GSX-8R

もはやチートとしか思えない性能のスズキGSX-8Rですが、どこがすごいのかをまとめて紹介します。

心地良い走行フィーリング

電スロの出来が良い

GSX-8Rは、乗り味の上質感が高く、快適で気持ち良い上楽しく走れるバイクですが、電スロの出来がとても良いことがポイントの一つになっています。電スロとは、スロットルバイワイヤーと言われる、物理的に線で引っ張らず電線(ワイヤー)で信号を検知してスロットル開度を調整する仕組みのことです。電子制御のため細かく制御でき、アクセルON OFFも滑らかでガクガクしにくくなっています。急に減速しないといけない時など、いつも繊細には扱えるとは限らず、とてもありがたい仕組みです。

GSX-8Rは、この電スロの出来が良いため、走りの上質感にもつながっており、急な挙動変化を抑えるから安全性も高く、スポーツ走行でのギリギリのコントロールにもプラスなのではないでしょうか。

ブレーキのコントロール性が高い

スズキのリアブレーキはコントロール性の高いものが多いですが、GSX-8Rのブレーキコントロール性もピカイチで、かなりコントロールしやすい仕立てになっています。GSX-8Rはブレーキの制動力も十分で、
感覚的に使いやすいフィーリングです。

他車より高性能なクイックシフター

シフトアップとダウンの両方ともクイックシフターが使えますが、ショックが少なめで快適です。また、使える回転数も幅が広く、アップ2,000回転以上、ダウン1,700回転以上なので、普通に走っていると気にせずいつも使えるのが扱いやすくて良いポイントです。さらにアクセルON OFFに限らずアップダウン両方使えるため、アクセルON状態でシフトダウンして加速など自在に使うことができます。

サスペンション

サスペンションも質が高く、しっかりしていながら乗り心地が良いバランスです。カチッと路面を捉えているイメージですが、硬くて跳ねたりするような挙動ではなく、とても乗りやすいと感じるのではないでしょうか。GSX250Rなどやさしめのサスペンションに近い優しさでありながら、かつノーズダイブも少なくて安心感が高い、確実にレベルが高いサスペンションと感じます。

一体感

またがったときの体との一体感も高く、何の違和感もなく脚が収まるので、バイクと一体になって走れ、旋回もしやすいでしょう。

楽しく走れるバランス

GSX-8Rは、下道走行で不快な振動などは感じることがなく、常時快適に走行できます。800cc近い排気量なので、2,000回転くらいで普通に走れますが、3,000回転近くまで上げた方が走りやすい特性です。同じ270度クランク直列2気筒エンジンの山はXSR700などは低回転のパルス感を感じながら走ったりすることも醍醐味の一つですが、GSX-8Rはスムーズに回る回転数で走る方が合っています。

ツアラー性能

キツくない前傾率

GSX-8Rは、前傾姿勢がキツいバイクではありません。GSX250R、カワサキNinja650などフルカウルツアラーっぽく言われるモデルと同じくらいの前傾率です。ゆるやかな前傾なので、むしろ疲れにくいポジションだと言えます。ステップもかなり楽な位置で、ステップ位置のせいで脚が疲れる人はあまりいないでしょう。

高い直進安定性

直進安定性も高く、スペックではだいたい800から900ccくらいのバイクの標準的な水準です。スズキのSV650も同クラスでは直進安定性が高めの設計で、数値上は同じくらいとなっています。数値上は上位ツアラーのGSX-S1000GTにも引けを取りません。

高速道路はスクリーンが有効ですが、GSX-8Rのスクリーンはまずまず優秀です。それなりに風当たりをスムーズにしてくれるので、長時間走行も疲れが少なくなっています。ホンダのCB400スーパーボルドールなども有能なスクリーンで整流効果が高いですが、GSX-8Rもおよそこれと同じくらいか、ややボルドールに譲るか、くらいの水準です。安心して長距離走れるでしょう。

ほどよい燃費

スペックでは、23.4km/L、タンク容量14L、航続距離327.6kmです。このクラスでは標準的と言えるでしょう。

同じくスズキのSV650は、24.4km/L、タンク容量14L、航続距離341.6kmです。GSX-8Rの方が少し燃費が落ちますが、乗っていてそれほど差を感じるレベルではなく、走り方にもよりますがミドルクラスバイクの一般的水準です。

積載スペース

収納スペースはないので、本格的にツアラーとして使うならキャリアなどを増設するのがオススメです。

純正オプションでサイドバッグとタンクバッグがあります。

その他に、SW-MOTECHのリアキャリア、SLCサイドキャリアがあり、ケースやバッグがワンタッチで付け外しできます。スズキ純正のソフトサイドケースもSW-MOTECH製で、純正は簡易版の方ですが、セミハードケースの方が使いやすいと感じる人も多いかもしれません。

エンデュランスからキャリアが販売されていて、こちらを使うとGIVIやSHADなどのトップケースがつけられる他、シートバッグの積載もしやすくなります。汎用性を求める人にはこちらも選択肢になるでしょう。

ローRPMアシスト

スズキおなじみのローRPMアシストがあり、エンストしにくいので不慣れな人にも安心感が高いです。イージースタートシステムもついており、軽くワンプッシュするだけでエンジンがかかります。

他のバイクとの違い

SV650X(SUZUKI)

スズキのSV650Xはフィーリングが似ています。エンジンがSV650はVツイン、GSX-8Rは270度直列2気筒で、燃焼タイミングが同じとなっていて、フィーリングは似ています。下から上まで回すと違いはもちろんありますが、同じスズキのエンジンとして近いフィーリングです。8Rの方が設計が新しく、電子制御も充実しており、全体としては上位互換に近い感じではあります。ただしSV650はGSX-8Rに比べて値段もかなり安く、価値があるでしょう。

XSR700(YAMAHA)

他には、ヤマハのXSR700がGSX-8Rと同じ270度クランク直列2気筒エンジンで、排気量もそれなりに近い水準です。XSRは低回転のパルス感を感じながら走るのも向いていますが、GSX-8Rはもう少し回転を上げてスムーズな走りをした方が気持ちが良いでしょう。ファミリーのYZF-R7はセッティングが違っていて、YZF-R7のフィーリングの方がGSX-8Rに近くなっています。ただし、YZF-Rの乗車姿勢は極度の前傾となっているため、使い方はかなり違ってきます。

Z900RS(KAWASAKI)

Z900RSは948ccと、GSX-8Rとは排気量が170ccくらい違います。そのため、Z900RSの方がパワーがあると感じるでしょう。GSX-8Rは走行モードをAにするとアグレッシブなイメージになるので、GSX-8RのAモードの方が俊敏に感じる人も多いかも知れません。走り方、操作の仕方によるので、好みが分かれるところでしょうか。Z900RSはマイルドで乗りやすいバイクで、とても良いですが、GSX-8Rは電スロでクイックシフターもあり、全体的な乗りやすさと上質感は8Rに軍配が上がります。

惜しいポイント

GSX-8Rは隙のない優秀なバイクですが、欲を言えば、ステップにラバーが貼ってあるとツアラーとして使う場合にはより足が楽かもしれません。また、クルーズコントロールがあると、速度固定のシンプルなタイプでも、スロットルアシストの代わりになってより楽ができそうです。スズキのバイクは最近ヘルメットホルダーついておらず、GSX-8Rも同様です。リアシートを外すと引っかけられるものはありますが、傷がつくので延長したくなりますし、何よりシート側のフックにはかけづらいので、これも惜しいポイントです。ただし、ヘルメットホルダーはカワサキ以外はついていないことが多くなっており、ホンダやヤマハも一部のモデルを除いてスズキと同様になっています。

GSX-8Rの総合力

GSX-8Rは本当に懐が深いバイクで、走れば走るほど魅力が湧いてきます。高速道路も快適で、下道のんびりツーリングも楽しめるでしょう。スポーティーにガンガン走っても良いですし、さすが良く出来ているので限界の高さも感じます。公道ベストな高性能バイクという感じでしょうか。高性能ですが重すぎず、街乗りもフラストレーションがたまらず楽しく走れ、ツアラーとして十分快適な上、機敏に振り回して走る楽しみ方もできる、公道で持て余す感じがないギリギリのバランスで作られている感じがします。