W230高速性能をじっくり比較

自腹でバイクを買ってレビューするシリーズ、先日のW230レビューに続き高速道路の振動、安定性他の所有バイクと体感比較を紹介します。

1.W230の振動

一番気になる人が多い振動のレベルを速さごとに分類してみます。

(1)時速70km

まず時速70kmの有料道路首都高レベル。

70km走行はエンジン回転数が4,000回転くらいです計算上は3,900回転くらいでハンドルやステップなど特に振動を感じることもなく平和に走れます。

ちなみに慣らし運転の最初200km走行までは6速70km程度以下と指定されていますが最初の慣らしではこれくらいのスピード以下になります。

(2)時速85km

時速85kmはネイキッドバイクの現実的なスピードですトラックと一緒に左車線をゆったり走行のイメージですね。

エンジン回転数は5,000回転弱です計算上は4,750回転くらいになります。

この速度感ではややステップに振動を感じ始めますが振動は大したことないので余裕でしょう。

十分平和に走れて手がしびれたりすることもないと思います。

(3)時速100km

時速100kmは一般的な高速道路の制限速度なのでこの速度域で連続走行できるかは重要です。

100km走行でのエンジン回転数はおよそ6,000回転弱です。計算上は5,600回転なので、250ccクラスにしてはかなり低めの回転数で走れることになります。

このスピードはハンドルとステップの振動を感じます微振動があるな、というくらいの振動で振動がキツくて走れないようなレベルではありません。

ハンドルに振動はあるにはあるので、人によってハンドルの握り方などでしびれを感じる人もいるでしょうか。個人的には連続走行しても手のしびれは感じません。

実際、ネイキッドなので100km走行では風の方がよっぽどきついので、振動なんて気にならないくらいでしょう。

(4)振動のまとめ

W230の振動レベルについてまとめると、スクリーン武装していない場合の現実的な速度の90km/h以下はまったくもって余裕、スクリーン武装して100km前後の連続走行できるようにしたとして、おそらく振動にやられる人は少ないと思います。

参考に他の車種の時速100km回転数は、

W230とファミリーのKLX230SMが6,650回転

144kgと車重がW230とほぼ同じのホンダCB250Rは6500回転

重量級250ccのスズキGSX250Rは7250回転

以前の教習車400ccのCB400SFは6100回転

となっていて、比べるとW230の低さが際立ちます。

ただし350ccのホンダGB350Sは3,900回転と目を疑う低さです。

とはいえ時速100km走行時の不快な振動は、3,900回転のGB350より5,600回転のW230の方が個人的には少なく感じます。

エンジンの設計やマウント方法フレームや各所ダンパーなどによって大きく変わり、単純に回転数だけに比例するわけではないためあくまで参考値として見てください。

ちなみに800ccクラスのミドルツインGSX-8Rは4,300回転です。さすがにミドルクラスになると一部例外を除いて厳しい振動はなく、このへんの水準にはもちろん劣ります。

2.直進安定性

W230の直進安定性は高くはありませんが、特別低くもありません。

時速100km連続走行も不安になるような挙動はないので、高速道路ツーリングも億劫にはならないと思います。

直進安定性をスペックからひもとくと、ホイールベーストレールキャスター角などが関係します。

タイヤの重さやフレーム剛性なども重要で、それらはおよそ車重に反映するので、一般的に車重が重いほど直進安定性が高くなります。

この4つの数値を見ると、W230は車重143kg、ホイールベース1,415mm、トレール99mm、キャスター角27度です。

他の車種と比較しないとイメージがわかないと思うので表にしてみました。



体感的に直進安定性が高いと感じるものを上に持ってきています。

概ね車重に比例して、近い車重のものはホイールベースやトレールなどが大きい方が直進安定性が高いと感じます。

この中ではGSX-8Rが高いのは当然として、CB400SFは車体が500、600ccクラスで剛性感があるので上にいます。

次に車重180kgクラスのGB350やGSX250R、XSR700。

Ninja400と250は旋回性能寄りですが、車重170kgクラスなのでW230より安定している感があります。

W230は軽量バイクのCB250RKLX230SMと比べるとやや上ですが、筆者のCB250Rはパフォーマンスダンパーをつけていて、この状態ではCB250Rの方が安定感があります。

実際、KLX230SMも高速道路の安定感に不安がないので、W230も強風の日でなければ問題なく走れると思って良いでしょう。

3.他のバイクとの比較

振動と直進安定性を総合的に比較してみます。

分類をこのように分けてみました

Fランク:時速80km以下必須できれば帰りたくなるクラス。

Eランク:一応100km出せるけど現実的に時速80kmが限度クラス。

Dランク:時速100km限度クラス。

Cランク:時速100km余裕クラス。

Bランク:時速100kmオーバー余裕クラス。

Aランク:時速120kmもいけるクラス。

Sランク:鬼

筆者所有バイクをこれらのランクにプロットしてみます。

Fランク、帰りたくなるクラスはヤマハSR400(パフォーマンスダンパーつき)。

正直125ccのGROMの方が楽です60km制限の首都高ですら乗ることに躊躇します。

Eランク時速80kmクラスはヤマハセローカワサキエストレヤ。

セローは振動と安定感で80km以下で走りたくなり、エストレヤはパワーがなく100kmキープがしんどいです。

Dランク時速100km限度クラスはカワサキKLX230SM、W230、ホンダCB250R、スズキGSX250R。

W230、KLX、CB250Rは軽いため安定感が不安なのでこの位置です。正直120km走行も能力的にはできますが、実際自然に100km弱で走ると思います。

GSX250Rは安定感がありますが、時速100kmでエンジンが7000回転以上回るため振動大きく、多くの人は90kmくらいで走っていると思います。

Cランク時速100km余裕クラスはカワサキZX-4R、ヤマハXSR700、モトグッツィV7。

これらはそれなりの安定感とパワーがあり、不快な振動にもやられないので、100km連続走行が苦になりません。ただし100km連続走行はネイキッドの場合スクリーン必須です。

うちのXSR700はフライスクリーンとパフォーマンスダンパーがついているので、実際は1個上のランクです。

Bランク時速100kmオーバー余裕クラスはホンダCB400SB。

車体の剛性感があり、振動も苦にならず優秀なスクリーンもあるので、高速道路走行が余裕です時速100kmで6,000回転以上回るので、そこに疲れを感じる人はいるかもしれません。

Aランク時速120kmもいけるクラスはスズキGSX-8R。

スズキの800シリーズは車体動力性能とも優秀なので余裕です。カウルの性能も期待できるため軽く伏せれば120km走行もいけるでしょう。

Sランクは手元にありませんがGOLD WINGや隼、CB1300SB、カワサキH2SXなどがこの上に君臨すると思います。

4.まとめ

W230の高速道路走行性能をまとめると、時速80kmくらいで走ると快適、90kmくらいも素でいける、100kmは性能的にいけるけれどもぜひともスクリーンがほしい、というイメージになります。

筆者はKLX230SMに乗っていて、その時にも常々感じていましたが、230ccの鬼軽量バイクにしてこれだけ走れるのはオドロキの水準です。

もちろんより車重があるミドルクラス以上には到底及ばないので誤解なきようお願いします。

欲を言えばメーカーがオプションスクリーンを設計してくれれば理想でした。

社外品スクリーンは出てくると思いますが純正品の緻密な空力設計には通常及ばず、風切り音が大きくなったりすることもあるので、これから追加で純正オプションを出していってくれるとありがたいですね。

また姿勢が直立過ぎるのでエストレヤのようにフラットハイシートがあれば、軽い前傾姿勢になって風圧の厳しさが減りケツ痛緩和にもつながって、高速道路走行がより楽になります。

高速道路走行する場合にはある程度荷物もあると思うので積載力もほしいところです。純正キャリアは耐荷重3kgとお飾りくらいの性能なので、最低でも耐荷重5〜6kgのキャリアがほしいところです。

せっかくの高速道路走行性能を生かすために、高性能スクリーン耐荷重5kg以上のキャリアハイシートの3点があれば、身長対応幅も広がり、何でもできる超絶万能バイクに変身するでしょう。

今後の純正オプションの拡大社外品パーツの広がりを期待して待ちたいと思います。

W230、MEGURO S1は、230ccながら素の状態でも高速道路走行に困らない性能を持っているので、おかげで短距離から長距離までいろいろ使いたい人の有益な選択肢が増えました。