窮屈感が少ない寸法です。
足の窮屈さは比較的少ない
これが窮屈な人はほぼ全てのバイクが窮屈なので、シートを盛るなり何なりするしかありません。ちなみにアフリカツインやV-Strom1050なども、テネレよりステップが近いです。
ちなみにXSR700もほとんど同じ寸法なので、身長が高い人はXSR700も救世主に感じると思います。
アシストスリッパークラッチ搭載は、現代の標準ですが、テネレ700には搭載されていないようで、わりと重いです。最近まで乗っていたXSR700より、重いような気がしますが気のせいでしょうか。
現行MT-07のアシストスリッパークラッチを移植したり、クイックシフターオプションもセットできるので、必要に応じてその辺で調整していくと良いと思います。
デフォルトで積載力はないものの、リアシート脇に荷掛フックがあります。直接縛るには入念にチェックしないと、緩んで落下するので注意が必要ですが、キャリアの増設などもこのフック部分が使われることが多いです。
初期型からリアまわりは変わっていないようなので、純正ほか各社のキャリアが使えるため、積載に困ることはないでしょう。テネレは特にヨーロッパがメインマーケットらしいので、ドイツやスペインなどのシステマチックな、ワンタッチケースが使えます。SW-MOTECH、ヘプコアンドベッカー、GIVIの専用フィッティングキットなど、選択肢が豊富になっています。
燃費と航続距離ですが。
タンク容量16L、燃費はリッター24.6km、航続距離は393.6kmです。
ガソリンはレギュラーなのでそこそこ経済的です。
ヤマハの700シリーズは実際リッター25kmくらい走るので、スペックの数値くらい走ると思って良いと思います。400kmクラスなのでまあまあ長めで、CB1300などのように渋滞など走行シーンによる、大きな燃費変動もないため、安心して計算できて運用しやすいと思います。
高速道路走行性能ですが、様々な面でかなり走りやすくなっています。
まず直進安定性が高く、ディメンションを見ても、ホイールベース1,595mm、キャスター角27°00′、トレール105mmという、全ての数値が高く、直進安定寄りです。
高速道路走行性能はかなり走りやすい
これらは高い方が直進が安定しますが、参考までに直進安定性が高いホンダCB1300は、ホイールベース1,520、キャスター角25゜00′、トレール99mm、なので、どの数値もテネレの方が上です。
トップギアのエンジン回転数が低い方が、高速道路の連続走行は楽ですが、テネレの時速100km走行時の理論値が4,500回転くらいで、およそ700cc前後では一般的な回転数です。
MT-07は4,200回転、YZF-R7は4,100回転と、ファミリー内では回転数高めですが、これはヤマハのファミリーは低回転寄りのためで、スズキSV650とカワサキZ650は、テネレより少し高い4,600回転くらい、ホンダCB650Rはさらに高い4,800回転くらいなので、平均的な数値より多少低めくらいと思って良さそうです。
800ccのスズキGSX-8Rは4300回転くらいとより低く、ホンダNC750Xは3200回転くらいと脅威の低さですが、こちらはかなり特殊な部類です。
おおむね、テネレでの高速道路走行は、かなり心地良いと思って間違いありません。
Tenere700のスクリーンは、見た目のアドベンチャー感の通り有能です。巨大ではないので全身を覆うような、風のカット性能はありませんが、首元や肩の方に風は当たりません。
ハンドガードも風をカットしてくれるので、高速域ではありがたい性能です。夏場はむしろ風がほしいと感じるくらいかもしれません。
エンジンは688cc直列二気筒、最高出力73PS、最大トルク69N・m。
—、54kW(73PS)/9,000r/min、69N・m(6.9kgf・m)/6,500r/min、—。
ファミリーのMT-07よりスイートスポットが、低回転寄りに調整されているので、増えた車重の割に軽快に走れます。
エンジンは688ccの直列二気筒
音はファミリーの中では大きめですが、初期型の方が力強い音に感じました。
ヤマハのCP2エンジン特有の、ポポポポという音が、ワイルド目に寄せられたイメージです。
近所迷惑感のある大きさではないので、場所にもよりますが、早朝の走り出しも気を遣うことなく、扱えると思います。
新型メーターは大きくて見やすく、真正面にあるので視線移動もいらないため、安全に走れます。
ハンドル幅が広いこともあり、ミラーはとても見やすいです。メーターとあわせてこちらも視線移動が少なく、走りやすさに貢献してくれています。
ABSは標準装備ですが、前後OFF、リアOFFにすることもできます。
ABSは標準装備
トラクションコントロールは、標準では動作しますが、ON OFF設定が可能担っています。よくある段階調整はありません。
スロットルレスポンスは2モード使い分けられて、PWR1のSPORTが最大レスポンス、PWR2のEXPLOREがスムーズなレスポンス、となっているので、好みに応じて使い分けられます。個人的には2の方が扱いやすく、快適に走れます。
クイックシフターはオプション設定されています。
設定の切り替えができて、アップは加速時のみ、ダウンは減速時のみ、アップダウンとも加減速問わず、の2種類が選べます。
アップダウンとも2000回転以上で、動作するようになっていますが、テネレは1000回転台でも走れるので、ちょっと惜しいポイントです。
参考までに同じく1000回転台で走れる、ホンダCB1300のクイックシフターは、アップ1,350回転、ダウン1,200回転で動作するので、常に普通に使えます。これくらいの許容値だとベストでした。
車重は208kg、ファミリーのMT-07が183kgなので、それに比べると重いですが、車体のサイズ感からするとかなり軽量です。
ホンダAfricaTwinは231kgから253kg、スズキV-Strom800DEは230kg、と20kg以上違います。
実際取り回しもそれらと比べると軽く、走行感覚もMT-07に通じる、軽快感があります。
車体サイズは、2,370mm/935mm/1,455mm、となっていて、かなり大きめです。シート回りは細身なので、乗っているとあまり大きい感覚はありません。
最小回転半径は2.9mです。
オフロード車としてはだいぶ大きい方で、例えば250ccのヤマハセローは1.9m、ホンダCRF250Lは2.3m、カワサキKLX230は2.1m、1100ccのホンダAfricaTwinが2.6mと、さすがに2.9mは見劣りします。
回転半径はオフロード車としては大きい方
オンロードバイク基準では、700ccクラスにしては普通かやや大きめか程度で、カワサキZ650は2.6mとコンパクト、スズキSV650は3m、ホンダCB650Rは2.8m、NC750Xが3.0m、Z900RSが2.9mなのでここと同じです。
そういうわけでオンロード比較なら、およそ3m弱は普通の範囲でしょう。
ちなみにファミリーのMT-07は、2.7mから2.9mになりましたが、2025年モデルの現行は2.8mにまた縮小されました。
ヤマハは一時回転半径大きめで、MT-09は3.4mでした。現行は3.0mまで縮小しています。
XSR900はまだ3.5mなので、各地で不平不満のコメントを聞きます。
本気モードで巨大なアフリカツイン、エンジンは1,082ccとテネレよりさらにビッグ、オフ感が強いスタンダードモデルと、オンロードアドベンチャー感が強い、Adventure Sport ES、の2種類があります。
HONDA AfricaTwin Adventure Sport ES
スタンダードモデルは現在<s>のみで、シート高が870mm、Adventure Sport ESは840mmですが、どちらもシートセッティングで2cm下げられるので、テネレに比べるとだいぶ余裕感があります。
いずれもDCTも選べて全4パターンありますが、売れ筋はAdventure Sport ESのDCTで、ホンダドリーム店舗の肌感覚では、ほとんどこれという印象のようです。
メーカーデータもその通りで、Adventure Sport ESの方は現行モデルで、タイヤサイズを21インチからオンロード寄りの、19インチに変更されました。
スズキのV-Stromシリーズは、アドベンチャーの代名詞のような存在ですが、オフロード寄りには、1050DE、800DE、があります。
スタンダードモデルに対して最低地上高が高く、タイヤが21インチタイヤになっています。
650XTはスポークホイールになって、装着タイヤが違うこと以外、ディメンションなどは同じです。
KTM ADVENTUREには、790、890、890Rなどがあります。排気量違いでは1290や250などもあり、幅広くラインナップされています。
メーカーサイトでは水の中を走っていたり、本気感の高さを感じます。
BMW GSシリーズも本気度高めカテゴリーで、テネレに近いのはF900GSです。800GSの方が排気量は近いですが、19インチキャストホイールでオンロード感強めで、大きい排気量には1300GSもあります。
テネレのファミリー、ヤマハ700シリーズは。
中心のストファイMT-07、丸目に改造したXSR700、SSのYZF-R7、があります。
YAMAHA MT-07
ディメンションやセッティングがそれぞれ違うので、同じベースエンジンでも、実際乗ると走行フィーリングに、かなり違いがあることがわかります。
ギア比は全て同じですが、減速比はテネレが低回転型、YZF-R7がトップスピード型、MT-07とXSR700がその中間です。
—、1次減速比/2次減速比、Tenere:1.925(77/40)/3.066(46/15)、MT07・XSR700::1.925/2.687 (77/40 X 43/16)、YZF-R7:1.925(77/40)/2.625(42/16)、—。
テネレは1,000回転台の低回転でも走れて、MT-07とXSR700は2,000〜3,000回転が主体、YZF-R7は自然に回転を上げ気味にして、3,000回転以上キープが走りやすいと思います。
直進安定性、旋回性はテネレだけ離れていて、圧倒的直進安定性能、他は逆に圧倒的旋回性能寄りです。ただテネレも直線番長ではなく、21インチフロントタイヤを、スパッと切り込んでシャープに旋回する感覚は、オフロードバイクならでは。直線も旋回も高次元で楽しめるセッティングは、他のバイクでは代えられない、素晴らしい性能となっています。
—、ホイールベース/キャスター/トレール、Tenere:1,595mm/27°00′/105mm、MT-07:1,395mm/24°20′/93mm、XSR700:1,405mm/24°30′/90mm、YZF-R7:1,395mm/23°40′/90mm、—。
テネレ700にマッチする人はこんな感じです。
・アドベンチャーツアラーに乗りたい、・しかし本気度があるバイクがカッコイイと思う、・軽快なハンドリングが好き、・高速道路を快適に走りたい、・シンプルに背が高い、・シンプルに脚が長い、・軽量オフロード車では物足りない熟練者、・国産バンザイ。
噛めば噛むほど味が出るテネレ700は、伝説のマウンテントレール、250ccのセローにも通じるところがあります。
走行性能については期待を裏切らないと思うので、気になる人はぜひ足つきチェックから、試乗して体感してみてください。