CBR400RとZX-4R、どっちがいいか比べました

400ccフルカウルバイク、ホンダCBR400RとカワサキZX-4Rの違いをまとめてみます。

1.各車アウトライン

(1)CBR400R

HONDA CBR400R

HONDA CBR400R

CBR400Rは2気筒エンジンを積んだ、スポーツツアラー系バイクです。

乗車姿勢はやや前傾レベルと快適で、カウル、スクリーン性能にも期待できる上、ステップ位置も窮屈ではないので、ロングツーリングも軽々こなせます。

ピークトルク発生回転数が高くなく、低回転トルクが十分なエンジンで、下道がとても走りやすく、十分に速いです。2気筒エンジンの瞬発力もあり、CB400SFと比べると普通に走る範囲では、速く走りやすいと感じると思います。

高回転の伸びは1万数千回転回る、4気筒エンジンにはかないませんが、実際このバイクで1万回転回す領域は、サーキットなどでならしているスキルがないと、扱うのが難しいと思うので、一般的なスキルの人であれば、パワーが足りないだの何だのという話には、ならないでしょう。

エンジンは2気筒っぽいざらざら感は少なく、振動も少なめで滑らかです。同じ2気筒のNinja400、YZF-R3などはダダダダっという、2気筒感全開ですが、CBR400Rはそれらに比べてかなりスムーズです。さすがに4気筒ほどの滑らかさではなく、ヤマハやトライアンフの3気筒とも違いますが、振動のイメージは2.8気筒くらいの感じでしょうか。

シフトフィールがとてもスムーズで、軽い操作でシャキシャキ入るので、シフト操作で無駄に疲れたり、足が痛くなったりすることはありません。

現行モデルは追加料金なしで、メーターに簡易ナビも映せる至れり尽くせりっぷり、最強クラスの万能バイクと言っても過言ではありません。

(2)ZX-4R

KAWASAKI ZX-4R

KAWASAKI ZX-4R

ZX-4Rは4気筒エンジンを積んだ、本格派スポーツ系バイクです。

乗車姿勢はそこそこの前傾姿勢で、ステップはそこそこ上にあります。ただ、身長などによりますが、特別ハードなポジションではありません。とはいえツーリングバイクという、設定でもないので、ロングツーリング目的なら、他にもっと向いているバイクはいろいろあります。

15000回転以上回る高回転エンジンで、回してこそ本領発揮するバイクですが、公道ではほとんど活躍の場面がないレベルなので、サーキットを走り込んでいる熟練者以外は、回しすぎないことをおすすめします。

街乗りでは4気筒エンジンということもあり、スロットル操作が雑でもギクシャクしにくく、実は超絶万能マシンなので、1台で何でもこなせる懐の深さは、CBR400Rと共通しています。

高回転エンジンでありながら、2000回転くらいも使えて、下道を6速固定で走り続けることもできるので、普通に楽です。

クイックシフター標準装備、ヘルメットホルダーや荷掛フックもあり、ややスポーティーなポジション以外は、日常使いやツーリングバイクとして活躍できる、尖ったバイクと思いきや、実はずいぶんとフレンドリーなマシンとなっています。

2.価格

価格はCBR400Rが、税込み863,500円。

ZX-4Rは、SEが1,155,000円、RRが1,188,000円、です。

およそ30万円差、ZX-4Rが4割近く高いので、コストパフォーマンスはCBR400Rの方が、かなり高いです。

ちなみにCBR400Rに近い金額で買えるバイクは、SV650、CL500、バーグマン400、Ninja400、ELIMINATOR、CRF250RALLY、というものがあります。

やはりここでもSVの安さが光ります。

ZX-4Rに近い金額のバイクは、Rebel1100、MT-09、GSX-8S/8R、W800、VERSYS650、CBR650R Eクラッチ、となっています。

ZX-4Rは明らかに割高なバイクということがわかりますが、ロマンを追い求める人向けというところでしょう。

3.ロングツーリング適性

(1)乗車姿勢

乗車姿勢はそこそこ違い、CBR400Rの前傾率は、身長175cmで31.4%、160cmで39.1%と、フルカウルバイクにしては軽めの前傾です。

CBR400Rの前傾率

CBR400Rの前傾率

ZX-4Rの方は、39.8%、47.6%、と比べると前傾深めです。CBR250RR、GSX-R125、より少し直立くらいで、YZF-R3よりやや前傾です。170cm台以上ならちょっと慣れれば、ロングツーリングも支障ないくらいの、ポジションでしょう。

ZX-4Rの前傾率

ZX-4Rの前傾率

(2)脚の窮屈さ

身長が高いと脚の窮屈さの方が深刻です。CBR400Rはシートからステップの垂直位置が499mm、ZX-4Rはシートからの垂直位置が479mmで、どちらもステップは着座位置のほぼ真下です。

この距離が股下の65%以上が理想、60%以下になると窮屈に感じやすいようなので、CBR400Rは股下83cm以上は窮屈で、77cm以下は余裕、ZX-4Rは股下80cm以上は窮屈で、73cm以下は余裕、といった目安です。

CBR400Rはステップとの距離が長い方なので、ツアラー的な使い方がしやすく、ZX-4Rは背が高いと脚が窮屈、背が低いと前傾がハードめという、いずれにせよスポーティーなポジション寄りとなっています。

(3)クラッチの重さ

クラッチレバーはどちらも、アシストスリッパークラッチのおかげで軽く、125ccくらいの気分で使えます。

筆者所有バイクで比較すると、アシストスリッパークラッチのない、230ccのW230より軽く、125ccのGROMと同じくらいです。

CBR400Rは電子制御スロットルではなく、クイックシフターはありませんが、軽いので疲れには影響しません。

(4)積載

積載性能は素の状態ではほぼありません。

CBR400Rは純正オプションで、リアキャリアとワンキートップケースがあります。また海外ではCBR500Rとして販売されていますが、その部品が使えるので選択肢が広いです。ただし現行モデルは23年モデルまでと、形状が違うようなので注意してください。

ZX-4Rはエンデュランスキャリアくらいしか、選択肢がなく、もしくは汎用品でがんばるコースです。荷掛フックは充実していて、シートバッグなどもがっちり固定できるので、以外に汎用品でどうにかなるでしょう。

(5)航続距離

燃費と航続距離は。

CBR400Rが、燃費リッター28.1km、タンク容量17L、航続距離477.7kmです。実際に燃費がよく、1回の給油でどこまででも走れそうな勢いです。

ZX-4Rは、燃費リッター20.4km、タンク容量15L、航続距離306kmです。こちらは実際にこんなものかなというところで、回して走ると頻繁に給油が必要になります。

(6)高速道路

高速道路走行性能ですが。

ホイールベース1,410mm、キャスター角25.5°、トレール102mm、のCBR400Rに対して。

ZX-4Rは、1,380mm、23.5°、97mm、と、CBR400Rの方が直進安定寄り、ZX-4Rの方がコーナーリング性能寄り、の数値です。

実際にCBR400Rは直進安定性が高く、特に振動に悩まされることもなく、400ccクラスでは最高水準の、走りやすさです。

もともと500ccの車体として作られていて、エンジンをスケールダウンしたものなので、全体性能が格上です。6速固定で高速追い越しいける上、スクリーン性能もそこそこ高く、フルカウルツアラーとして極めて優秀です。さすがにスズキGSX-S1000GTや、カワサキNinja1100SXのような本格ツアラーには及ばないものの、GSX-8R、Ninja650、を少し小さくしたようなイメージで、とても走りやすく仕上がっています。

ZX-4Rは250ccの車体のため、CBR400Rと比べると華奢な感じがあり、安定感が高い方ではありません。ただパワーもそれなりにあって、回せば周囲の車より抜群に速く、高速道路走行に特に困ることはありません。スクリーン性能は普通で、そこそこ前傾姿勢になるので、それほど風が辛いとは感じないと思います。

4.エンジン

エンジンスペックはこの通りです。

CBR400R、最高出力34kW[46PS]/ 9,000rpm、最大トルク38N・m / 7,500rpm。

ZX-4R、最高出力34kW[77PS]/ 14,500rpm、最大トルク39N・m / 13,000rpm。

ZX-4Rの最高出力は、ラムエア加圧時に80馬力になります。

回した時のパワーは階級違いで勝負になりませんが、下道の瞬発力は低回転トルクがある、CBR400Rの方が明らかに高いので、目的次第で向き不向きが変わります。

5.メーターと視界

(1)メーター

メーターはどちらもカラー液晶で、CBR400Rが5インチ、ZX-4Rが4.3インチです。

CBR400Rのメーター

CBR400Rのメーター

CBRの方が大きめで見やすく、スマホ連携もできて簡易ナビも表示できるので、だいぶ良いです。ZX-4Rの方はラップタイムを刻む、機能があります。

(2)ミラー

ミラーはどちらも特別見やすくもなく、特別見づらくもありません。

6.電子制御系

CBR400Rはアナログスロットル、ZX-4Rは電子制御スロットルと違いがあり、ZX-4Rの方がセッティング調整できます。

ZX-4Rのパワーモードは実質2段階で、トラクションコントロールもあわせた、SPORT、ROAD、RAINの3択プラスカスタム、サーキット以外、ROADとRAINの切り替えのみと思って良く、実際にはROAD固定です。

上下クイックシフター標準装備で、アップはアクセルON、ダウンはアクセルOFFの、1世代前くらいの仕様です。

7.低速と取り回し

(1)車重

CBR400Rの車重は、191kg、特別重い方ではなく、重量バランスも良いのでz、扱いやすいです。

ZX-4Rは190kg、こちらも取り回しの体感は似たようなレベルです。

現代の400ccクラスは、170kgくらいが多く、どちらもクラス内では重い方です。ZX-4Rは4気筒エンジンによるもの、CBR400Rは500ccフレームによるものと思われるので、軽くしたい人は2気筒の250cc共通車体の、Ninja400、YZF-R3や、単気筒のGB350などの選択肢もあります。

(2)車体サイズ

車体サイズは、CBR400Rが、2,080×760×1,145mm、シート高785mm、ZX-4Rが、1,990×765×1,110mm、シート高800mm、とZX-4Rの方がやや小さいです。

CBR400Rに比べるとZX-4Rの方が車体サイズは小さい

CBR400Rに比べるとZX-4Rの方が車体サイズは小さい

実際に触れてもそう感じるので、好みが分かれそうです。

シート高はCBR400Rの方が低いですが、脚の窮屈さをZX-4Rより感じないこともあり、CBR400Rはシート高が低いことの、デメリットも少なく、フレンドリーな設定です。

(3)回転半径

CBR400Rの最小回転半径はやや大きめの2.9m、ZX-4Rはこのクラスで標準的な2.6mです。取り回しの切り返し回数に影響があるくらいの差で、駐車スペースが狭い場合などは、ZX-4Rの方が扱いやすくなっています。

(4)低回転

発進時や渋滞、路地裏走行など、市街地でよく使うエンジン低回転の扱いやすさは、どちらも優秀です。CBR400Rは低いエンジン回転でも普通に走れて、2000回転でも何ら問題なく加速できます。アイドリングは1000回転ちょっとと、他の400ccクラスバイクの中では、やや低めです。アクセルONOFFでガクついたり、エンブレがキツすぎるなどもないので、おおむねどこでも走りやすくなっています。

ZX-4Rはアイドリング回転数が1500回転くらいで、超高回転エンジンのため低回転は本来得意ではありません。同じ400cc4気筒エンジンのCB400SFのように、クラッチをつなぐだけで発進するのは難しく、アクセルを適量回していく必要があります。

一部にはクラッチをつなぐだけで発進しようとして、息継ぎだエンストだと言われているようですが、バイク側が要求する分アクセル操作をすれば、発進もスムーズで加速もスムーズにできます。

4気筒エンジンと電子制御スロットルのおかげで、アクセル操作に対する反応も滑らかで、超高回転エンジンとは思えない低回転トルクがあるので、低回転の街乗りもとても走りやすい、素敵な万能バイクです。

8.総合

まとめると、CBR400Rが向いている人は、ロングツーリングしたい、シートバッグでなくキャリアに荷物を積みたい、街乗りの瞬発力重視、耐久性重視、背が高い、脚が長い、逆に足つきに不安を感じることが多い。

ZX-4Rが向いている人は、とにかく高回転回したい、前傾の方が乗りやすい、膝が窮屈でも気にしない、どうしてもクイックシフターがほしい、4気筒が好き、トルクよりパワーの数値に憧れる、金に糸目はつけない。

CBR400Rの生産は、部品がタイで作られているらしく、組み立ては日本の熊本工場のようです。

ZX-4Rは全てタイで作られて、完成品が日本に送られてきます。

経験上タイ生産のバイクはほぼ全て、何らかの問題を抱えていて、所有バイクでは、Z400が再起不能、GROMがトランスミッション全交換とハンドル周り交換、W230がリアブレーキ異常、CB250Rがちょっと変だったけど何となく自然解消、ZX-4Rはリコール連発、と新車から無事だったバイクがなぜか1台もありません。

タイ生産と聞くと躊躇する自分がいるものの、CBR400R、ZX-4Rとも非常にいいバイクなので、興味がある人はぜひ突撃していってください。

ちなみに筆者は今CBR400Rに、興味津々です。